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「サービスか、活動か」クラブを分ける決定的な考え方

 どうも、上杉健太(@kenta_u2)です。”誰もが、いつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる”総合型地域スポーツクラブを広める活動をしています。これまで7年間長野県のクラブでマネジャーやコーチをしてきて、現在は埼玉県富士見市での立ち上げにチャレンジしています。

 総合型地域スポーツクラブといっても、その実態は実に様々です。地域の環境や経営資源によって生じる違いなどももちろんあるのですが、クラブ経営における決定的な考え方の違いが総合型地域スポーツクラブという業界内には存在しているなと思ってきました。

 それが、「スポーツをサービスと捉えるか、活動と捉えるか」です。
 これは決して、どちらが良い・悪いという話では決してありません。でも、ここを擦り合わせていないと、いつまで経っても議論がすれ違ってしまうということが起きるので、「うちのクラブはスポーツをどう扱っているのか」は絶対にしっかりと話した方がいいと思っています。

(※このあたり、クラブ経営をしている人もはっきりしていなかったり、それこそ職員レベルになると認識が本当にバラバラだったりします)

「スポーツはサービス」というクラブ

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 まず、スポーツを『サービス』と捉えている総合型地域スポーツクラブがどういうクラブかというところから改めて考えてみたいと思います。飲食でいうと、料理を店が作って提供するレストラン型ですね。

 そもそも『サービス』とは何かというところからいきますね。

【サービス】
人のために力を尽くすこと。奉仕。「休日は家族にサービスする」
商売で、客をもてなすこと。また、顧客のためになされる種々の奉仕。「サービスのよい店」「アフターサービス」
商売で、値引きしたり、おまけをつけたりすること。「買ってくださればサービスしますよ」
4 運輸・通信・商業など、物質的財貨を生産する過程以外で機能する労働。用役。役務。
 ~goo国語辞書より~

 「人のため」とか、「奉仕」「商売」「もてなし」あたりがキーワードとなってきそうですね。

 つまりスポーツを『サービス』と捉えている総合型地域スポーツクラブには、以下のような特徴が出てくるかなと思っています。

・スポーツ(指導や設備など)を商品として売っている
・自分の為ではなく、会員(お客さん)の為にクラブをやっている
・会員はクラブの構成員というよりは、お客さん

 また、これを組織的に捉えると、お客さん的である会員は、クラブ経営の外にいます。あくまでも会員は、サービスを受ける側です。図にするとこんな感じかなと思います。

無題のプレゼンテーション (7)

 まさにクラブのオーナーである正会員と、クラブの事業を執行する役員、または経営陣(クラブ)に雇われた職員によって提供されるスポーツサービスを、客さんである会員が受けるという関係性です。

 民間のフィットネスクラブなどの場合はきっとこの組織のような形ですよね。株主が図の正会員の部分となり、取締役などの役員を任命し、職員を雇ってお客さんにスポーツをサーブするという。株式会社などの営利企業の場合は、そこから生まれた利益を株主に分配します。

 一方、NPO法人や一般社団法人でスポーツサービス型のクラブの場合、基本的な構図は営利企業と同じですが、生まれた利益は再びスポーツサービスを提供する事業の為に使われます。

 この形のいいところは、分かりやすくて、経営がしやすいことだと思います。比較的少数の人で経営をするので、理念の共有や意思決定が容易でスピーディーになります。
 また、お客さんとしてスポーツサービスを買うというのも、お金を払うという行為とイメージが一致しやすく、変な混乱が生じにくいのかなと思います。

「スポーツは活動」というクラブ

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 次に、スポーツを『活動』と捉えている総合型地域スポーツクラブがどういうクラブかというのを考えてみたいと思います。飲食でいうと、自分で作って自分で食べるバーベキュー型だと思ってください。

 『活動』という言葉は少しふんわりしていますが、ここでは、もちろん『サービス』に対する言葉としたいです。

(※サービスの対義語がわかりません!!)

 なので、ここでの『活動』は「自分の為の行動」としてください。

 つまりスポーツを『活動』と捉えている総合型地域スポーツクラブには、以下のような特徴が出てくるかなと思っています。

会員自身がスポーツを楽しむ為に、会員がクラブを経営している
・お客さんは存在しない
・職員を雇い、クラブにサーブさせる

 これを組織的に捉えると、会員は、総会の議決権を持つなど、クラブ経営に関わります。あくまでもクラブは、会員による会員のための活動です。職員を雇う場合には、彼らにクラブ運営に必要な業務を行わせて、ある意味ではクラブにサーブさせる(仕えさせる)ということですね。
 これも図にしてみます。

無題のプレゼンテーション (8)

 クラブに参加している会員全員に、総会の通知が届いているクラブはこの形ですよね。むしろ職員がクラブの外の人ということになります。

(※もちろん、会員が職員として雇われている場合もあります)

 このやり方のいいところは、ニーズを把握しやすいということですね。全員が経営に意見をする機会があるので、ニーズが集まりやすい組織の形だと思います。
 しかしそれは、意思決定の難しさも生み出します。たくさんの人が言いたいことを言えばまとめるのが大変なのは容易に想像できますよね(^^;) また、経営に関わる人が多くなれば、理念がぶれたり、意思決定に時間とお金がかかったりと、効率的な面で見ればデメリットもあります。
 さらに、会員の中にはどうしてもお客さん気分でいる人もいるので、「目の前の職員こそがクラブの人」と思ってしまい、会員と職員の関係性が難しくなったりもします。

まとめ

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 繰り返しますが、これはどっちが良い・悪いという話ではありません。スポーツサービス型のクラブにも、スポーツ活動型のクラブにもそれぞれのメリットとデメリットがあるのだと思います。

 しかし現実的には、クラブが大きくなるとスポーツ活動型だと組織運営がかなり大変になってきますので、少なくとも大規模クラブは、スポーツサービス型になった方がいいのかなとは思います。

 これって、少し前に書いた『ビジネス型クラブ』と『コミュニティ型クラブ』の話にも似てますね。

 いずれにせよ、どの総合型地域スポーツクラブにおいても、どのような型のクラブを目指すのかは話し合っておくといいのかなと思います。例えばスポーツ活動型のクラブに対して、「価値を上げて会費収入を上げるんだ!」と言っても、どこまでいっても頭には「?」しか浮かばないので。

 当たり前のようですが、結構大事な話だと思います!


 というわけで今回は、『「サービスか、活動か」クラブを分ける決定的な考え方』というテーマでお話しました。
お読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5