ストレングスファインダーの成長促進と嫌いなものの話
強み診断にはいろいろあるが、そのうちのひとつにストレングスファインダーという有名なものがある。
30分くらいかけて質問に答えると、34の資質を順序づけて診断してくれるサービスだ。
収集心、内省、成長促進、共感性、運命思考がボクの上位の強みだ。ざっと過去を振り返ってみると、成長促進にまつわる思い出がいくつかある。読んで字のごとく、友達の背中を後押しした記憶だ。
1つ目はNくんの思い出だ。大学を出たけれど就きたい職業を考えたときに、鉄道の駅員になりたかった彼は専門学校に進んだ。そしていざ就職の際に、自分だけ周りより年齢が高いことが就活に不利に働くんじゃいかと不安になっていた。
その当時団地の前でボクはよく煙草をふかしていたので、帰り際の彼と鉢合わせることが多かった。ひどいときはほぼ毎日彼の話しに付き合っていた。
その度に、Nくんには年齢のビハインドを補ってあまりある魅力があることを何度も伝えた。悩んでしまう彼の背中をあの手この手で押してあげた。彼は無事に望んでいた大企業に入社することができた。地下鉄を今日もきっと運転しているだろう。
もうひとつのエピソードは小学校から付き合いのあるSくんだ。彼は剽軽で学年にひとりはいるムードメーカーだった。ちょっとしたモノマネや顔芸で場を明るくすることもできるし、責任ある役職を果たせる男だった。
彼も就活で悩んでいた。緊張すると吃音が出てしまうというのだ。エンタメ系の会社への就職を望んでいたので、言葉が出てこないのは致命的かもしれない、と彼は飲み会で言っていた。
ボクは無性に腹がたった。彼はいつも場の中心的存在になる太陽のような存在だった。誰にでもできることじゃない。ボクは言った。「吃音なんて太陽の黒点みたいなものに過ぎないのだ。どうして太陽の黒点を気にする必要がある? 黒点ごときで太陽の魅力が損なわれるはずがないだろう。吃音程度で志望者を落とす会社ならこっちから願い下げだろ」と。熱くなったボクを見て、彼は笑ってくれた。
というように、ボクはボクが好きな人が、彼らの魅力にくらべればほんの些細なこと(もちろん当人にとってしてみれば大事かもしれないけれど)で自信をなくしたり、不安になっていることがとても嫌いだ。彼らをそのように思わせてしまうあらゆることを憎む。
好きな人を励ますためには、力強い言葉が必要になる。そして心に踏み込む伝え方が求められる。だからボクは言葉や物語が好きなのかもしれない。
(了)
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