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支援と連携の違い

 文書になっていないものは、なかったことになることもあるから気を付けよう。

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『支援と連携の違い』というテーマでお話ししたいと思います。昨日行われた富士見市スポーツ推進審議会に出席してきたことの報告が主な内容となります。

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 今回の会議の議題は2点。1つは、第2期スポーツ推進計画の素案についての意見交換。もう1つは、富士見ガーデンビーチという市営プールの跡地の活用方法についての意見交換。

(※一昨日の記事で第1期のスポーツ推進計画の振り返りなどを書いていますので、もしよろしければそちらからご覧いただけるとより楽しめるのかなと思います。)

 今回も総合型地域スポーツクラブに関する話題のみをここで報告させていただきます。

 あ、ちなみに、「そんな会議の内容を公開していいのか!?」と不安になってしまう人がいらっしゃるかもしれませんが。どうかご安心ください。この会議は傍聴もできて議事録も公開される開かれた会議ですので、内容をオープンにして怒られることはないと思います。むしろ、より多くの人の目に触れることが大事です!

 では順番に、スポーツ推進計画の第1期から第2期の素案で、総合型地域スポーツクラブの扱うがどのように変わっているか、それについてどのような議論が交わされたかを報告していきます。

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①基本目標の変更

 大きなところからいくと、示された素案では、総合型地域スポーツクラブが施策として扱われる基本目標が変わりました。スポーツ推進計画では4つの基本目標が設定され、それぞれに施策が紐づけられているのですが、その基本目標自体がまず変わり、総合型地域スポーツクラブの紐づけも変わったということです。

無題のプレゼンテーション (16)

上の図が第1期と第2期の基本目標をまとめたものです。黄色く色づけされた基本目標が、総合型地域スポーツクラブが施策として盛り込まれている部分になります。

 第1期では『スポーツをするための環境整備の促進』という目標に対して総合型地域スポーツクラブは位置づけられていましたが、第2期の素案では『スポーツを通じた市民の交流と地域の活性化』という目標に紐づけられていました。

 正直、第2期の素案で示された基本目標4つのうち、『スポーツを活かしたシティセールス』以外なら、総合型地域スポーツクラブはどこに位置づけられても問題はないと思いますし、総合型地域スポーツクラブを本気でやっていくと全ての目標に影響を与えていくと思います。なので、どの目標に紐づけられているのかはどうでもいいのですが、ただし、変えた理由については若干気になったところではあります。

 第1期で総合型地域スポーツクラブが施策として紐づけられていた基本目標である『スポーツをするための環境整備の促進』は、第2期の素案でも残っているのですから、普通であればそのままの目標に紐づけられると思うんですね。そこを変えてきたのですから何らかの意図がありそうですが、特に計画書にその説明書きはなく、会議の場でも市からの説明はありませんでした。そして私も、他のことに議論の時間を使いたかったので、そこについては質問しませんでした。

 どうせ私のやることには変わりないんです(笑) 私が目指す総合型地域スポーツクラブは、生涯スポーツ社会を作り上げていくものだし、交流の場(コミュニティ)だし、スポーツ環境をソフト面から整備していくものだからですね。

 とりあえずこの部分では、一応第2期では富士見市が求める総合型地域スポーツクラブの目標が変わったよ、とご理解ください。

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②施策の減少

 では次に、総合型地域スポーツクラブに関する施策の数を見ていきます。先ほどご覧いただいた4つの基本目標に、施策の柱がそれぞれ立てられ、さらにそれらの柱に打ち手が並んでいくような書き方がされています。総合型地域スポーツクラブに関するところを以下のようにまとめました。

無題のプレゼンテーション (17)

 パッと見た感想では、「総合型地域スポーツクラブの扱い、雑になったな~」ですよね(;^_^A 私が総合型地域スポーツクラブとしてのふじみスポーツクラブを作ってしまったからこそこうなったことは間違いないので、やっぱりちょっと罪悪感を覚えます。

(※あ、でも、私がやらなかったら第2期からは総合型地域スポーツクラブの文字が完全に消えていた可能性もあるな・・・。「もう総合型地域スポーツクラブは諦めます」ということになって。だったらそんなに気にすることもないのか・・・。)

