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DXO PhotoLab6のDeepPRIME XD(ノイズリデューサー)の能力は?

毎回、DXOPhotoLabにて第一現像した画像をアップしているけど、そもそもDXOのソフトについて解説した事が無かったので、今回はDXOのノイズリデューサーについてレポートしてみる。
 
DXOはフランスのソフトメーカーで、特定のレンズとカメラの組合せで発生する欠陥を補正するソフト「Optics Pro」を発売したのが2004年の事だった。
 
DXOはレンズとカメラの組合せによって出る光学的補正値を計測するための測定を進め、そのクオリティ判定基準値がレンズの良し悪しの1つの指針にもなって
きているので、ソフトを知らなくてもDXOという名はカメラユーザーにはそれなりに知られている。

そんな測定値を使って、歪み無く収差も補正された画像を作り出すソフト
「Optics Pro」は、アドビ全盛な写真現像ソフト界ではマイノリティ。
画質の面でもノイズリデューサーの設定が難しかったり、補正された画像がレンズ特有の味も弱めてしまう事から、認知度も人気も高くはなかった。
 
私自身は「Optics Pro(PhotoLabの原型)」からの付き合いだが、どんどん進化を遂げ、パース調整とフィルムトーンを高画質で再現できるプラグインを実装可能とし、Nik Collectionを買収してからは連携が取れるように変更されていく。
現在のPhotoLabはVersion6.5.1にまで進化していて、Lightroom ClassicやPhotoshopとも連動できるようになっていて、プロユーザーでも使う人が
増えてきた。 
 
PhotoshopでNik Collectionをプラグインで使うだけで充分とも思えるが、PhotoLabだと、RAWデータで記録されている場合は各カメラメーカーのカメラが持つ独特のパラメータを適用した現像ができるので、キヤノンのカメラで撮ったのに、ニコンZ9のトーンを再現とかハッセルブラッドX1Dのトーンだとかを使えてしまう。また、フィルムはポジ・ネガ・モノクロ・デジタルフィルム他様々
 
そんな中で、今回のテーマはノイズリデューサー。
 
Lightroom ClassicにもNik Collectionの中にも優秀なノイズリデューサーが
あって、特にLightroom Classicのノイズリデューサーは優秀というレポートが
多く出ている。
 
ではDXOのノイズリデューサーはどうだろうか?
DXO PhotoLabはバージョンによってノイズリデューサーの能力が違うが
Optics Proの時点でPRIMEという1つのピクセルに対して周囲1000個以上の
ピクセルを解析しノイズ除去をするモードがあった。(だから導入したんだが)
 
そのPRIMEはPhotoLab4になって時、ディープラーニングを活用したDeepPRIME
というモードを加えた。
PRIMEだけでも優秀だったのに、DeepPRIMEはさらにその上をいく。
これは正直言って、ぶっ飛ぶ程の能力があった。
ノイズを増やさないためにISO1600を上限として撮影していた私が
ISO6400で撮影する事にも抵抗がなくなる程の凄さだった。
PhotoLab5でそのバージョンアップ版DeepPRIME2、
そしてPhotoLab6になってさらにその上をいくDeepPRIME XD
というモードを加える。
 
どれほどのものですか?
という疑問に対して、その実験をやってみた。

EOS R5
RF35mm F1.8 MACRO IS STM
ISO3200 f/4 1/30s 

ノイズリデューサー無しなので、低輝度や影の部分にしっかりとノイズが乗って
いる。ただ、この画像でもスマートフォンなどの圧縮された画像をみたら問題無い
と判断しちゃう人も多いかも知れない。

DeepPRIME XD

水たまりや近辺の濡れている部分や、ボードウォークに青いLED照明が反射して
いる部分を見ると、ノイズの落ち方がわかると思う。
ちなみにPhotoLab6のノイズリデューサーモードは3つあり、HQ(従来のノイズリデューサー)DeepPRIME(バージョン2 PhotoLab5と同等)DeepPRIME XD
と選ぶ事ができる。

モード対比

ノイズが出やすい部分と言えば、このような暗い部分とそこに繋がる高輝度部分で
そのその表現の差がわかりやすいようにノイズリデューサー無しと3つのモードを
1枚にまとめてみた。
 
Deep PRIMEでの現像で充分とも思えるけど、光点の収束具合やディテールに
おいてはXDの方が上手だと感じた。
RAWデータしか加工できないけどこの進化を可能にしていると思えば、
RAWで撮るしかない。
 
ちなみにDeepPRIMEモードは、演算にかなりPCパワーを必要とする。
OSも64bit専用が求められるのでDeepPRIME2を搭載したPhotoLab5を
使うためにはMacOS Catalina以上が求められ、DeepPRIME XDを使えるPhotoLab6はさらにmacOS Big Sur以上が求められた。
 
CatalinaとBig Surってそんなに違うの?って思うくらい似ていて、
大して違わないと思ってたけど、そうじゃないらしい。(メーカー側の陰謀?)
 
で、Big SurにしたMacBookPro15を使って現像してみると、
DeepPRIME XDは使えるようになったけど、演算時間がかなりかかる。
半端なくかかるって言うか、複数の画像処理やったら洒落にならないって思う。
 
と言う事で、MacBookProはM2の14インチに更新となりました。
 
カメラ買い換えでPC更新ってのはあるあるだけど、ソフト更新でPC更新に
なるとは思わなかったが、MacBookPro15は2017年製の2.9 GHz Intel Core i7
なので、いずれにしろ更新時期ではあったが、痛い出費ではある。
 
DXOは一時期カメラを出すなど業務を拡大して経営不振に陥り、
日本で言うところの会社更生法適用に相当する状態となっていたが、
採算性の見込めない分野を整理してソフトメーカーとして再生し、
ソフトは深化を進め開発速度は向上してきた。
 
Photoshopでもニューラルフィルターの進化が進んでいるが、
ノイズリデューサーもニューラルフィルターとして進化してきて、
デジタルの世界で写真は更なる自由を得ているのだろう。 
 
問題は、それについていけない自分だったりする。
 
そこまでの機能は要らんって言ってもハードとソフトを買い換えないと
新しい物が使えないってビジネスモデルは、それを許さない。
 
金が無ければ開発もできないってのはわかるけど、
過ぎたるは及ばざるがごとし・・ですぞ?

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