見出し画像

『AmazonD2C』の正体~Amazonだけで成長できる3つの理由~

こんにちは、株式会社ウブン代表の森岡健太郎(@moriken_ubun)です。

突然ですが、、最近、Amazonで購入したものは何ですか?

化粧品やサプリメント、電化製品やアウトドアグッズなどAmazonでは多くのカテゴリの商品が売られていますが、リアル店舗は見かけないようなブランドを買ったことがある方も多いのではないでしょうか?

Amazon内には、Amazonだけで販売しているブランド(通称:AmazonD2C ブランド)が多く存在しています。
日本ですとモバイルバッテリーなどを販売している『Anker(アンカー)』がその代表格のブランドです。

Ankerは今でこそ、コンビニなどにも販路を拡大していますが、最初はAmazonだけで販売しているブランドでした。

今回は『Anker(アンカー)』のような、AmazonD2Cブランドがなぜ成長しているのかについて書いていきたいと思います。

上場も夢じゃない!Amazon発の有名ブランド

2020年8月24日、深セン証券取引所の新興企業向け市場「創業板 (ChiNext) 」において、新規上場したのが「Anker Innovations」です。

Ankerは中国企業ですが、アメリカを中心に日本を含むグローバルで「Amazonをメイン」にモバイルバッテリーやUSB急速充電器を販売しているブランドです。
2013年に日本展開を開始し、2019年の売上は135億円と大きく成長しています。最初はモバイルバッテリーから始まりましたが、今では商品展開も増え、多くのカテゴリでベストセラーを取得しています。

Anker以外にも、アメリカでは「Mohawk Group(モホーク)」というブランドも上場を果たしています。
Mohawkのブランドのひとつであるホームラブズ(hOmeLabs)は、除湿機、製氷機、冷蔵庫など、多くの家電製品を扱っていますが、いずれの商品も、検索結果では常に、大手家電メーカーよりも上位に表示されています。

Amazonの国内流通総額は約4.7兆円と言われており、イオン・セブン&アイに次いで国内3位の規模になっています。

Amazonという1つのEC販路だけで上場するブランドが出てくるとは10年前は想像も付かなかったですが、それほどAmazonのマーケットは拡大しています。

Amazonだけで成長するブランドの特徴

Amazonでは大手ブランドも数多く、販売しています。商品を出せば売れるほど甘くはない中で、AnkerのようなAmazon発のブランドが成功しているのには理由があります。

一番の理由は「Amazonというチャネルの特徴を活かし、マーケティング活動をチャネルにフィットさせている」ことです。

私が数々のブランドを見てきた中でAmazonD2Cブランドとして成功しているブランドのマーケティング活動のポイントは3あります。

①Amazonの価格アルゴリズム

マーケティングの4PはProduct(商品)、Price(価格)、Place(チャネル)、Promotion(販促)ですが、中でもPrice(価格)は売上・利益率を決定する重要な要素です。
プライシング(価格戦略)という言葉もある通り、商品の価格は戦略的に決定する必要があります。

Amazonで成功しているAmazonD2Cブランドは最も売上が上がる価格設定に設計されています。
具体的にAmazonの場合、どういった点を考慮する必要があるのでしょうか?


・「アンカリング効果」を意識した設計

行動経済学で「アンカリング効果」というものがあります。

アンカリング効果とは
先に与えられた数字や情報(アンカー)によって、その後の判断や行動に影響が及ぼされるという現象を表す心理学用語です。具体的には、判断がアンカーに近くなる傾向があります。
参照:https://news.mynavi.jp/article/20210423-1833340/

Amazonでは検索結果ページに複数の商品が横並びで表示されるため、ユーザーは「アンカリング効果」を受けやすいです。

例えば、検索結果ページに2000円の商品が並んでいる中に10000円の商品があった場合、アンカリング効果によってその商品は高いと判断されてしまうことが多いです。

Amazonは比較されるチャネルです。
ユーザーは競合の商品価格を見て、相場を判断していることを考慮する必要があります。(1つ1つの商品スペックと価格を正確且つ合理的に判断できているユーザーは少ないです。)

勿論、安かろう悪かろうでいいわけではありません。品質と価格がマッチしていることが最も重要です。

安いだけで品質が良くない商品が並んでるカテゴリも多いです。
そのようなカテゴリでは少しだけ高くてもしっかりしたものを作り、評価を上げることでシェアを逆転できる可能性もあります。

Ankerもこの考え方が起源となってブランドが立ち上げたと創業者は語っています。

大学院生として渡米した2003年当時、およそ100種類の通販サイトで買い物をしていました。その中でわかったことは、非常に高価な純正品か、安価な粗悪品しかないということ。
例えば、ラップトップパソコンの充電器を買おうと思ったとき、当時のネットショップには、15ドルのガラクタか100ドルのものしかありませんでした。
400ドル程度のパソコンなのに、バッテリーに100ドルも支払うわけにはいきません。この原体験が、アンカーのコンセプトを決定づけました。
出典:newspicks

