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在宅勤務が半年を超えた話

在宅勤務が始まって半年が経過した。
出社状況は部署によって異なるものの、業務の都合上、僕のチームは完全在宅勤務は難しく、週1回の持ち回りでの出社を原則としている。
最初のうちは、在宅勤務環境の構築に重点を置き、割とテンション高くやっていた。国から定額給付金が1人10万円もらえるというので、スタンディングデスクや27インチモニタ、ワイヤレスキーボード、マウスまで購入し、回線も某CATVから光回線に変更。出社時と極力近い快適な環境整備を積極的に進めることで、家でも会社でも業務品質は全く変わらん、どうだ!といった感じで、新しい環境を楽しんでいる自分がいた。
オンラインでのミーティングや研修も、初回の導入だけ済んでしまえば、会議室の移動が不要であったり、会議室の空きがなくてスケジュールを後ろ倒しにすることもないことから、オンラインの方が効率的でよいとすら思ったし、むしろ今までなぜ無駄に全員集合を課していたのかとすら思った。
ただ、この状況が長期化するにつれ、最近は主に2つの点でやりにくさを感じるようになってきた。

メンバーの様子が分からなくて心配

ひとつめは、チームメンバーの体調・顔色・様子が分からないので、心配だし気になること。
ふたつめは、他部署の方との交流がなくて、(主に自分が)寂しいこと。

チーム内に体調を崩したメンバーがいた。もしかしたら、毎日顔を合わせていれはもっと早く気付いたりフォローしたりしてあげられていたんじゃないか。自宅で人と顔を合わせず仕事を続けることが彼の不調を引き起こしたのではないか。そんなことを考えた。
自分の業務に集中だけしていていいのなら、テレワークなら横から急に声を掛けられたり面倒な話を差し込まれたりもなく、通勤に伴うストレスや時間のロスもないことが大きなメリットといえる。自宅で、自分のペースで、あるべき姿を追求し、家にいながら会社の利益に貢献する。ああ近未来、悪くないと思った。
あれ?でも、自分のことだけに集中していればそれでいいんだっけ?
よくないという心の声が聞こえる。

他部署との交流がなくて寂しい

出社したときに会社のカフェに行ってみたところ、久々に他部署の方と会う機会があって、そこで話すことで気付きを得られる出来事があった。単に気付きという業務的なメリットの有無に関係なく、交流できることそのものが大事だと感じる。いや、でもそれって、以前は日常的にやっていたことだよね。自分の気付きが減っていたとしたら、それはそのまま業務品質の低下であるともいえる。
ただ、すべてを業務に結び付ける考え方では、少しもやっとした気分が残る。気付いたのは、効率的かどうかという尺度だけでは生きていけないってこと。もっと直接的に言うなら、単純に人と会えないのは寂しく、人との接触を制限するのは希望を失わせる振る舞いであるってこと。
単なる作業だけなら、人とのコミュニケーションを重視しないという選択もあるだろう。でも、会社組織で中長期的な業務の継続性と発展性を考えたとき、周囲とのコミュニケーションを減らす方向に振るのは絶対によくない。人とのふれあいの中で生まれる火花のようなものが新しい取り組みや活力を生み出す。

新しい勤務スタイルに向けて

上記のような在宅勤務の弊害が感じられることから、自分の出社頻度をこれまでの週1日から週2日に増やしてみた。同じフロアで出社しているのは、全体の1割からせいぜい2割程度でガラガラ。それでも、会社に来てみるとそれはそれで需要が生まれて、僕の姿を目にした人が相談しに来てくれることが出てきた。少しずつコミュニティが再生されていく感覚がある。
緊急事態宣言中はフロアに5人もいないくらいだったから、会社には、少しずつ人が戻りつつある感じだ。

職場は業務に特化された環境なので、当然に業務効率はよい。やりやすい。仕事のことを考え、時々は休憩し、また働く。
他方で、家にいるおかげでできることがある。ちょっとした買い物や荷物の受け取り、洗濯物を干したり取り込んだり。朝出勤して夜帰宅するという生活リズムでは絶対にできないこと。それはそれで便利だし大切な生活の一部。
両方を経験してみて、どこにいても仕事はできることが分かった。それはそうかもしれない。これからも仕事への取り組み方や生活とのバランスの模索は続けていく必要はある。
ただし、人との関わりを切り捨てる生活はできないしすべきではない。様々なスタイルが許容されるのは望ましいところではあるけれど、行動を制限する方向ではなく、より寛容な方向に行くとよいと思う。
目下のところ、僕はもっと人と直接会って話したい。今はまだ、人と会ったり、移動したりすることを制限する抑圧された空気がある。社内のルールも常時マスク着用だし、会食も制限されていて、こういったルールや空気に対する反動が自分の中ではかなりある。これまで、僕自身は人と積極的にコミュニケーションを取るよりは、比較的自分の業務に集中してこつこつ進める方が好きなスタイルであると認識してきたけれど、必ずしもそうでもないらしい。人と会える機会すら極端に少ない今の状況が異常ではあるけれども。

これからの社会

コロナウイルスが落ち着いても、以前と同じ社会には戻らないだろう。
テレワーク環境は既に整っている。オフィスでは、今後フリーアドレス制が導入されると聞いていて、空いたスペースを効率的に利用する方策が進められていく予定になっている。仕事の進め方は、全員が同じスペースで働くのではなく、多様な環境に身を置きつつ同じミッションに向けて行動する体制が標準になるのだろう。
それでも、対面で会うことの手間は惜しまずに動ける自分でありたい。
大切な友人とのやり取りだって、LINEで気軽に連絡が取れることは便利ではあるけれど、じゃあ対面で会う必要がないのかというと、全くそんなことはない。
週5日勤務には戻らないまでも、週3日にまで戻すことはあり得る。単に寂しいだけの話ではなく、細かい意思疎通、仕事の進め方ややりやすさ、効率性と、生活とのバランス。模索はこれからも続いていく。

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