2代目以降の『意志』問題

 どうも!上杉健太です。

 今日は、『意志』というテーマでお話したいと思います。総合型地域スポーツクラブのキャリアも10年目に入り、その間常に勉強し続けて、こうしてアウトプットもし続けている内に、年々重視するようになっていったものがあります。それが今日のテーマ、『意志』です。経験とか能力とかノウハウとか、クラブマネジメントに必要なものを色々と挙げることはできますが、そんなものよりなにより、『意志』こそが大事。なぜなら経験も能力もノウハウも、意志さえあれば後からどうにでも身に付けることができるからです。逆に意志がないところに何かを生み出そうとするのは、本当にめちゃくちゃ難しい。これを年々感じるようになっています。これに総合型地域スポーツクラブの代替わりの問題を絡めて考えていきます。


意志とは

 『意志』というと、何だか少しぼんやりした言葉に聞こえますが、要するに「俺はこれがやりたいんだ!」と自ら思える状態のことを、”意志がある”と呼べばいいのだと思います。総合型地域スポーツクラブのマネジメントだと、「会員数1000人にしたい!」とか、「全国大会で優勝したい!」とか、「0~100歳まで全ての年齢の会員を獲得したい!」とか、何でもいいのですが、具体的に目指すクラブ像があり、そこに向かって自ら行動できる状態のことだと思います。意志があるというのはそういうことです。

 ちなみに僕がよく示す意志は、

・総合型地域スポーツクラブを仕事として食っていけるようにする
・死ぬまでスポーツを続けられるクラブにする(生涯スポーツ社会の実現)
・会員数1000人の総合型地域スポーツクラブを作る
・クラブハウスを持つ

あたりですが、この『意志』が常に方向を示してくれているからこそ、あらゆる問題を迎えても迷子にならずに済んでいるような気がします。

意志のある無能vs意志なき有能

 ここでちょっと、遊びをしてみましょう。
 ここに2人のクラブマネジャーがいます。Aさんは生涯スポーツ社会の実現に対して自ら実現する意志を持っています。しかし驚くほどの無能です。ほとんど何もできないと言っていい。Bさんは、自ら実現したい何かがあるわけではないのですが、めちゃくちゃ優秀な人財です。彼らがそれぞれ同じ条件の総合型地域スポーツクラブをマネジメントした場合、一体どのような結果がもたらされるでしょう。もちろんこれはただの言葉遊びで、言葉の意味通りにAさん・Bさんのそれぞれが行動したことを、論理的に説明してみると、ということでしかありませんが、それなりに筋の通った結果が出せると僕は思っています。

 Aさんがマネジメントするクラブは、無能なAさんの為にめちゃくちゃ苦労をして、いつも多くの問題を抱えている状態です。でも、Aさんには意志があるので、本当に一歩ずつですが生涯スポーツ社会の実現に近づいていきます。時間を経れば経るほど、クラブもAさんもボロボロになりますが、それだけゴール(生涯スポーツ社会の実現)に近づくわけです。
 一方のBさんがマネジメントするクラブは、優秀なBさんの為に苦労知らずの運営を続けることができます。Aさんのクラブと同じだけ問題に直面しているはずですが、Bさんの手腕によって問題をはねのけまくるのです。しかしBさんは意志を持たないので、その場から動くことはありません。向かって来る問題をはねのけているばかりで、クラブはそこに留まり続けるんです。ずっと無傷ですが、どこへも行けません。

 ボロボロになりながらゴールに近づくということも、無傷でその場に留まり続けるということも、具体的にどのようなクラブの状態なのか、人によってそのイメージは大きく異なることでしょう。でも何となく、どういうことかは伝わるのではないでしょうか。その差が、『意志』というものの持つ力、効果です。

初代と2代目以降

 さて、この『意志』というものは、誰にでも持てるものではないと僕は思っています。だからこそ、相対的に力を持つことができるのです。だから人生において何かしの『意志』を持つことができたらラッキーだし、その意志を本当に大切にした方がいいと思っています。

 総合型地域スポーツクラブの場合、クラブを創設した人物にこそ、この『意志』が備わっていることが多いでしょう。いや、何もクラブに限った話ではなく、何かを作った者には少なからず意志があると考えていいでしょう。でなければ何かを生み出すということ自体があり得ませんからね。

 総合型地域スポーツクラブなどの組織の場合は、創設者がずっと面倒をみられるわけではありません。組織というのは人が入れ替わりながら続いていくもの。創設者のリタイヤが組織の消滅よりも先に来た場合には、必ずリーダーの交代というイベントを迎えることになります。これを『意志』という観点で見た場合、リーダーの交代と同時に『意志』も代わるのか、意志は受け継がれるのか、という問題が生まれます。受け継がれれば大きな問題は生じないように思えますが、実はそこにも確実に”差”は生まれます。それは、温度の差です。もちろん温度というのは比喩で、意志には物理的な温度はありません。強さと言ってもいいし、大きさと言ってもいいです。多くの場合、2代目以降は創設者ほどの意志を持っていない場合が多いです。これはどうしてもそうなるものだと思います。0→1をやった創設者と、人が作ったものに乗っかった形の2代目以降に、同じだけの意志を期待する方がおかしいでしょう。

 だから一般的にも、2代目以降には初代とは違ったマネジメントスタイルが求められることが多いのだと思います。例えば初代は強烈なトップダウンで引っ張ることができたとしても、2代目は逆にメンバーの意見をよく聞きながら行うボトムアップ型が良かったりしますよね。

意志がないなら

 これってつまり、2代目以降のリーダーは、自分に意志がないことをまず認めるってことだと思うんですね。強烈な意志をもって突き進んだ初代とは違う。それほどの意志はない。まずはこれを認めることが重要で、「だったらどうするか」という思考をすることだと思います。自分に意志がないから、みんなの小さな意志を集めて編集して形にしていく。そういう作業をすればいいということです。そう。例えるなら元気玉です。初代は自分一人でパワーを出すことができて、スーパーサイヤ人3にでも4にでもなれたかもしれない。でもそもそもサイヤ人ではない2代目は、凡人たちの力を借りて元気玉を作ればいい。そんな感じです。

 つまり意志なき2代目以降がやるべきことは、元気玉を作る作業です。そのスタートは、自分には意志がないことを伝え、「オラに元気(意見とか意志とか)を分けてくれ!」とメンバーにお願いをすることです。ミーティングをしたり、ワークショップをしたり、SNSなどで個人的な発信をしたりすることです。そういう地道な行動を繰り返し、クラブとして大きな意志を作り上げればいい。何も意志というのは、リーダーが一人で作るものではないのですから。クラブとして持っていればそれでいいんです。トップダウンだろうが、ボトムアップだろうが関係ない。そこに意志があればいい。逆に言うと、意志がなければ絶対にダメ。いくら優秀でも。進めなくなるから。


 ということで今日は、『意志』というテーマでお話しました。書いてみて思いましたが、初代に強烈な意志があるのは当然だとしても、逆にその必然性もあるんですよね。だって組織を作り始めた頃に”元気玉”を作ろうとしたって、メンバーは少ないし、きっと意見や意志だって弱いから、まともな元気玉にはならないから。だから初代がスーパーサイヤ人にならなければならない。これは必然でもあったんですね。その姿が印象的過ぎるから、どうしても2代目以降も”スーパーサイヤ人”を求められたり、自らも目指してしまう失敗が生まれてしまうのでしょうが、基本的にはそれはやめた方がいい。2代目は元気玉。みんなから元気を分けてもらいましょう。スーパーサイヤ人にならなくていい。誰かの何かの参考にもなれば幸いです。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

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