関節可動域制限

臨床上様々な要因で生じる関節可動域制限。
理学療法士として改善の余地が残されてるのか、自らの知識・技術で改善が出来る範疇なのか、徒手療法の範囲なのか、物理療法を併用することで改善できるものなのか、その部分が評価として大切になる気がする。
特に大切なのが「自分の技術量で改善出来るのか否か」の部分であると思う。
この部分は非科学的な部分も含まれるが、徒手療法においてはある程度セラピストの技術力で差が生じてくると考えている。それは手での接触のみならず、対人でのコミュニケーション、相手をリラックスする技術、信頼関係の結び方含めて徒手療法技術に含まれてくる。ある一種の徒手技術だけで臨床がうまくいくことはなく、人と人の関係性の作り方も大切になると思う。

病態

皮膚性拘縮
真皮 コラーゲン量多い
皮下組織 脂肪組織を多く含み、その間隙にコラーゲンが存在
→不動により脂肪細胞の萎縮・消失、コラーゲンの増生

線維化の発生

脂肪細胞の占める割合
不動1週 対照群より優位に低下
不動2週 さらに低値を示す
線維性結合組織の割合は不動期間の延長に伴って増加

筋性拘縮
不動により筋周膜や筋内膜に肥厚が認められる
→コラーゲン増生に起因した変化
骨格筋の不動
不動1、2週目
マクロファージを介したIL-1β/TGF-βシグナリング
TGF-βの作用による線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化
不動4週目以降
骨格筋の低酸素状態が惹起されることで線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化が進む
線維芽が助長されることで筋性拘縮も進行

臨床場面での関節可動域制限

臨床的には不動期間(固定期間)による可動域制限症例だけでなく、疼痛・恐怖心による不動による生じた関節可動域症例も多い。
その場合に不動による関節可動域制限と同様のアプローチをしていても改善していかないことが往々にして経験する。
「痛みに弱い」の一言で片付けるのは簡単であるが、だからと言ってセラピスト側が関節可動域制限に対し「仕方ない」と諦めてはいけない。先にも書いたが、この部分でセラピストの技量が分かれる。特に数ヶ月単位で疼痛を我慢し、回避行動をとってきたような症例に関しては、セラピストによる接触刺激でも過緊張を症じ、疼痛が誘発される。では自動運動で可動域改善を目指そうとも、疼痛回避パターンが学習されている。
特に外来でのリハビリテーションを実施しているセラピストであれば頻繁に出会うことのあるパターンではある。ただ単純にパターン化し介入をしても良くならず、悩むことも多い。
詳しい話はまた別の機会で。

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