【銘柄分析】2024年問題の関連銘柄 9325 ファイズホールディングスの今後は?
今回は、物流における庫内オペレーションや輸送、システム開発を生業とする「ファイズホールディングス」を分析していきます。物流業界にはあまり詳しくないので勉強も兼ねた分析となりますが、ご興味がある方はぜひご覧下さい!
※あくまでも個人の備忘録的な株価分析なので、売買の推奨はしていません
※2024年4月時点の情報となります
項目別の評価(10点満点中)
まずは結論として項目別の評価をご覧下さい。
成長性:8点(2024年問題ど真ん中銘柄)
収益性:6点(利益率そこそこ)
安全性:7点(現金豊富)
割安度:7点(成長率から見て割安)
値上がり期待:8点(人手不足、効率化の需要を取り込めるのであれば期待できそう)
収益性があまり高くない点が気になりますが、成長性が高いにも関わらず現時点ではそれほど株価が上がっていないので、今後十分に上昇を期待できると感じました。
カタリストは、労働時間の規制に起因する「2024年問題」です。2024年問題の詳しい概要は以下の記事をご覧下さい。
事業内容・ビジネスモデルの特徴
ファイズホールディングスは、2017年に上場したECソリューションサービスや国際物流サービスを行う企業です(ほぼECソリューションサービス)。Amazonが最大顧客で(売上の50%程度)、AZ-COM丸和ホールディングスの子会社でもあります。
輸送から庫内オペレーションなど物流機能を包括的に請け負う3PL(サードパーティー・ロジスティクス)サービスを提供しています。
事業の軸は以下の3つです。
オペレーション事業(スタッフ派遣も)
トランスポート事業
情報システム事業
中核事業はオペレーション事業(利益の約70%)のようです。ECビジネスを行う顧客に物流センターの運用代行を行うサービスを提供しています。
入荷から検品、ピッキング、出荷などの庫内作業を外注できるので、顧客はコア業務に専念できるというわけです。オペレーションの請負や、人材派遣のみなども柔軟に対応しているとのこと。
2024年問題との関連では、新たな物流拠点に対するオペレーションサービスの提供が考えられるでしょう。労働時間の規制により中継拠点などが必要となり、物流倉庫などが増加する可能性があります。そこの運営をファイズホールディングスが請け負うという形です。
トランスポート事業(利益の約20%)では、以下のような幅広いシーンでの輸送・配送に対応しています。
「部品・原材料メーカー→生産拠点→物流センター→店舗→ラストワンマイル」
また、運び手と運び手が見つからない貨物をマッチングする配車プラットフォーム機能も提供しているようです。スポット的な活用だけでなく、常用としても利用できるようなので、多様なニーズに応えられそうです。こちらも物流の効率化に貢献してくれそうなサービスですね!
情報システム事業では、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)といった物流情報システムの開発、AIやIoTなど次世代技術の応用、物流ロボットの導入支援などを手掛けています。実際の倉庫の運用や輸送から、システム面のサポートまで包括的に対応できる点が強みに感じます。
社員の評判を調べてみたところ実力主義を掲げている企業のようなので、給与体系は成果に大きく左右されるようです。成長期の企業としてはポジティブに受け止めてよいのではないでしょうか?
業績に影響する外部要因
業績に影響する外部要因は、主にEC需要や2024年問題、原油価格、為替が挙げられます。
EC需要では、主要顧客であるAmazonの日本円ベースでの売上高は2023年時点で増加しており、特にコロナ禍の2021年以降の伸びが大きくなっています。
ECモールでのAmazonの競合は楽天市場ですが、ポイント制度の改悪や楽天モバイルの赤字などユーザー減の火種を抱えているので、今以上にAmazonが伸びる可能性もあるのではないでしょうか。
また、野村総研研究所が発表した、B2C、 ECの2026年までの市場規模予想では増加すると予想されているので、需要に関しては問題なさそうです。
出典:NRI|野村総研研究所、2026年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望
2024年問題は、荷主や運送会社の対応を見てみないと分からない部分がありますが、輸送力不足という避けては通れない問題なので、一定の需要増は期待できると考えています。
原油価格の上昇はコストアップにつながります。影響度は明確に分かりませんが、4月時点で上昇してきているので継続してチェックしておきたいところです。
また、為替が円安になると原油等の仕入れ価格も上昇するので、こちらもコストアップ要因です。米金利の高止まりが長期化しそうなことを考えると、今後も円安が継続するかもしれませんね……。
とはいえ、大切な要素はEC需要と2024年問題での需要をどの程度つかめるかだと思われます。
短期、長期チャートをチェック
短期チャートは、2月の第3Q決算後に上昇→下降→上昇で、まだ決算後の高値まで戻っていない状態。方向感のないチャートに感じられます。
長期チャートは、2021年の終わりに底を打ち上昇トレンド中。2023年4月頃の高値、1,450円あたりを超えられると2,000円に向けて上がっていきそうな印象を受けます。
主な指標をチェック
ファイズホールディングスの主な指標は以下の通りです。(4/8時点)
PER:16倍
PBR:4.88倍
ROE:33.3%(予27.7%)
ROA:11.8%(予11.2%)
配当利回り:2.52%
自己資本比率:40.2%
利益余剰金:25億6,600万円
有利子負債:4億5,800万円
高いROEの割にPERは低く財務も健全です。割安さを感じますね。
長期の業績推移は?
2015年からの業績推移を見てみると、売上高は落ちること無く順調に増加しています。営業利益も上下しながら順調に伸びていますね。特に2022年からの伸びが大きく、コロナでのEC需要増加が後押ししたと見られます。
直近の業績は?
3Qは2Qに比べ売上・利益共に増加しています。進捗率は売上高74%、営業利益74.6%とほぼ予想通りの進捗。通気では営業利益20%超えの成長を予想しているようです。PER16倍程度であることを考えると十分な成長率に思えます。
B/S・P/Lは?
B/Sは、現金に対して有利子負債が少なく財務は健全です。P/Lは売上総利益率 8.8% 営業利益率 5%と少し物足りない数値でしたが、売上高は増加、販管費は前年比で減少しているのでよい傾向ではないでしょうか。
まとめ:今後の展望は?
ファイズホールディングスは、成長率が高くPERの水準から考えると割安と感じます。8期連続増収中であることや、2024年問題への対応需要で成長の加速が見込めることも考えると、今後も期待できるのではないでしょうか。
リスク要因は、実質賃金が改善せずに消費が冷え込むケースや、円安の進行によるコストアップなどが考えられます。これらの推移を見ながら投資を検討していこうかと思っています。
物流DXやモーダルシフトなど、2024年関連銘柄はほかにも多様なビジネスモデルがあるので、比較してどのような企業に投資妙味があるのか検討してみることも大切ですね!
最後までご覧いただきありがとうございました。1つの視点として何かの参考になれば幸いです!