 いずれにしても第2期の素案では、総合型地域スポーツクラブに関する施策の数は大幅に減りました。減ったといっても、今年度が最終年度となっている第1期の施策はほとんど実行されていないと評価されているので、減ったとも言えないのかもしれませんが・・・。ただ、計画に書いていないことはやる必然性もなくなってしまうので、富士見市の総合型地域スポーツクラブを盛り上げようという大きな動きは作りにくくなる。私はこれを非常に危惧しています。

 第1期の施策の評価で「ほとんどできていない」と行政担当者が言っているように、総合型地域スポーツクラブについての啓発も、情報発信も足りていないし、そもそも設立準備委員会とか設立検討委員会とかすらも立ち上げていない状態が続ているのが富士見市の現状。そこに私が単独で動いて総合型地域スポーツクラブを立ち上げたからといって、これらの計画が達成されたことにしてしまっては本当にダメだと思うんですね。市民が行政に期待した動きはそれではないはずなので。市は「市が支援して総合型地域スポーツクラブを創設します」と言ってしまっていたわけですから。

 あ、一応付け足しておきますが、私が単独で動いたと言っても、ちゃんと行政担当者には「一緒にやりませんか?」という声掛けはしていて、その時は「実績がない人(団体)を支援するのは・・・」とちゃんと断られています(笑) そういう経緯があったからこそ、市には私の動きとは別にちゃんと計画を実行して欲しかったです。それが筋ってもんだと私は思っています。まぁでもこれは今日限りもはや言いません。それについては後ほどご報告します。

 とりあえず、第2期の素案では、総合型地域スポーツクラブについての施策の数が減っているということだけ抑えてください。

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③支援から連携へ

 やっと本題にたどり着きました。ここまで読んでいただければお気づきだと思いますが、第1期では総合型地域スポーツクラブを『支援する』というスタンスだったところ、第2期の素案では総合型地域スポーツクラブと『連携する』となっているんですね。

無題のプレゼンテーション (18)

 ここがどうも気になるところなんですよね(;^_^A

 支援と連携。結構ニュアンス違くありませんか?支援と言うと、「支える」とか「応援する」「援助する」というサポート的な意味合いになりますが、連携と言うと、「一緒にやる」とか「同じ目的に向かって行動する」とか、そういった感じですよね。つまり、『連携』の方が対等な関係性なんですよね。

 もちろん、それ自体が悪い訳ではないし、最終的にはその関係性がいいと思っています。でも、ふじみスポーツクラブの創設も支援せず、他の総合型地域スポーツクラブ創設についての支援施策も実行せず、急に”連携”に変わるのはどうなのかなと思いました。

 会議の場で確認したところ、市としてはふじみスポーツクラブを総合型地域スポーツクラブとして認知したうえでの素案のようでした。そこは私も当然想像していたので、あえて意地悪な言い方をすると、この素案を最初に見た時は、「もう総合型地域スポーツクラブ(ふじみスポーツクラブ)はできたから創設支援はいらないよね。もうここからは連携だよね」と言われているように感じました。

(※行政担当者がふじみスポーツクラブの扱いに困った結果、このような書き方になったのだと思います。それは察します。「富士見市には総合型地域スポーツクラブはまだないので、引き続き創設に向けて取り組みます」と書いたら、それはそれで上杉は怒りそうだし(笑))

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議論①:市が主導する創設の可能性は?

 さて、ここからは私が意見したことをベースにどのような議論がなされ、私がどう受け止めたかを報告していきます。

 まず私が意見したのは、「富士見市の総合型地域スポーツクラブ施策については、まだ支援の段階だと思う」ということです。ふじみスポーツクラブを総合型地域スポーツクラブとして認めてくれるのは嬉しいのですが、まだ60数名の会員数で、私がほぼ一人で引っ張っているようなクラブですから、これをもって「富士見市の総合型地域スポーツクラブが出来ました!」と言うのはちょっと時期尚早。

 そして私自身がふじみスポーツクラブの代表である以上、このような市のスポーツ推進を検討する場で、「私のクラブを支援してください!」と言うこともできない。だから、「うちのクラブはいったん置いておいて、ちゃんと市民の期待に応えるクラブを市が支援して立ち上げることを検討しませんか?」と言いました。それが市民の利益を最大化することだと思う、と。

