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3.ビジネスモデル

投資型副業を検討するにあたり、ベトナムと日本の物価の差異に着目しました。最もオーソドックスな形態は、現地工場で生産した商品を、先進国が輸入し販売するモデルです。これは電子機器や衣料品で多いパターンです。韓国サムソン電子はベトナムでスマホを製造しており、ベトナムの輸出総額の約1/4を占めています(2018年)。また、フィリピン在住の英語講師がSkypeを利用して英会話サービスを提供するのも、サービスの輸出、販売モデルとなります。こうして、様々な形態で各国の物価差に着目したビジネスが存在しています。

私の投資型副業では、ベトナムの物価水準で生産した土産品を、日本人観光客向けに販売するビジネスモデルとしました。現地物価のメリットを最大限に享受する為、加工費(人件費)の高い商品で、尚且つ、工程が複雑ではない商品を探しました。いくつか、候補を検討した結果、これらの条件を満たしており、賞味期限を長く設定できるクッキーを販売しています。材料や衛生管理は日本と同等水準としていますので、現地製品よりも高額な商品となっています。

また、ベトナムには競合となるおいしい洋菓子が無かった事も理由の一つです。料理は旧宗主国の中国やフランスの影響を受けており、種類も豊富で味もおいしいのですが、洋菓子は甘さが足りず日本人の口には合いませんし、ベトナム人も食べていません。

また、ベトナム産カカオを使ったチョコレートもお土産で人気ですが、平均気温が高いベトナムでは融点を高く作っているので、日本で食べるとチョコレートが口で溶けずにバリバリした食感になってしまいます。そして、元々の甘味も薄いので、くちどけの悪さと相まって、とても物足りないチョコレートになってしまいます。

私が洋菓子の中でもクッキーに注目した理由は、

1・暑いベトナムでも溶けにくく、常温で持ち歩いても悪くなりにくい

焼き菓子であるクッキーは、くちどけは重要ではない為、融点を意識する必要がありません。また、水分含有量が非常に低く劣化しにくい商品です。私はお土産用に製造していますので、日持ちを考えるとクッキーは最適な商品です。

2.ベトナム産の原材料を使える

お土産として販売する為には、ご当地らしい原材料を使いたいと考えました。私のクッキーは、ココナッツの実を生地に練り込むことで、ベトナムらしさと、サクサクした食感を作り出しています。

3.好き嫌いがあまりない

お土産は、購入してくれた方と食べる方が異なるケースが多いので、無難な商品が選ばれる傾向にあります。私は、日本人や欧米人がおいしいと感じる味でクッキーを製造し、販売する事にしました。

しかしクッキーの試作品を製造する中で、いくつか課題が生じました。最も大きかった課題は、原材料に”銘柄”の概念が無い事です。日本で富澤商店やcotta等の製菓材料店に行くと、薄力粉だけでも10種類以上の商品が並んでいます。同様にバターや砂糖も豊富な種類があり、それぞれ風味や原材料としての特徴が異なります。その組み合わせで、最もおいしい配合で焼き上げるのですが、ベトナムのお店には薄力粉は1種類しか置いていません。同じお店でも、別の日には別メーカーの薄力粉が1種類だけ置いてあることもあります。

クッキーの油分や水分、糖分の配合が焼き上がりの形や色に影響するのですが、同じ薄力粉でも銘柄によって吸水量が異なります。特にバターは、水分量や発酵度合い、風味が千差万別な為、日本で試作した配合をベトナムの材料で再現しても同じ味にはなりませんでした。その為、現地で一から組み合わせを試して、最もおいしい配合や焼き時間を試作し直しました。その際、お弁当屋や調理スタッフとしての勤務経験があるスタッフが活躍してくれてました。彼女は日本での勤務経験もある為、日本人が好きな味というリクエストにも的確に対応してくれました。

そして、当初は店舗を持つ予定だったのですが、販売行為に付加価値や差別化要素は見出せないと判断し、小売店に卸すビジネスモデルとしました。

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