【書評】2019年1月③ ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>
Facebookで流れていたので読んでみた。
前半は物理の講義のような形で、原子や原子核のお話で懐かしくて改めてふむふむと読める内容。後半に入ると核燃料や核兵器がどのように作られているのかの詳細な説明。核兵器を作る事や保有することがどうであるかの論点などではなく、純粋にどのように作られているかの説明が淡々と綴られている。
おわりにもあったが、人類は核兵器を作ってから70年間これを超える兵器の開発には成功していない。その最強の兵器が、身の回りのごく当たり前の”原子核”から作られている事にロマンを感じる。(ロマンは少し表現としてマズイか。)
以下メモ
第一章 原子核
・原子の中身は20世紀初頭に明らかになった。
・原子核は小さなものだが、本当に小さく、例えば教室全体が原子とすると原子核はシャープペンの芯の直径よりも小さい。ちっさ。
・陽子と中性子をくっつける力を「強い力」という。そんなんあったな。
第二章 核融合と核分裂
・温度とは「粒子の運動エネルギー(の平均値の密度)」の事です。
・重水素と三重水素の核融合のことを「DT反応」という。中性子が一個追い出されて、原子核が融合する。これ重要。
・DT反応は最も起こしやすいので、人類が最もよく利用する反応。
・核兵器では、核分裂を用いたもの(原子爆弾)のほうが、核融合を用いたもの(水素爆弾)よりも早く実用化されていた。原子炉も同じで、核融合炉は未だに実用されていない。
・天然資源ではウラン235だけで、人工製造はウラン233、プルトニウム239、プルトニウム241のみ。
第三章 連鎖反応
・我々の冷たいという反応は温度を感じ取っているのではなく、触れた部分が奪われる熱の多さによって生じる。なるほど。
第四章 核燃料
・戦前の日本では核兵器の開発が行われていた。陸軍は理化学研究所の仁科芳雄教授、海軍は京都大学の荒勝文策教授と。
・ウランはウラヌス(天空の神)、ネプツニウムはネプトゥヌス(海の神)、プルトニウムはプルート(冥王界の神)
・マンハッタン計画をリードしたのは、エンリコ・フェルミ。イタリアが生んだ天才物理学者だったが、ファシズムによって国を追い出されて亡命してた。奥さんがユダヤ人だったからムッソリーニ政権で迫害を受けた。
第五章 核兵器
・マンハッタン計画にはノイマンも参加していた。ゲーム理論を考え出し、現在のコンピューターの原理を生み出した天才。
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