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選択と集中

 何事にもメリット・デメリット、向き・不向きがある。

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『選択と集中』というテーマでお話したいと思います。前回書いた『ポートフォリオ』、つまりは分散させることとはある意味では反対の考え方ですね。


分散のデメリット

 まずは、前回のテーマとした『分散』させることのデメリットについてお話します。

 前回は、あたかも分散させることはリスクヘッジになって良いことだ、というような文脈でお話したと思いますが、これはあくまでも“リスクヘッジの観点から言えば”、という意味です。どこかの領域が落ちた時に、他の領域を確保しておけば、大怪我にはなりにくいよ、というだけの話ですね。

コストが大きくなる

 実際にポートフォリオ経営(事業領域を分散させるやり方)をすると、大きなコストがかかります。
 分かりやすくする為に、コーチを雇って新たに10クラスを作る事業を考えてみましょう。事業領域をバドミントンに絞れば、もしかしたら1人のコーチを雇うだけで10クラスを作ることができるかもしれませんが、バドミントンとテニス、バスケットボール、フットサル、陸上で合わせて10クラスを作ろうとすると、さすがに1人のコーチでは無理でしょう。私が進めようとしているマルチコーチを採用しても難しいと思います。すると、1種目1人のコーチとすると、5人を雇わなければなりません。時給制にすれば、人数が増えても支出は変わらないように思うかもしれませんが、労働保険や社会保険、その他の労務管理などのコストは確実に増えます。
 また、用具費も無視できません。バドミントンの10クラスはかなりの部分で共通用具を使えますが、5種目10クラスの場合は、それぞれに必要になる用具があり、コストにはかなりの差が出るでしょう。

 そう。分散は基本的にコストがかかるのです。

マネジメントが難しくなる

 デメリットはコストだけではありません。事業領域が複数に跨がれば、マネジャーの能力も高いものが求められます。それぞれの種目などについて、それなりの知識が求められるし、それぞれのスタッフに合わせたコミュニケーションも必要になります。
 マネジメントをする人も人間ですから、ついつい得意な領域のところに力を入れてしまったりすることもあります。すると、他の領域のマネジメントが疎かになり、やがて衰退していってしまうということも。

 ポートフォリオ経営には、高いマネジメント能力が求められるのです。
(※このハードルを低くする為にも、マルチコーチの採用を総合型地域スポーツクラブは進めた方がいい。コーチを増やすとマネジメントはかなり大変になる。1人のコーチに複数種目の指導をしてもらった方がマネジメントは100倍容易になる)


選択と集中

 というわけでここからが本題です。分散させることが難しい場合には、選択と集中をすることになります。分散させるだけの資源がない。ポートフォリオ経営ができるだけのマネジメント能力がない。そういうクラブの場合です。あるいは、明らかに得意分野があるクラブなんかも、選択と集中の戦略を採用するべきですよね。

メリット

 選択と集中のメリットは、もうここまでにお話しているように、

  • 低いコストで事業を大きくできる

  • マネジメントが比較的容易

  • 当たれば拡大スピードは速い

といったあたりだと思います。

 例えば私が以前マネジメントしていたたかぎスポーツクラブでは、空いているテニスコートという資源をきっかけに、そこに地域おこし協力隊活動費というカネ資源と、上杉の時間・パワーをぶち込んで、一気に拡大しました。その時に考えていたのは、「クラブの柱を作る」ということでした。
(※基幹事業という意味と、生涯スポーツを実現できる種目という意味で)

 まさにテニスを選択して、そこに資源を集中させたんです。


リスク

 もちろんリスクはあります。選択した領域がダメになった時に、そこに投じた資源が資産とならずに無駄になる可能性があるということです。

 このリスクを小さくするのがポートフォリオ経営でしたね。分散できる資源があるなら、少しでも分散するといいのだと思います。

 ただし、総合型地域スポーツクラブはほぼ100%のクラブがスモールビジネスでやっていると思います。一度に大きな資源を投じるようなことはあまりないでしょう。とするなら、あまり分散というコストを割く必要もないと考えることもできます。弱者の戦略は、基本的には選択と集中です。


デメリット

 でも油断してはいけません。総合型地域スポーツクラブにおける選択と集中には、明らかなデメリットがあります。
 それは、理念とのミスマッチです。多種目・多志向・多世代と謳いながら、「選択と集中だー!」とか言って事業領域を絞るのは、やや矛盾するところがあるんですね。選択と集中によって、地域住民のニーズを無視しなければならない点はかならず出てきます。このあたりはちゃんと認識をしたうえで、「“今は”選択と集中の時期なんだ」とすることが大事でしょう。


 ということで今回は、『選択と集中』というテーマでお話しました。経営は色々な視点から考えないとダメだよ、ということですね。大変ですね(^_^;)
 誰かの何かの参考にもなれば幸いです。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5