『総合型クラブ創設ガイド こうして創った!こうすれば創れる!』まとめ①
総合型地域スポーツクラブ研究所、所長の上杉健太(@kenta_u2)です。総合型地域スポーツクラブのマネジメントやアドバイザー、講演・執筆活動、エンジョイスポーツコーチなどをしています。長野県喬木村で7年マネジャーを務め、現在は埼玉県富士見市で立ち上げ準備中です。
今日は、日本スポーツ協会(旧:日本体育協会)さんが発行している『総合型クラブ創設ガイド こうして創った!こうすれば創れる!』を使って、総合型地域スポーツクラブの作り方を学んでいきたいと思います。
総合型地域スポーツクラブのマネジメントを7年間やって来たとはいえ、私には総合型クラブの立ち上げ経験はありません。19歳の時にフットサルクラブなら立ち上げたことがありますが、あれはちょっと別物。
なので私は、立ち上げについては本当に謙虚に学ばないといけない。こういう教科書的なものは、つまらないものも多いと思うのですが、これはかなり参考になると思います!
クラブづくり”はじめの一歩”
まずこの本では、こう言っています。
地域における総合型クラブの存在価値と必要性をわかりやすく表明しましょう。
これはつまり、そのクラブの『理念』を作って、地域に向かって発表・説明しましょうということです。さらにこの本では、こう言っています。
......我がまちのスポーツ活動、「これで十分」と感じていても、
もう一度、考えてみてください。
......子ども、青少年、高齢者、みなさんのまちで、各世代には
課題はありませんか?
これ、私が以前に記事にした『日向(ひなた)と日陰』の話と似ているなと思いました。
「地域のスポーツ環境は十分に整っている」「もうすでに施設は予約でいっぱいだ」「これ以上は必要ない」と主張するのは全部、”日向の人たち”です。今満足している人たちだけを集めて意見を聞くと、「もう十分だろ」となってしまいます。
一方、日陰の人たちは、「私たちもスポーツやりたいのに・・・」「今ある団体には入りにくい・・・」と思っていたりします。この人たちの声を拾わなければなりません。
つまりこの本では、”今のスポーツを支えている人たち”(=日向の人たち)の意見ばかりではなく、”今のスポーツ環境に満足していない人たち”(=日陰の人たち)の意見もよく聞いて、よく想像してみましょうと言っているのだと思います。
そして恐らく、後発組の使命はどちらかというと、『日陰に日向を作ること』でしょう。
設立過程における活動のポイント7つ
この本では、総合型地域スポーツクラブの意義として、以下のものを挙げています。
①生涯スポーツの環境づくり
②地域コミュニティの再構築
そして、だからこそ留意しなければいけないことがたくさんあるというんですね。それが以下の7つのポイント。
1.共通の課題意識
2.既存団体への理解促進
3.活動場所の確保
4.指導者の確保
5.行政とのパートナーシップ
6.特色を生かしたクラブ作り
7.会費・参加費以外の財源
順番に考えてみたいと思います。
【1.共通の課題意識】
そのクラブがその地域のどんな課題を解決してくれるのか、それを共通認識しておきましょうということですよね。「このクラブがあればプロ選手をたくさん輩出して市が有名になる!」と思ってクラブを見られるのと、「このクラブは誰でも安心してスポーツができる場所だ」と思ってクラブを見られるのとでは全然違いますもんね。
【2.既存団体への理解促進】
これは一番と言ってもいいくらいに気を使うポイントですよね。どうしても一つ一つの団体は、自分たちの利益を確保することが優先になりますから、新しい団体ができることを嫌ってしまいます。これはすごく理解できますよね。だからこそ、既存団体にいかに不利益がないか、むしろ利益があることかを説明することはとても大事ですよね。例えば、「うちは普及をやって、もっとやりたいと思った人はそちらへの入会を促しますよ」と言えば、既存団体にもメリットがある形でクラブを創設できますよね。
【3.活動場所の確保】
これはもう言わずもがなですね。スポーツをするには場所が必要。その通り。
【4.指導者の確保】
これも重要ですよね。特に普及活動に力を入れて、「これまでスポーツをしてこなかった人たちが気軽にスポーツを楽しめる場を作ろう」とした場合には、指導者というのはとても重要な要素になりますよね。放っておいたらスポーツをしない人たちを、変えなければいけないのですから。施設も重要ですが、その力を持つのはやはり”人”ですよね。
【5.行政とのパートナーシップ】
行政とのパートナーシップの具体的な中身は恐らく、以下のような感じかなと思います。
・補助金
・公共施設の優先利用
・公共施設利用料の減免や免除
・広報活動の協力
・公共事業(行政の業務)の受託や協力
【6.特色を生かしたクラブ作り】
これが少し分かりにくいと思いますが、要するにその地域の資源を生かしましょうということかなと思います。雪があるならスキーやスノーボードなどをやればいいし、テニスが得意な指導者がいるならテニスをやればいいし、素晴らしい陸上競技場があるなら陸上をやればいい。
「総合型地域スポーツクラブはこういうものをやるクラブらしいぞ」と”一般論”を気にし過ぎるのではなく、そのクラブにしかできないことをやりましょうということですかね。
【7.会費・参加費以外の財源】
会費と参加費による収入は当たり前として、それ以外の財源を持ちましょうということですよね。例えば、
・補助金や助成金 ※違いが分からない(笑)
・協賛金(スポンサー)
・事業の受託料
・寄付金
などがあるかなと思います。要するにたくさんの収入源を持っておいて、安定経営を目指しましょうということかなと思います。関係者を増やすということにも繋がり、多くの人が支えるクラブにもなれますよね。
まとめ①
まだまだ長くなりそうなので、いったんここまでの学びをまとめたいと思います。
・クラブづくり”はじめの一歩”は、地域における総合型クラブの存在価値と必要性をわかりやすく表明すること
・地域のスポーツ環境が「もう十分」と思っていても、もう一度まだ満足できていない人たちがいないか想像し、その人たちの声も聞くこと
・総合型地域スポーツクラブの意義は2つ
①生涯スポーツの環境づくり
②地域コミュニティの再構築
・設立の過程で留意するポイントは7つ
1.共通の課題意識
2.既存団体への理解促進
3.活動場所の確保
4.指導者の確保
5.行政とのパートナーシップ
6.特色を生かしたクラブ作り
7.会費・参加費以外の財源
ここからこの本では、設立のタイプ別にやり方を解説してくれていますが、その続きはまた明日書きたいと思います。
いやしかし、やっぱりこういう初心に帰る本って大事ですね。本棚で長らく眠らせてしまっている本も、定期的に読み直していきたいと思います。そういったところからの気づき・学びもここで共有していきます!
というわけで今回は『総合型クラブ創設ガイド こうして創った!こうすれば創れる!』からの学びをお話しました。
今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!
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総合型地域スポーツクラブ研究所
総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…
総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5