総合型地域スポーツクラブが地域おこしになる理由
PCを替えたら作業が超絶速くなりました。
どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。
さて今日は、『総合型地域スポーツクラブが地域おこしになる理由』というテーマでお話したいと思います。
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私が地域おこし協力隊として、東京都三鷹市から長野県喬木村へ移住したのは2014年4月。そこから3年間地域おこしとして総合型地域スポーツクラブのマネジメントをやり、任期後も3年半ほど喬木村に残ってクラブの専従マネジャーとして仕事を続けました。
当時はまだ、地域おこし協力隊として総合型地域スポーツクラブのマネジメントをするのは珍しかったと思います。その証拠に、いくつかの自治体が視察に来たり、講演依頼をいただいたりしました。
ところが今では、地域おこし協力隊として総合型地域スポーツクラブをやる人は結構いるようです。最近立ち上がったばかりの『地域おこしスポーツ協力隊』というネットワークの中にも、総合型地域スポーツクラブをやっている人は結構いるようでした。
でもよく考えたら相性はいいですよね。地域おこし協力隊は総務省管轄の国策ですし、総合型地域スポーツクラブもスポーツ庁(文科省)が推進している国策という側面もありますから。
とはいえ、地域おこし協力隊の活動で多いのは、農畜産業、林業、漁業への従事や地域コミュニティ活動で、スポーツ振興は多数派というわけではありません。以下、総務省が発表している資料から抜粋してご紹介します。
【任期中の主たる活動内容】
○農畜産業、林業、漁業への従事 897名
○地域コミュニティ活動(地域行事、集落活動支援、住民活動支援等) 885名
○地域産品の生産・加工・開発などに関する活動 534名
○地域や地域産品の情報発信・PRに関する活動 462名
○観光資源の企画・開発などに関する活動 435名
○観光サービスに関する活動(観光案内、ガイド、相談等) 275名
○都市部等からの移住・交流促進に関する活動 262名
○教育・学習支援に関する活動 258名
○イベントの企画・運営、集客などに関する活動 249名
○地域産品の流通・販売・マーケティングなどに関する活動 189名
○文化・スポーツ振興に関する活動 178名
○観光・宿泊施設の運営に関する活動(運営・接客等) 176名
○空き家・空き店舗対策、不動産活用に関する活動 152名
○環境保全、自然保護、鳥獣対策に関する活動(駆除、保護等) 106名
○地域の伝統産業、技術伝承に関する活動 105名
○地域資源や地域づくりに関する調査・研究などの活動 103名
○高齢者の生活支援、見守りなどに関する活動 80名
○行政事務、財務・マネジメントなどに関する活動 30名
○医療、保健などに関する活動 26名
○地域の防犯、防災、安全確保に関する活動 5名
○その他 286名
これによると、スポーツ振興に従事している地域おこし協力隊は全体の約3%ということになります。さらに総合型地域スポーツクラブに条件を限定すると、数は当然小さくなりますから、まぁ圧倒的少数派であることに変わりはなさそうです。
でも、だからこそ、ここで総合型地域スポーツクラブが地域おこしとして認められることを説明する意義がありそうですね。
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結論から先に言うと、総合型地域スポーツクラブが地域おこしとして認められるのは、総合型地域スポーツクラブが以下の点で効果があると期待できるからです。
①健康寿命の向上
・運動による効果
・コミュニティによる効果
②人口流出の抑制
・コミュニティの効果
・クラブ愛が地元愛に
③人口流入の促進
・交流人口
一つずつ説明していきますね。
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①健康寿命の向上
これは分かりやすいのかなと思います。総合型地域スポーツクラブが行う活動は主に運動やスポーツで、それを通じてコミュニティを形成していきます。やり過ぎのスポーツは時に健康を害するわけですが、多くの総合型地域スポーツクラブがそうであるように、健康志向やエンジョイ志向のスポーツ・運動は、健康寿命を延ばしてくれる効果が期待できるわけです。
さらにそれを仲間と行うことでコミュニケーションの機会は増え、孤独な人が減り、ますます健康で元気に生きられる期間を延ばせるようになります。
もちろん、クラブで活動している人たちはそんなことを目的にしている人は少なくて、ただただ「楽しいから」という理由でクラブで活動していると思いますので、これはあくまでも社会的な効果として見てください。
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②人口流出の抑制
やや言い過ぎになるかもしれませんが、総合型地域スポーツクラブが盛り上がることで人口流出を抑制するというのも期待されている点なんです。
なぜ総合型地域スポーツクラブがその地域の人口流出を止めるのかというのは、丁寧に説明した方がよさそうですよね。
総合型地域スポーツクラブは、全世代をターゲットとすることを理想としています。それこそ、生まれてから死ぬまで、一人の人の人生にずっと寄り添い続けるクラブであろうとするのが理想。それが目指す生涯スポーツの在り方の一つだと思います。
すると、「小さな子供の頃からずっとその地域の総合型地域スポーツクラブで活動してきた」という若者が増えるはずなんですね。もちろん、単一種目の地域クラブでもそれは起こりえるわけですが、複数の種目があり、複数の志向がある総合型地域スポーツクラブの場合、種目の変更が直ちに退会(所属クラブを変える)になりませんから、ずっと総合型地域スポーツクラブに所属し続ける可能性は高くなります。
所属期間が長くなればなるほど、クラブへの愛着は高まります。クラブが好きになり、同じクラブに所属しているというだけでその人を好きになり、クラブの為に何かしたいと思うようになります。
そしてそれは、そのまま地域への愛着にもなるわけです。その地域への愛着は、「この地域でずっと暮らしたい」に当然結びついていくものです。だから総合型地域スポーツクラブが盛り上がると人口流出が抑制されるという期待ができるんですね。
もちろん現実的には、”大学などの学ぶ場所があるか”だったり、”仕事があるか”だったりがその地域に残るか出るかの大きな判断基準になってしまうので、総合型地域スポーツクラブが与える影響は決して大きくはないのですが、それでもこれからリモートワークがさらに定着し、どこにいても学べて、どこにいても仕事ができる社会になっていけば、田舎にいるという選択をしやすくなるわけですから、総合型地域スポーツクラブの影響力も増していくと考えられます。
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③人口流入の促進
人口減少が激しい地域は、人口流出を止めるだけでなく、人口流入も増やさないといけません。流出しなくても、高齢者がどんどん亡くなっていってしまうので、その分人口は減っていくからです。
その点、総合型地域スポーツクラブは人口流入の促進にも貢献できると思っています。ただしそれには条件があって、『ある程度会員募集の地域を広域的にする』ということが大事になってきます。
つまり、村や町の人だけで活動するのではなく、外の人も巻き込んで活動をするということです。そうすることで交流人口というものがまず増えます。交流人口というのは、その地域に住んでいるわけではないが、日常的に通ったりしている人たちの数のことですね。
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総合型地域スポーツクラブ研究所
総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…
総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5