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蕎麦

俺の中で人生何度目かの蕎麦ブームが来ている。

俺は2年前の夏、前の会社を出勤拒否という形で退職したあと、実家に戻ってしばらくハローワークに通いながら過ごしていた。

その時期、家族で外食するとなると、俺はいつも蕎麦を選んでいた。地元ではところどころに蕎麦屋が点在していたため、店を選ぶのに苦労はしなかった。

地元では冷たい肉蕎麦が有名なのだが、俺は蕎麦屋では必ず「ざる」か「せいろ」で頼む。以前二日酔いの解消法として蕎麦を食べることを挙げたが、どんなに具合が悪くても、冷たい蕎麦はスルスルと入っていくのだ。

去年の冬は「蕎麦打ち婚活」という婚活イベントにも参加した。参加者が協力して蕎麦を打って食べ、蕎麦打ちを通して相手と親密になるという実に計算高いイベントだった。

当時俺は良いパートナーには巡り合えなかったが、自分で美味い蕎麦を打つことができたので、それだけで満足だった。

断っておくが、負け惜しみではない。

話が逸れた。とにかく、蕎麦ブームが再来したため、俺はここのところ週末は基本的にそばばかり食べていた。俺の住んでいる場所も、比較的近所に複数のそば屋が点在していたため、店を選ぶのには苦労しなかった。

あるときは駅ビルの和食屋で、またあるときは店内に石臼と製麺機が置いてあるような本格的な店で、またあるときはチェーンではなく、個人で経営している立ち食い蕎麦屋で、ひたすら蕎麦をすすった。

だが、いくら安いとは言え、毎週土日に外食で蕎麦を食ってると出費もバカにならない。特に今週は給料日直前の土日だったので、俺の懐は少し寂しかった。そこで俺は自分の家で蕎麦を茹でることにした。

幸いスーパーなどで乾麺蕎麦を買って茹でて食えば、店で頼むより半額程度で済む。

俺は近所のコンビニみたいなスーパーに行き、乾麺蕎麦と薬味、それから思いついて天かすも買った。

寮の部屋に戻り、共同キッチンでお湯を沸かして袋の裏の茹で時間を目安に蕎麦を茹でる。ちゃんと箸でほぐしながら茹でないと、麺同士がくっついたり、鍋の底に麺がへばりついたりするので、しっかりと箸でほぐしながら茹でる。

茹で上がったらざるにあけて、流水でさっと冷やす。皿に盛り付けて薬味と天かす、つゆを添えたら完成だ。

蕎麦。やっぱり家で作ると大分安上がりで済む。

まずは何も薬味を入れずにつゆだけですする。…やはり店で食べるのよりも若干ボソボソする感じはあるが、値段相応だ。及第点である。

その後は薬味と天かすをつゆにたっぷりと入れてすする。薬味の清涼感と天かすのサクサクとした食感が、蕎麦に良いアクセントを与えてくれる。これは正解だった。

あっという間に平らげてしまった。さすがに蕎麦を打つ気にはなれないが、たまには家で蕎麦を茹でるのも良いな。

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