 これについては、他の出席委員も巻き込んで色々な意見が出されました。かなりの時間、総合型地域スポーツクラブについての話題になっていたと思います。

 支援とは何で、連携とは何か、みたいな話にもなったのですが、結局明確に支援とはこういうことで、連携とはこういうことで、ということは素案の作成者の中にもなかったように思います。ただ、連携のイメージとしては、「行事を一緒にやる」みたいなことのようでした。まさに私が恐れていたこと。「そのレベルの連携かい!」と心の中だけで突っ込みました。強めに。

 ここでは本当に色々な意見が出ていたのですが、行政とスポーツ推進審議会の委員で一致していたのは、「ふじみスポーツクラブ以外の総合型地域スポーツクラブについては考えない」ということだったと思います。つまり、今さら設立準備委員会などを立ち上げて検討することはせずに、ふじみスポーツクラブを支援するか、連携しようということです。そのうえで、じゃあどのような支援・連携がいいのか。そういう方向性でした。

 オフィシャルな会議の場でこのような議論がなされ、そのような方向性で意見が一致している以上、もう私はこれについては何も言いますまい。ふじみスポーツクラブの他に支援すべき総合型地域スポーツクラブ候補がないのなら、市民の利益の最大化の為に堂々とふじみスポーツクラブへの支援を要求していきたいと思います。もうそっち方面に完全に舵は切られたと受け止めました。ふじみスポーツクラブこそが富士見市の総合型地域スポーツクラブである。そういうことです。

 市はスポーツ推進計画を策定するにあたり、総合型地域スポーツクラブについてのアンケートもとっていて、まだ形も何もない状態で期待を聞いたところ、20%以上の人が「入会してみたい」という回答をしたいたと記憶しています。

(※ちゃんと調べ直さなくてごめんなさい(;^_^A)

 そのように総合型地域スポーツクラブに期待していた人たちに、「なに?市が言っていた総合型地域スポーツクラブってこんなものだったの?」と言われないように、ふじみスポーツクラブが頑張る!市民の利益の為になるなら行政のことは遠慮なく使います!!むしろ、ふじみスポーツクラブが行政を使わないことが不義となる状態にすらなったと認識しています。

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議論②:営利目的と誤解されないように?

 これは議論と言う形にはしなかったのですが、行政担当者から出た発言で残しておきたいものがあったので報告します。これはこれまでもそのかたから何度か言われていたことで、全国の総合型地域スポーツクラブも抱えてきた問題だと思います。それが、「営利目的と誤解される」というものです。

 行政担当者としては、営利目的でスポーツ振興をしている団体のことは支援・連携できないということが言いたいのだと思います。

 今時、営利企業と手を組んでいる行政なんてたくさんあるような気もするのですが、まぁ言いたいことはよく分かります。

(※一般社団法人ふじみスポーツクラブは非営利組織です)

 私は会議の場ではこれについては何のリアクションもしませんでしたが、もし市としての正式な意見として「今のふじみスポーツクラブのやり方だと営利目的だと誤解される」を採用するなら、市として考えられる支援策は、「誤解の原因となる会費徴収を廃止できるよう、市が全ての運営資金を出す」ということですよね。

 私は総合型地域スポーツクラブはあくまで市民活動としてあるべきで、受益者負担の考えに基づいて運営されるべきだと考えている人間なので、運営資金を税金から全て出すというのは好きではありませんが、富士見市が「市民からお金をとるな」と言うのであれば、考えようはあるかと思います。市の事業としてやるとかですね。その方向性にいきたいのであれば、それはそれで協力させてもらおうと思っています。

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 さて、もうそろそろ終わろうと思いますが、最後にご報告が2点あります。

 1つ目。昨日付で正式に埼玉県に総合型地域スポーツクラブとして認知されることになりました!

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 それで特に何があるということはないのですが、富士見市にもその通知がいっているはずなので、市が”総合型地域スポーツクラブを支援”と謳っている以上、ふじみスポーツクラブのことも支援せざるを得ない状況は作りやすくなったかなと思います。そんな風に交渉するつもりは今のところありませんが、経営が切迫してくるなど、いざとなったら強気で交渉に出られるということですね。

 移住のタイミングが設立に向けた動きのスタートだとしたら、2021年1月15日から約9か月半での総合型地域スポーツクラブ設立。まだまだ規模が小さいので大それたことは言えませんが、かなり早い記録なのではないでしょうか。「移住者でも9か月で総合型地域スポーツクラブはつくれる!」と私は言えるようになったということですね。講演会のネタにはなりそうな気がしますし、その内これでnote一本まとめようかなと思います。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5