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鉄と地球の物語【地球惑星科学】

みなさんこんにちは。

今回は地球惑星科学、すなわち僕たちの住む地球のお話をしようと思います。

地球惑星科学という学問では、地球が丸いと考えられるようになった根拠や、地球の円周の計測から始まり、

最終的には、大気や海洋、そして宇宙という壮大なスケールまで話が及びます。

そんな地球惑星科学の知識を使って、この地球で起こっているダイナミックな動きと"鉄"について考えていきましょう。

1. 鉄と地球の物語

さて、僕たちの暮らす星"地球"ですが、「地球とはどんな惑星か?」と聞かれれば、皆さんはどう答えるでしょうか。

「地球は生命に溢れた珍しい星だ」とか

「大半を海に覆われた水の惑星」など、

様々な考えの方がいらっしゃるでしょう。

もちろん、どの答えも間違いではなく、地球に生命が溢れている点も、水の惑星というイメージも正しいと思います。

ただ、僕がこの質問をされたなら、「地球は鉄の惑星である」と答えます。

「鉄?なんで鉄?」と思われる方もいらっしゃると思うので、いちよう説明しておくと、

もちろん先ほど述べたように、地球が水の惑星だという考えには賛成です。

地球の表面のおよそ70%は、水でできた海によって覆われており、

それだけでなく、我々生命を構成する物質の多くも水です。

そして、一般的に物質は温度が下がると密度が大きくなるのに対して、水はむしろ密度が小さくなるという例外的な性質も備えています。

このような例外的な性質を備えている液体のことを異常液体と言いますが、その性質のおかげで、海が生命のゆりかごとして機能したという一面もあるのです。

このように、水という存在が我々生命を、そして、地球の土台を担っていることは、誰もが認める事実でしょう。

しかし、地球全体の重さに対して、水が占める割合を考えてみれば、水はたったの0.023%ほどしかないんです。

地球全体で見れば、水は1%にも満たないマイナーな存在となります。

一方で鉄はというと、重さにして地球全体の30%ほどを占めています。

重さ比べをするなら、鉄は水の1300倍もの重さがあることになりますね。

よって、「地球は鉄の惑星である」と考えたわけです。

しかし、普段の生活の中で、鉄という存在を意識することはそれほどないのではないでしょうか。

というのも、鉄は地球が誕生して以来、地球の中心部に居座っているからです。

2.地球の内部構造を知る

それでは、少し地球の内部構造を見てみましょう。

まず、僕たちが住む地球の表面は、厚さ数十〜200kmほどの岩盤によって覆われています。

この岩盤は、地球全体では十数枚ほどの板状のブロックに分けることができ、それぞれの板状岩盤はプレートと呼ばれています。

実際、日本の周りには北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートの4つのプレートが存在しています。

ウェザーニュースより(https://weathernews.jp/s/topics/201901/160215/amp.html)

そして、そのプレートから、さらに地球の内部に向かって進んでいく(掘っていくの方が正しいかもしれません)と、マントルに到達します。

栃木県の地球科学より(https://finding-geo.info/basic/earth_construction.html)

マントルは、地球の体積のおよそ83%を占めるほどの規模で、さらに上部マントルと下部マントルに分けることが出来ます。

ちなみに、上部マントルの場合、主にかんらん岩という岩石によって構成されています。

そのため、地震の際には、上部マントルに存在するかんらん岩に亀裂が入ったり、かんらん岩が融解することでマグマが生成したりしているのです。

ただ、かんらん岩というのは、実際の写真を見て頂けば分かる通り、とても美しい岩石です。

planetscopeより(https://planet-scope.info/rocks/peridotite.html)

実際、かんらん岩を構成するかんらん石という鉱物は、色が濃く、透明度が高い結晶になると、ペリドットという宝石名で呼ばれています。

HANAJIMAより(https://www.hanajima.com/jewelry/colorstone/description/jemstory-peridot.html)

このような綺麗な岩石が、地震やマグマの生成の際に、破壊されたり、融かされたりしていると考えると、少しもったいないような気がしていまいますね。笑

さて、それではマントルからさらに地球の中心部へと向かって行きましょう。

さらに地球の内部へと進んで行けば、いよいよ地球の中心である核に到着します。

核といえば温度にして約6000℃。

地球の中心部とあって、かなり高温です。

ですが、このような場所にこそ鉄が存在しているのです。

実際、核を構成する元素組成を見てみると、鉄が核の主要な構成元素であることが分かるでしょう。

基礎地球科学 第3版より(西村 祐二郎 編著 朝倉書店)

ここに示されたような、鉄およびニッケルなどの金属元素が、地球の根幹を成しています。

ここで紹介したマントルも核も、どちらも地球の奥深くに存在しているため、人類は未だにその領域に到達したことがありません。

最も深くまで地球を掘削したロシアのプロジェクトでも、掘ったのは12262mほどで、マントルには遠く及ばず、地球の表面を少し削った程度に過ぎません。

いつの日か、人類がさらなる深みに到達する日が来るのかもしれませんね。

そうなれば、地球の内部構造についての知識がさらに増えるだけでなく、地底に暮らす未知の微生物だって見つかるかもしれません。

そんなことを考えつつ、新たな発見を楽しみに待っているとしましょう!

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