Ankerの例からもわかるように、ユーザーが求める品質と価格のバランスを考慮した価格設計はAmazonの販売においても重要です。


・価格がSEO(検索アルゴリズム)に与える影響

もう1つ価格設計で考慮すべき点はAmazonの検索アルゴリズムです。

検索結果ページで上位に表示されると売上は上がりやすくなりますが、その順位を決定しているのが検索アルゴリズムです。
アルゴリズムでは様々な指標を考慮して判断されていますが、最も重要な指標は「販売速度(=直近の販売実績)」です。

更に、直近の販売実績では「販売数」を重視していると言われていますので、売れた"数量"が多い商品のほうがアルゴリズムの評価が上がりやすくなります。

検索結果ページに並ぶ競合の商品より数が多く売れたほうが有利になるので、Amazonでは低価格の商品のほうが検索結果の上位表示ができるケースが多いです。

Amazonだけでの販売を前提としていないブランドの場合は価格設定も違った考えがあると思いますが、Amazonではこういったアルゴリズムの視点を考慮することも1つの重要な要素です。

②レビューは「宝の山」

Amazonで買い物をするときにユーザーが価格と同じくらいの割合で重視するのがレビュー評価です。

D2CブランドではInstagramやTiktokなどのSNSのフォロワー数を重視しているブランドも多いと思いますが、Amazonにおける資産はレビューです。
特に"継続的に"Amazonでブランドを拡大していくには高いレビュー評価は重要な要素です。

先程から紹介しているAnkerは何十万ものレビュー数が付いていますが、星評価は5点満点のうち4.6と高い評価を保持しています。

レビュー評価は多ければ高いほどいいですが、その一方でネガティブなレビュー評価に目を向けることも同じくらい重要です。
ネガティブなレビュー評価が付くとがっかりしますが、レビューの中には想像しなかったようなお客様の声が書かれていることもあり、意外と宝の山だったりします。

ECでは基本的には商品を買ってくれるお客様と直接話すことはありません。だからこそ、レビューはお客様の声を聞ける貴重な意見です。

AnkerのようなAmazonD2Cブランドはレビューでお客様の声を聞き、商品の改良や新商品の開発に活かしています。

Ankerの創設者であるStevenYang氏もこう述べています。
「Amazonのレビューは、当社の新製品開発プロセスへの唯一の最も重要なインプットです」

レビューの内容をもとに新しいニーズを拾った商品を作ることで、売上を上げられるだけでなく、お客様との信頼関係を構築することもできます。

お客様は自分の声をしっかり聞いて反映してくれると感じることで、ブランドのファンになってくれます。
Amazonの中でブランドの信頼感を高めていくためにも、レビューに向き合い、活用していくことをおすすめします。

③検索キーワードから逆算した商品開発

価格設定のパートでも触れましたが、Amazonは競合商品と比較された上で購入されるプラットフォームです。

最近、寒くなってきたから電気毛布が欲しいなと思ったら多くの人は検索窓に「電気毛布」というキーワードを入れて検索します。
その際に検索結果ページには多くの商品が並びます。ここでどの商品を買うべきかの比較が始まります。

Amazonでは「電気毛布」のようなカテゴリキーワードで経由での流入が全体の70%となっています。(Feedvisor

そのためAmazonでの販売を前提に商品を作る際はどの「キーワード」で検索されたときに買ってもらいたい商品なのかを意識することが重要です。
逆に「検索数が少ない」市場や「検索して買うようなものではない」市場はAmazonには向かない傾向があります。

一定数以上検索される(市場がある)キーワードを狙い、競合商品との差別化ポイントが何か、どういう商品であれば競合より多く買われるかを考えた上で商品開発をすることでAmazonD2Cブランドは成長が出来ています。

まとめ

Amazonはモノを買うために何千万人が訪れるプラットフォームです。

AmazonD2CブランドはAmazonというプラットフォームの特徴を最大限活用することで、大きく成長出来ているということが理解いただけたでしょうか。

Amazonに出品しているがAnkerのようにまだまだ活用できていない、売上が伸ばせていない方向けに弊社ではAmazonマーケティング支援のコンサルティングサービスを提供しています。

AmazonなどのECで販売しているEC事業者向けにECブランドの買収・出資サービスも展開しておりますので、興味ある方いましたらご連絡下さい。

今回、ご紹介したようなAmazonに関する情報は日々、Twitterでも発信しています!
▶︎ https://twitter.com/moriken_ubun

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?