中央大学 法学部 通信教育課程 2020年 刑法各論 第1課題

刑法各論

第1課題

人の終期について論じなさい。

生命・身体に対する罪の行為の客体は、堕胎の罪を除いて「人」である。生物学的な意味でのヒトの生命は、精子と卵子の結合による受精卵の誕生によって始まる。ヒトの生命は、受精→着床→胎児→出生→死亡という経過をたどる。したがって、人とは、生物学的には受精卵の誕生から死に至るまでをいい、その間はすべて人の生命として捉えることができる。しかし、人の生命をすべて保護すべきか否かは、生命の考え方や国によって異なっている。現行の刑法は、胎児と人に限って人の生命を保護していると考えられている。法律上「人」の概念は一般に法人を含むが、人の生命・身体に対する罪の行為の客体は、自然人としてのヒトを前提とするものであり、人は生命・身体を有する必要があるから、自然人に限り法人を含まないのである。

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