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RF16mm F2.8 STM は使えるのか?

どういう基準でカメラやレンズを購入する?
 
それは人それぞれの価値観で決まっていく事だろうけど、
プロとアマでは大きく違ってくるのは理解できるだろう。
 
プロの場合は、「必要性と回収能力のバランス」で機材を選び購入する。
アマの場合は、『欲しいかどうか」という考えが大きいのではないだろうか。
  
写真を撮る上で、完成品をイメージして機材を揃えるのは基本なのだが、
プロの場合は「その機材でなければ撮れない」という判断の下に
機材を揃えていく。
被写体を捉える上でそのレンズでなければ表現できないレンズがあり、
そのためだけに購入(もしくはレンタル)し用意するのは必然となるワケだ。
 
例えばポートレートの場合は、私はEF85mm F1.4L IS USMを使うが、
EF100mm F2.8L MACRO IS USMで撮ってみても代用できないと感じていて、
RF70-200mm F2.8 L IS USMで代用した方がまだしっくりくるとも感じている。

「知らない事は罪」とでも言うべきかも知れないが、
カメラはもとより純正レンズやサードパーティー製レンズも含め、
「人気がある機材=自分にとってベストとは限らない」事を理解して、
本当に必要なのかを考えないと無駄にコストがかかる事になる。
 
で、今日取り上げるのは「RF16mm F2.8 STM」

16ミリという超広角レンズはAPS-Cセンサーだと35ミリ換算で25.6ミリ。
つまりR7やR10、R50を常用する人にとっては適度な広角レンズとして機能する撒き餌レンズと言って良い。
 
フルサイズセンサーカメラの場合は、安価なレンズにありがちな周辺部の画質落ちが目立つだろうが、電子的に補完する事でカバーするという考え方のもとIS(16ミリじゃ必要無いけど)無しで安価にリリースするあざとさが、キヤノンらしいと言えるかも知れない。

5DMarkⅡ
EF16-35mm F2.8L Ⅱ USM
ISO1000 f/4.5 1/4s 16mm

はっきり言って、EFレンズ時代の広角レンズ(特にズーム)の周辺部は、なかなかに荒れていた。

私はEF16-35mm F2.8Lを広角レンズとして使っていたが、画角に問題が無ければEF14mmやEF20mmなどを使ったし、SIGMAの14−24mm F2.8 Aを入手してからはEFレンズを使う事は無くなってしまった。
(写真は2014年に横浜マリンタワーから撮った夕景。パース調整も行っているが
 長辺1620pixelまで圧縮した事で周辺の荒れは目立たなくなっている)

だからRFレンズになった広角ズームも出たタイミングで購入することはやめていてSIGMAを使い続けたのだが、如何せん重い。
性能のために大きいレンズを使うArtシリーズだから仕方無いが、日々使う超広角レンズとしては如何なものかと思っていた。

そこへRF16mmというレンズがリリースされたのだ。

これは試してみたい。
撒き餌レンズだから安価だし、何より軽い。 
単焦点ならズームほど酷い画質低下も無いだろうと判断してオーダーしたのだが、
同じ事を考える人が多すぎたのかコロナのせいか、オーダーした事を忘れるくらい経ってから納品されるほど、入手までに時間がかかってしまった。
(専用フードはレンズ納品後、4ヶ月遅れで到着)
 
RFレンズとしては破格の4万円そこそこの価格だが。EF50mmが2万円を切る価格だったことを考えると高い。その性能にぶっ飛んだRF35mmの7万弱に比べたら安いと思って買ったのだが、小さくて軽いのが嬉しかった。

EOS R
RF16mm f2.8 STM
IS03200 f/5.6 1/20s

DXO PhotoLabで現像し、モノクロ化。Photoshopでリサイズし、NIK-CollectionのSilver Efex Proでトーンを整えた。

DeepPRIMEでRAW現像する事でISO3200~6400が常用できることもあってのこの画質。RF35mmのようにISが付いているわけではないが、16mmなら1/20秒でシャッターを切れば余裕で止まる。性能確認のためパース調整はせずに16ミリの世界を切り取ってみたが周辺の荒れの少なさは凄いと感じた。安価なレンズにあるボケの汚さは仕方無いけど、シーンによっては仕事にも使えるかも知れない。
 
恐るべし、撒き餌レンズ。
RF15-35mm f2.8L IS USMが29~35万円程度で販売されている事と、ちょこっとバッグに抛りこんでおけるサイズ&軽さを考えると、この商品企画は見事としか言いようがない。
 
マニュアルフォーカスの場合、カメラ側の設定を変更する必要があるのが玉にキズだが、マニュアルフォーカスでの利用頻度が少ないユーザーを対象にしてコストダウンの観点からの設定だろう。
このレンズのように、電子的補正を前提にして設計するレンズが見せる画像が良いのだから、マニュアルフォーカス問題で二の足を踏んだRF24-240mm購入しても良いのかも?と思う。

撒き餌レンズは、「エントリークラスからミドルクラスモデルで充分な性能が出ていれば良い」というスタンスで企画されたのだと思う。(R5で撮ると性能が足り無いと感じる)

サードパーティーの尖った性能を見せるレンズを競争相手から排除する戦略はどうかと思うけど、サードパーティー側もミラーレス専用設計にシフトしてきたので、EF版が無くなってしまう可能性を否定できないのが悩ましい。
 
SIGMAのArtシリーズのRFマウント版が出たら買ってしまう可能性大だけど、あのシリーズ重いんだよねぇ。

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