総合型地域スポーツクラブの雇用問題
こんにちは!
長野県の喬木村(人口6100)で総合型地域スポーツクラブ「たかぎスポーツクラブ」のマネジメントをしています、上杉健太です。
私は仕事(専従)でクラブマネジャーという職業についています。
クラブは設立7年目で、クラブの収入規模は2千万円ほど。
私の年収は同年代(2020年2月現在で36歳)の全国平均や県内の平均を下回ります(笑)
※東京で7年間サラリーマンしていた時の最後の年収と比べると約半分。
私個人の問題でもありますが、後継者のこと、クラブの持続可能性のことを考えると、これは何とか解決しておきたいなと思うので、今回は総合型地域スポーツクラブの雇用の問題について考えてみたいと思います。
まず、私がなぜ自分の年収の低さなどを発表するのかというと、このままでは家計を支えることができる仕事としては、クラブマネジャーは弱いということが言いたいからです。
このままでは私も続けられないし、後継者だって、なかなか現れない。
(たぶん、職探しをしていて給料だけ欲しい人はたくさん現れるとは思いますが)
クラブマネジャーというのは結構重要なポジションでして、総合型地域スポーツクラブの立ち上げを推進していた文部科学省によると、
1)総合型地域スポーツクラブ育成マニュアル 2-2 クラブマネージャーの役割(1)総合型地域スポーツクラブは一つの事業体です。会員規模も大きく、複数のスポーツ活動を行う組織の経営管理を円滑に行うためには、クラブマネージャーの存在は欠かせません。
1 クラブマネージャーとはクラブマネージャーとは、事業体としての総合型地域スポーツクラブ全体の経営管理(マネジメント)を行う立場にある人のことを指します。クラブの財務状況や会員数、活動プログラム、運営委員会と指導者、各種目別の活動状況など、クラブ全体について把握している人のことです。
2 クラブマネージャーの役割会員が充実したクラブライフを送ることができるよう、会員の多様なニーズに的確に応えていくために、会員とのコミュニケーションを図り、常に会員のニーズの把握に努めるとともに、会員のニーズにあったプログラムを運営委員やスポーツ指導者等とともに開発することは重要な役割です。
さらに、スポーツ指導者が実際の指導(コーチング)に専念できるように、また、活動プログラムが円滑に運営できるようにすることも、クラブマネージャーの大切な役割と言えます。
また、クラブマネージャーは、クラブの運営管理に関わる総務や財務、広報等あらゆる分野の専門的知識を有することが理想ですが、すぐにすべてを兼ね備えた人を得ることは難しい場合もあるでしょう。したがって、クラブマネージャーを支える人が必要な場合もあるでしょう。地域には、スポーツ指導者や審判員としての資格を有した人の外にも、コンピュータによる情報処理に長けた人や会計業務の詳しい人等、様々な知識や経験、ノウハウや人脈をもった人が存在することが考えられます。こうした人材をいかに発掘し、有効に活用・機能させることができるかということも、クラブマネージャーとしての一つの手腕であると考えてもよいのではないでしょうか。
クラブマネージャーの存在により、会員の意見や運営委員会の意向を反映したクラブ経営が初めて可能になるといっても過言ではありません。
このため、クラブマネージャーは日々の活動の中で、また、研修会等を利用して、常にその資質の向上を図る努力をすることは、言うまでもありません。https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/club/029.htm
と、かなりの役割と能力をクラブマネジャーは求められています(笑)
で、実際に私がやっているマネジメント業務はこの通りだし、何ならもっと役割は多いです。
これだけ役割を求められて、無償とかパートレベルの報酬では、たまたまその地域に熱意のある人がいるかいないかだけがその継続性が決まってしまって、仕組みになりません。
なので私は『食っていけるクラブ』にして、雇用を継続できて、その結果クラブが持続していく仕組みを作り上げる挑戦をしています。
