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【悲報】総合型地域スポーツクラブのイメージが良くない説

 どうも、上杉健太(@kenta_u2)です。”誰もが、いつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる”総合型地域スポーツクラブを広める活動をしています。これまで7年間長野県のクラブをマネジメントしてきて、現在は埼玉県富士見市で立ち上げ準備中です。

 今日は、最近SNS等で地域スポーツ関連の皆さんと交流させていただいて感じてきた、『総合型地域スポーツクラブのイメージ』についてお話したいと思います。一部の総合型地域スポーツクラブにとって耳の痛い話になるかもしれませんが、これからも総合型地域スポーツクラブを広め、総合型ではないクラブとの関係性向上の為にも、言葉にして発信してみます。

 これまで総合型地域スポーツクラブは、総合型ではないクラブから、ある意味では「ズルい」と思われていた部分があるように思います。「ズルい」の要因はおそらく2つ。

・自治体の支援を受けている
・助成金(補助金)を受けている

 多くのクラブが自治体の主導に設立されたり、あるいはそれにかなり近い形で設立してきたことから、このような状態になっています。もちろんそれ自体は悪いことではありません。総合型地域スポーツクラブは国として推進してきたクラブの形でもあるので、ある意味では当然のことです。
 問題は、自治体の支援や助成金の活用の仕方が適切か、ということです。

問題①:自治体の支援や助成金に依存している

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 自治体からの支援や助成金を受けた総合型地域スポーツクラブは、それらを受けなくても自立して運営していけるように経営努力をするべきだと私は思っています。しかし中には、そういったアドバンテージを安易に、『参加費を抑える』という方向性に活用してしまうクラブもあるのも事実です。

 実際に、スポーツ庁が総合型地域スポーツクラブに対して行ったアンケートでは、10%の総合型地域スポーツクラブが会費を徴収していないと回答しています。

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 また、全国の総合型地域スポーツクラブが会員から徴収している会費額は、月あたりで平均1055円と非常に安価になっていて、70%以上のクラブが月あたりの会費額を1000円以下に設定しているんです。

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 これらのデータが直ちに自治体依存や助成金(補助金)依存の体質を表すものではありません。例えば運営にかかるコストを抑えていれば、会費収入もさほど必要ではないからです。(※それにしても、月1000円以下がこれだけ多いというのは・・・)

 運営にかかるコスト(予算)に注目してみると、約30%ものクラブが年間100万円以下で運営していて、75%以上のクラブが年間1000万円以下で運営しているようです。

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 このデータの一番規模が小さいところを参考に、年間の運営費100万円、月会費100円として、会費収入だけで運営費をまかなおうとすると、必要な会員数は約833人となります。

 ではそれだけの規模を総合型地域スポーツクラブは生み出せているかというと、そこまでのクラブは多くはないようです。会員数が300人以下のクラブが約65%。1000人以上の会員数があるクラブは10%未満です。

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 もちろんクラブの収入源は会費収入だけではなく、その他の事業収入によってまかなっているクラブはあるでしょう。
 ただし、クラブの年間収入における会費や事業費など、クラブが自ら上げた収益の占める割合(自己財源率)をみて見ると、自己財源率が10%以下のクラブが全体の1割もあり、自己財源率が90%を超えるクラブは全体の1/3しかないようです。

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 会員による受益者負担で運営するのが理想の一つとされている総合型地域スポーツクラブで、自治体や補助金に依存する形をとってしまっているクラブもあるというのが現実だということです。中には、役所が事務局を務めているクラブもあります。(※それはそれで、持続可能性という観点で言えば非常に高いやり方なのだとは思いますが・・・)

問題②:プロのクラブマネジャーを設置できていない

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 持続可能性を高くする手法として、国が推進してきた総合型地域スポーツクラブの在り方の一つに、『クラブマネジャーを設置する』があります。独立行政法人日本スポーツ振興センターが総合型地域スポーツクラブに対して出す助成金には、『有償のマネジャーを雇用していること』という条件が課されていることからも、その点を重要視していることが分かります。つまり、プロのクラブマネジャーを設置して、持続可能性(クラブの質)を高めようというのが、この国が進めようとした総合型地域スポーツクラブの形なんですね。

 では、どれだけの総合型地域スポーツクラブがプロのクラブマネジャーを設置しているかというのを、順番に見ていきます。

 まず、そもそもクラブマネジャーを設置しているのは、大体半分くらいのクラブです。
 想像するに、設置をしていないクラブは、日本スポーツ振興センターからの助成金を受けている期間はマネジャーを設置していたが、助成金が受けられなくなって雇用をやめたクラブがかなりあるのではないかと思います。あるいは、初めから助成金を受けていないクラブということになります。(※全体の半数くらいが、助成金を受けたことがないクラブです)

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 ではクラブマネジャーを設置しているクラブの内、どれだけのクラブがマネジャーに給料を払っているかをみて見ていきたいと思います。まず、勤務形態としては、常勤か非常勤かがあり、おそらくフルタイム(1日7~8時間、週5日程度の勤務)かどうかで線引きをしていると思われますが、常勤が約40%、非常勤が60%という割合です。

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 これだけ見ると、半分以下のマネジャーが、総合型地域スポーツクラブの為に時間やパワーを使いきることができていないことが分かります。(シンプルに、それだけでは食っていけないという状態とも見れます)

 さらに、それぞれの報酬について見てみると、常勤の方は約20%が無報酬、非常勤の方は約60%が無報酬で勤務しているようです。これだけ見ると結構驚きです・・・。

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 常勤で無報酬というのはちょっと考えられないので、報酬の出処がクラブではないということだと思います。おそらく、役所が事務局や公民館などが務めている場合なのかなと。非常勤の無報酬は、ボランティアでやっているかたが多いのかなと思います。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5