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4.当初の計画と実際の進み方(2)

代行サービスを申込むにあたり、私はベトナム人スタッフに「しっかりと契約内容を精査し、自分で理解し、それを自分の言葉で私に説明する事(契約文書の単純な翻訳ではない)」を求めました。彼女は登記上の社長ですが、出資金額は全て私が出していますので、「他人の金」という感覚ではなく当事者意識を持って対応してもらいたかった事と、目が届かない場所で働いてもらっていますので、主体的に自分事として動いてもらいたかったからです。

その時は分からなかったのですが、ベトナム人は、良く言えば、その場で解決しようとしますし、悪く言えば、その場をやり過ごそうとします。不確かな事があった際、日本人のように、「確認して回答します」」という発想にはならず、間違っていても、想像でも、もはや嘘でも、その場で何かを回答しようとします。東南アジアで道を聞くと、全く違う場所に案内された経験があるかも知れません。それが、重要な意思決定に影響する内容でも同じ対応です。その場で答えてあげる事が誠意ある対応と考える文化なので、良い悪いではないと思いますが、その前提を理解しておかないと、意思決定を誤ります。

今回のケースでは、「契約書の内容は理解しており問題ない。必要な許認可が取れる」と彼女は言っており、根拠を問いただすのですが、明確な回答はありませんでした。日本語力の問題もあったのですが、何時間も電話で会話しても、その趣旨が伝わらず、一生懸命説明する彼女の姿に妥協してしまい、承諾してしまいました。

しかし、約束の2週間が経っても必要な書類は届かず、彼女に確認するのですが、「待っていれば大丈夫」という回答しかありませんでした。業者に確認して欲しい旨を伝えても「この前、待っててくださいと、言われました」という回答のみです。お金を払ってから1か月後、調理師免許が必要だとか、リフォームが必要だとか、追加で条件を出してきました。さらに1か月後、申込から2か月後(当初予定は2週間)、当該物件では食品衛生許可と商品証明書が取得できない事が判明しました。食品衛生許可が取れると言われてこの物件を借りているにも関わらず、しかも大家=代行業者にも関わらず、取得できないと言われました。

必要な許認可が取れないのであれば、この物件は解約し、支払った2か月分の家賃と代行料の返還を求めました。私は彼女に契約書の内容確認と、大家への返金を申入れするよう指示したのですが、実際は契約書は取り交わしておらず、許認可が取れるという話は口約束だった事が判明しました。

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