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じゃがバター

実家から救援物資が送られてきた。

おしりふきだ。
俺はオムツを交換してもらうときにコレでおしりを拭いてもらわないとグズって泣いちゃうのだ。

……嘘だ。そんな目で見ないでほしい。

冗談はともかくとして、おしりふきの段ボールに入ってきたのは、実家で作った野菜の数々だった。じゃがいも・玉ねぎ・アスパラガス・きゅうり。どれも美味そうだった。

特にじゃがいもは豊作だったらしく、大小あわせて10個も入っていた。

それから、ばあちゃんの南蛮味噌。そのままご飯にのっけても、料理に混ぜても、きゅうりなどの生野菜につけても美味い。こいつさえあれば岩だって食える。

……冗談だ。本気にしないでほしい。

それ以外には、俺宛てのダイレクトメールや郵便物(大事な書類以外はすぐくずかごに捨てた)、お母さんのお手製の布マスク2枚とユニクロやスーパーで売っていたと思われる、洗って使えるマスクが5枚入っていた。いやはや、うれしい限りだ。

野菜は俺の料理記事の更新に役立てようと思う。今週から俺も夏休みに入るし、寮の食堂はお盆休み明けまで夏季休業中なので、ちょうどよい。

まずはじゃがバターを作ることにした。じゃがいも3つを水でキレイに洗って芽を取ったら、ラップにくるんで寮の食堂にある電子レンジで3分。

同じ会社から横浜に派遣されてきた先輩と「さすがに今年は実家に帰れないよな。」とかなんとか雑談をしているうちに、加熱が完了。一人で「アチアチ」言いながら部屋に運ぶ。

ラップを解いたら、バターをのっけて軽く塩をふり、実食。ガブリとかじると舌をやけどしかけるほど熱々だったが、素朴な味わいで美味い。だが内1つは加熱しきれずにシャリシャリだった。失敗だな。

おいしい作り方を調べて翌日再チャレンジ。今度は洗って芽をとったじゃがいも3つをそれぞれキッチンペーパーでくるみ、キッチンペーパーごと水で濡らしてラップにくるみ、電子レンジで8分加熱した。

ラップとキッチンペーパーを解いて十字に切れ込みを入れ、その間にバターを挟み、塩をふる。今度は3つとも中までちゃんと火が通っていた。

まずは1つ食べる。これは唸る美味さだ。バターのこってりした味わいとじゃがいもの甘み、ほのかな塩味が混然一体になり、絶妙なハーモニーを奏でる。

残りの2つは実家から届いた南蛮味噌を載せていただく。こいつがもう抜群に美味い。味噌の甘みと塩味、そして南蛮の少しピリリとした辛さがじゃがバターを全く別な料理に変貌させる。これはもうごちそうだ。

いつものようにアサヒドライゼロで流し込んで、大満足の夕餉を終えた。家族に感謝だな。いつか実家に帰れるようになったら、何かおいしいお土産を買っていこうと思う。

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