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光と闇 THE BACK HORNとの青春

中学2年生の冬にTHE BACK HORNと出会いました。
先輩がバンドを組んでいて、そこでコピーされていたので何の気なしにYouTubeで聴いてみました。
それからは、狂ったように毎日欠かさず聴くくらい。
好きになって14年経ちますが、1日に必ず1回は何かしらTHE BACK HORNの曲を聴いて過ごしてきました。

その中でも特に心を打った3曲を紹介していこうと思います。

①悪人

アルバム「ヘッドホンチルドレン」以降、暗い曲から明るい曲が徐々に多くなり、ファンから「昔の方がよかった」と囁かれることも多くなっていた時に「悪人」がリリースされました。

「あの悪人はきっと僕だ」

衝撃的な歌詞から始まるこの曲。
人間の醜さ、強欲さ、汚さを描いています。
強烈なギターリフと己の犯した罪を讃美歌に乗せて吐き出すようなスリリングな展開がリスナーの心さえも苦しくさせます。
聴いていると今まで犯してきた法では裁かれないけど、隠したい悪事が脳内を回想して「自分は罪人だ」と裁判で告げられるような感覚。

最終盤で一気に曲が転調します。
判決を下されたのか、死んだのか。
今まで犯した罪を後悔するかのように解き放たれます。

些細な優しさが泣きそうなくらいに嬉しかった
ごめんねって聞こえたかな
ありがとうって言えばよかったな

ボーカルの山田さんは歌う度にどれだけメンタルをこの曲に食われているのだろう。軽々しく聴いたら、この曲の持つ莫大な蜷局に巻き込まれてしまいそうな初期のバックホーンの鬱憤とした感じに磨かれた表現力を合わせています。
バックホーンの曲の中で確かに1番好きだけど、容赦して聴かないと食われる1曲です。


②サニー

言わずと知れたバックホーンのメジャーデビューシングルです。
最高にバックホーンとして尖っている。バックホーンがバックホーンたる所以が詰まった一曲です。

デビュー当時のバックホーンといえば荒々しくて、排他的で、狂気的で。
世の中に対してガンガンに牙を向いています。

僕ら有刺鉄線を越え 何も知らないままで
夢見るように笑ってた
ここから見下ろす景色が 世界の全てと思っていた
コーヒー色した闇が 空をつまらなくしてる
汚い社会 苦い味さえ
飲み込めるようになってしまうの

今どきの音楽の歌詞に「有刺鉄線」というワードをこれだけナチュラルに落とし込める曲は中々ないですし、社会や大人に敵意むき出しな表現は当時中学2年生の僕に突き刺さりました。中学の下校時、本当はいけないけどウォークマンで曇り空のもと「サニー」を聴くことが最高にすかしていてお気に入りでした。
40代と大人になったバックホーンが歌う「サニー」も、20年前とは同じようで違うギラつきがあって感慨深くなります。
個人的に1回目の武道館でのサニーがお気に入りです。


③シンフォニア

ぶっちゃけこの曲を好きになれたのは、ここ1年以内です。
これまでのバックホーンは1曲の中に物語があって、歌詞が繋がっていることが好きでした。
この曲は、物語というよりパッチワークの様に色んなワードが詰め込まれていて、歌詞としての一貫性を感じにくいというのが敬遠する理由でした。
しかし、東日本大震災と新型コロナウイルスという2度のパンデミックを経験し、この曲に含まれる「前進することへの強さ」に惹かれていきました。
アルバム「リヴスコール」発売後の雑誌のインタビューで作詞 菅波栄純さんが語っていた「震災後で伝えたいワードを詰め込んだ」と言うように、危機がわが身に迫るからこそ、この曲の「前進感」に救われる部分があることに気付きました。

天災にさえ勝る天才的な愛の存在
君の声で息を吹き返す
なにも変わらないけど 洗いたてのシーツが
夜を超えさせてゆくこともあるだろう

サビの昇華していくようなコード進行もあって、キラキラとした未来に向かって確かに前進していくようなバックホーンの優しさと力強さが詰まった1曲です。

#スキな3曲を熱く語る


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