そこで大切なのは、雇用するかしないかとか、その報酬をどうするかということを、まずクラブ側が意思決定をするということです。
私がマネジメントしているたかぎスポーツクラブの場合、クラブ側がその意思決定をすることなく、私個人の想いとビジョンを形式的にクラブに承認していただいて予算を組み、何とか当面は生活できるくらいの報酬は出せるようになってきたのですが、もちろん従業員への報酬はまだまだ足りなくて、さらに上に行くにはこれまでのように曖昧なままではダメだろうなと、私は危機感を持っているんです。
決めるべき方針は、
・そもそも雇用生み出すクラブにするのか
・報酬は食っていけるレベルにするのか、パートやアルバイトレベルにするのか、ボランティアレベルにするのか。
・誰を採用するのか。地元の人に限定するのか、能力ある人を幅広く募集するのか。
少なくともこのあたりはちゃんと決めておかないと、クラブの適正規模が決まりません。
クラブ運営のコストが決まらないと、会費額や目標会員数などが決められないからです。
これはクラブの計画を立てる上で欠かせない情報なので、この方針がなく何となく「昨年はこうだったから。。。」でやっていると壁にぶち当たります。
たかぎスポーツクラブの場合、私がどんどん提案していったので、方向性としては「クラブの規模を大きくして雇用できるようにする」に向かっています。
しかしそれをクラブの主体である「会員」(=社員総会)が意思決定したわけではありません。
理事会でも意思決定していません。
毎年毎年、事業を拡大させ、会員数を増やし、受託事業を増やし、クラブの収入を大きくしたうえで、「結果出したので報酬もっとくださいな」という従業員側からのメッセージを乗せた予算案を提案して承認していただくことで、翌年の報酬をアップさせてきた形です。(1年契約)
つまり行き当たりばったりというか、雇用という点に関してはクラブとして目指す姿を設定しないままに、毎年毎年「これくらいの報酬なら出せるよ」と交渉してきただけなんです。
最初の熱意のあるメンバー(従業員)なら、これでも暫くは耐えられるでしょう。
しかしたかぎスポーツクラブの場合も既に、家族の不安や反対などで離脱に向かっているケースが出てきており、これから設立当初を知らないメンバーが“仕事口”として入ってきた場合には尚更でしょう。
従業員が気持ちよく、安心して働けるクラブになることは、クラブのパワーを上げることに繋がると思いますし、そこで働きたい人が出てくれば後継者問題も顕在化しないで持続可能性を高めることができます。
だからクラブを長く続けるには必要な観点だと思っています。
とはいえ、全ての総合型地域スポーツクラブが『食っていけるクラブ」になる必要はないと思います。
そもそも難しいので(笑)
だからこそ、自分のクラブはどういうクラブを目指すのかを意思決定しなければならないんです。
道標がなければ、一歩は弱く、遅くなります。
ボランティア集団を目指すなら、それはそれで体制づくりをしなければなりませんし、パート職員で回せるようにするなら、総会や理事会が意思を持ち、職員をコントロール(指示・管理)できるようにならないといけません。
何も言わなくても勝手にやってくれる私のような便利な人間に預けておくのは、組織としては非常にリスキーです。
その人が突然死んだらどうする?ってことです。
可能性としてゼロではないわけですからね。
ちゃんと方針や目指す姿を決定して、体制づくりをしていきましょう!
あ、これは個人事業としてクラブをやっているかたには関係ないです!うちのように全会員に議決権があったり、理事会を設置しているクラブに必要なお話でした!
たぶん世の中には報酬が低くてモヤモヤしてるクラブ従事者がたくさんいると思うので、正当な報酬でコスト計算(予算化)されることに少しでも貢献できればと思って書きました。
私も引き続き動きます!
まずはクラブ組織としての強化!(これはいずれの方針にするにも必要!個人に頼るのは危険!)
そして目指す姿を組織としての意思決定する!
総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5