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ひっぱりうどん

朝晩の冷え込みがキツくなってきた。

俺の地元の山形県は冬になると毎年大雪が降るので、冬にかなり厚着をして石油ストーブをガンガンに焚いて過ごすことが多い。

大抵関東や雪の降らない他の県に移動すると、「関東はそこまで寒くないから」と高を括って乾燥した空気にやられ、風邪をひく。

大学受験のときも、社会人1年目の冬も
「雪も降らないし全然寒くない!」と薄着をして過ごし、痛い目を見てきた。

いい加減学習するべきだとは思う。

今朝は特に乾燥がひどく、朝起きたときに喉がカラッカラになっていた。俺の住む寮の部屋にも、そろそろ加湿器を導入した方が良いのかもしれない。

カーテンを開けるとまぶしい日差しが入ってきた。良い天気だが、昨日出かけていたので今日はのんびり部屋で過ごしたい。

特に今週は、先週休んだ人とは違うオペレータが4日連続で休んだために、現場の仕事を一部肩代わりした。ほとんど自分の仕事ができずに毎日残業だったため、体を休める暇がなく、ダラダラする時間が必要だった。

部屋でのんびりとネットサーフィンをしていると腹が減ってきた。そろそろ昼飯時だ。

食器棚から乾麺のうどんと鯖の水煮缶・めんつゆを出し、冷蔵庫からたれとからしがついていない納豆を取り出す。

寮の共同キッチンに鍋とうどんを持っていき、お湯を沸騰させてうどんを茹でる。袋に記載された茹で時間の目安は8分だったが、1分くらい早くあげて、お湯をきり、再度鍋にうどんを入れて熱々のお湯を注ぐ。

めんつゆは水で割って薬味にネギを散らす。あとは水煮缶と納豆を開けて添える。

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ひっぱりうどん。つけだれに水煮缶と納豆を入れてうどんをすする、山形県の郷土料理だ。

元々家では作らなかったのだが、お母さんが「秘密のケンミンショー」でひっぱりうどんの存在を知ってから、家でも作るようになった。

地元山形県の郷土料理を全国ネットのテレビ番組で知って、家で作り始める…というのはなんだか妙な話だ。

節分の恵方巻にも通ずる何かがあるが、俺の貧相なボキャブラリーでは表現できない。

俺は毎年冬になるとこれが無性に食べたくなる。鯖缶も納豆も人によっては好き嫌いがはっきり分かれる食べ物なので、両方嫌いな人は見るのも嫌な組み合わせだろうが、俺は両方好きなので、このうどんの食べ方は大好きだ。

つけだれにサバの水煮を入れて、納豆をよく混ぜて入れる。

本当はつけだれはサバの水煮缶と納豆を混ぜたところにめんつゆをかけるのが主流なのだが、はっきり言って写真を撮ったときの見栄えが良くないので今回は別盛りにした。

あとは鍋からうどんを文字通りひっぱって、つけだれにつけて啜る。

納豆の豊潤な香りと鯖の旨味が口いっぱいに広がり、いくらでも食べれてしまう気になる。実際普通にめんつゆだけでうどんを食べるよりも格段に減りが早い。

全て平らげたら後片付けは手早く。水煮缶の空き缶も納豆のパックもほっとくと匂いを発するので、すぐに捨てる。

腹が満たされて時計を見ると時刻は12時を少し過ぎたところだった。早めの昼食を済ませて満足したので、あとは昼寝でもするか。

冬の晴れの日に、暖房をつけた部屋でぬくぬくと昼寝をするのは気持ちが良い。

明日からはまた仕事なので、今日はゆっくり休もう。


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