科学は絶対ではない

僕は生理心理学の研究をしていますが,これらは仮説実証型の実証研究が多いです.
なので,研究報告は,ある仮定・ある条件下での結論であることに注意する必要があります.

だけど,ある一つの実験結果がまるで万能な理論かのように話す人がたまにいます.
例えば,『Aという香りがストレス緩和に効果があった』という研究があったとしましょう.
この場合,被験者・実験方法・評価方法等の制約があるケースが多いです.例えば,以下のケースです.
被験者に若者が多いケース(日本の場合,大学の学生が実験に参加することが多いので,被験者の年齢分布に偏りが生じることがあります.).
香りの短期的な効果の検討のみで,長期的な検討を行っていないケース.
偶然に統計的な差が見られたケース.
なので,研究結果を見るときは,その背後の制約に目を通す必要があります.

また,Natureは70%の研究者が他者の実験の再現に失敗したと報告しています.( https://www.nature.com/news/1-500-scientists-lift-the-lid-on-reproducibility-1.19970?WT.mc_id=SFB_NNEWS_1508_RHBox 参照)

科学の条件の一つは,反証可能性です.なので,昔の理論が覆ることが多々あります.
大事なのは,物事を批判的に見たりメタ視点で考えることだと思います.


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