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6.ベトナムの労働環境

中国の賃金上昇と政治リスクの回避先として、ベトナムはネクストチャイナの最有力候補となっています。中国からの工場移転に伴う労働需要も高く、平均賃金も年々上昇しており、毎年6%台のGDP成長率に繋がっています。

しかし、ベトナムでの作業は、組み立てや縫製が主流であり、タイのように部品や素材を製造する工場がありません。こうした組み立てや縫製作業は付加価値が低く周辺産業も育たない為、「低賃金」以外の差別化が難しい領域となります。その為、ベトナム全体の失業率は2%程度にも関わらず、工場労働を避ける20代前半の失業率は7%にのぼります。

公務員になるにはコネか賄賂が必要ですし、マネージメント系の職は経験が求められるので、押し出された若者は、実習生や学生として日本や韓国、台湾にやってきます。その為、現地工場を視察すると労働者の大半(感覚的には8割程度)が女性です。女性の方が真面目な国民性もあるのですが、結婚でベトナムを離れられない人が、仕方なく低賃金の工場労働をしているようです。

実習生や学生ビザで日本に来るには、現地の斡旋会社に約60万円の手数料が必要になります。平均年収30万円のベトナムにおいて、60万円の手数料を支払って日本に来るのはかなり大きな決断となります。実習生の月給は約20万円、学生ビザでは週28時間(時給1,000円で28,000円、月給112,000円)、この中から家賃や食費を差引いて、斡旋費用の60万円を返済しなければならない為、生活はかなり厳しいものになります。学生に至っては、語学学校の学費がさらに必要になる為、学生ビザを2年目で更新した後、学校は1年で退学し、残り1年はバイト漬けでお金を稼ぐ若者も多いのが実情です。

こうして日本で頑張ったにも関わらず、ベトナムで職に就く事が出来ず、高度な職業経験を積むことが出来ない若者が多いように感じています。実習生制度も農業や縫製、工場労働ばかりですが、ブルーカラーを育成しても彼らの幸せには繋がらないと考えています。私のスタッフも日本で縫製の実習生をやっていましたので、このnoteに記載している通りブルーカラー気質が抜けていません。今回、せっかく一緒に仕事をする縁ですので、将来は彼女自身がビジネスオーナーになったり、企業のマネージャーとして高給な職に就けるように一緒に成長していきたいと考えています。

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