人間(人類)の歴史は、人間(人類)の精神文化と物質文明の発展の歴史といわれている
フロイトー「人間の文化=文明とは、人間の生(命)を動物的条件から抜け出させるすべてのものであり、動物の生(命)との違いを作り出すもののことである、として,①人間の欲求を充足するべく自然の財を獲得するための知識と能力、②人間集団関係と財の分配を規制する制度、が存在する。」‐幻想の未来より‐
解説‐フロイトの説は4つの点で変である。第一に人間の文化=人間の文明としている。上記からすると文化=精神であり、文明=物質である。精神は文字通りの神のエネルギーであり、人間の生きた心である。これに対し物質は生命のない死のエネルギーであるから。生(命)と死、全く逆の方向を向いている。
第2に「人間は神がお創りになった」と一神教信者の人たちは言うかもしれないが、そうではなく、チンパンジーなどの動物から出現したのは言うまでもないことです。しかしそれが,どのように、HOWが依然謎のままのようです。フロイトもそこのところがわからずに単に「動物的条件から抜け出させるすべてのもの」といっている。肝心なのは他の動物には全く持ち合わせのない人間だけが持つ何か、ということになるでしょう。
第3に、フロイトの言う上記①の説明は、人間だけが持つ文化とは言えない。なぜか、自然の財(物質)を獲得するのはなにも人間だけでなく、他のあらゆる動物も個体維持の法則によって行うのだから。
第4に、フロイトの②の説明も、同じく人間だけの欲求、法則ではない。なぜか、チンパンジーやライオンなどの動物もは集団で狩りを行ったり、家族で獲物を分配したりする。以上のことからフロイトの人間の歴史文化説は、真理とはいえない。