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夜の粒子

夜。
最近の札幌の夜は、大体2-4℃位。
本州の人には寒いと思われるかもしれないけれど、空気が乾いているせいか、あまり寒さは感じない。
最近は風が強くて、それが少し大きめのカットソーをはためかせていって、誰かの絵筆の軌跡みたいだ。
私はいつも黒い服を着ているので、夜の風にあたる時、自分の中の何かが黒い粒子になって、黒い服の一部と一緒に溶けだしていくように感じる。

夜の中を歩いているとき、このまま風に吹かれていたら、わたしの髪も服も骨も、全てが黒い粒子になって、夜そのものになって、かしゃりと崩れ落ちていくのじゃないかという気持ちがする。
そうして、何もなく、記憶もなく、ただの夜の一片として、漂う粒子にまで分解されて仕舞うのなら、それはきっと素敵なことだろうと思う。

そう思いながらわたしは今日も家に着いて、温かいシャワーを浴びて、また黒い服に着替えて眠りにつく。

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