人は見慣れたものを美しく感じるようにできている

心理学では,「単純接触効果」と呼ばれる法則があります.これは,ある刺激に対して繰り返し接触すると,その刺激への好感度が上がる効果です.つまり,繰り返し接しているうちにどんどん好きになる現象です.

生存競争が激しい時代では,いつもとは違う危険な情報の察知能力が生き残る上で重要です.例えば,いつもより温度が高い,周囲にいつもとは違う動物がいる,いつもとは違って火事になっている等です.
なので,安全であることが多い頻度の高い刺激は,安心感を持つようになったと言われています.反対に,頻度の少ない刺激は,危険として察知するようになったと言われています.

単純接触効果を支持する現象として,「魅力的な顔は人の顔の平均であった」という仮説があります.人の魅力的な顔を調査した結果,人の平均顔がもっとも魅力的だと1990年にLangloisとRoggmanが報告しています[1].この原因は,人が良く見るものの好感度が上がる「単純接触効果」によるものだと考えられます.動物は異常な状態に対して俊敏に対応する必要があるので,可もなく不可もない平均なものが一番好きになるのでしょう.

参考文献
[1] Langlois, J. H., & Roggman, L. A. (1990). Attractive faces are only average. Psychological science, 1(2), 115-121.

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