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4.当初の計画と実際の進み方(3)

この時点から、性善説に基づいたマネージメントではなく、性悪説に基づいたマネージメントに切替えました。性悪説=悪い人向けのマネージメント、という意味ではありません。お願いベースで動いてもらうのではなく、「私のタスクを完結させる事=本人のメリット」になるようなスキームを作るように心がけました。

まずは、業者から最大限の返金を求める事と、必要書類を取得するまでに必要なプロセスと費用の確定です。これも日本では当たり前なのですが、ベトナム人に理解してもらう事はとても困難な事でした。そもそも当局が縦割りになっているのと、相手によって言う事が異なるので事前に見積もる事が困難な社会です。しかし、業者の言うままに時間が経過し、費用を請求されたのではビジネスが成り立ちません。ここは絶対に譲れない条件として、彼女に対してコミットメントを強く求めました。

交渉の結果、業者からの返金は半額以下となってしまい家賃も戻りませんでした。契約書が無いので返金額もスタッフと業者がウェットに交渉した金額しか返してもらえませんでした。その後、約1か月かけて彼女を説得し、スケジュールと費用のコミットメントをもらいました。

そして、遅れる事4か月、代行業者を変更して食品衛生許可と商品証明書を取得する事が出来ました(事業ライセンスは大家の代行業者で取得)。私の会社は社名にVietnameseと入るのですが、スタッフからの連絡ではVietnammeseとなっていました。mが多い事を指摘し、事業ライセンスの書類も誤っているのか確認した所、誤っているとの回答でした。また、自分(スタッフ)は、正しく申請したが、業者が間違えたと報告がありました。その頃には、私の心も折れていたので、そのままmが多い社名で進むことにしました。そして、実際の書面を受け取りスペルを確認した所、Vietnameseと正しい表記となっていました。この時もしっかり確認せず、その場をやり過ごす為に嘘をつかれた形になりました。

しかしながら、彼女は嘘をついた自覚はあるのですが、悪い事とは思っていません。それはベトナム文化としての相手への気遣いなのだと理解しています。日本人が交渉の場で、断るつもりでも「検討します」と回答するのと同じだと思います。本音では検討するつもりもなく、その後、断りの連絡をするつもりがなくても、その場で相手の顔をつぶさない為、検討すると答えるのと同じです。

また、バーコードの登録も必要である事が追加で判明しました。この時も、前から伝えていたと主張するのですが、彼女に負担できる金額ではなく、いずれにせよ支払わなければならないものなので、許諾しました。しかし、支払いは全ての書類が揃ってからという条件にし、自分事として動いてもらえるような仕組みとしました。

こうして、当初予定の2週間を大幅に超過し、5か月かけて全ての書類を用意する事ができました。そして、ショッピングモールとの商談も何とかまとめたのですが、コロナウイルスの影響でベトナムへの入国と国内移動が原則禁止となってしまいました。現在、商品を納品出来ていない状況です。4月6日に納品出来ると言われているのですが、それもあくまで予定となっており、予断を許さない状況です。

先日の記事にも書きましたが、コロナウイルスの影響は長期化すると考えていますので、物件を解約し、ベトナム人スタッフの稼働も変動費化させ1/6まで稼働を下げさせてもらいました。今は固定費を最小化し、嵐が過ぎるのを待っている状況です。なかなか思い通りにいかない海外ビジネスですが、この機会に課題であった物件の移転と、ショッピングモールでの有利な条件交渉を進めたいと考えています。

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