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抜本的な改革を迫られる中小企業の人材戦略 クモデコラム#2

人口減少と採用慣行の変化 

4月26日、国立社会保障・人口問題研究所は長期的な人口を予測した「将来推計人口」を公表した。
 2056年には人口が1億人を下回り59年には日本人の出生数が50万人を割るという。
 また2070年には現在3%程度の外国人が10%まで増えるというが現役世代(64歳まで)の人口減少傾向は変わらないとしている。
 人口減少はもはや変わらない既定路線だ。政府がどんなに手を尽くしても大きく変化することはないだろう。
 さて労働者の人口減、高まる流動性を受けてコロナ禍が明けて採用事情にも変化が見られている。
 日経新聞が19日にまとめた採用計画調査(最終集計)では2023年度の採用計画に占める中途採用の比率は37.6%となり16年から7年で2倍に達したし、これまで「新卒一括採用」だった採用慣行が生産年齢人口の減少を背景に限界が近づいているとまとめている。

軽くなった企業の「内定通知」と学生の「内定受諾」

近年の売り手市場により就職する学生の就職観は大きく変化している。
以前は学生が志望企業を絞り、その内定を取ってくることが学生の就職活動だった。企業側は費用の高い媒体を使い母数を集め面接を繰り返して本気の学生を探した。そして内定を出すのだが、企業にとって「内定を出す」ことは重大な決定だった。その影で面接落ちをした学生も多くいたのである。
しかし今はその「内定」が軽いものになった。
大手を始め企業はあまりにも学生採用が難しくなったために早い段階で大量に内定を出すようになった。内定辞退を計算するようになったのだ。
学生もそれを受けて「内定数」を確保し、そこから検討をスタートするようになった。
 内定を出す方も受ける方も就職そのものが軽い選択になってきたのだろう。その証拠に新卒の大卒就職者の3年以内の離職率は3割を超えていると発表されているが実際はもっといるだろうと思う。大手、中小に限らず企業は新卒一括採用し一律に育てていく仕組みに頼ることができなくなった。
そうした環境だから企業の中途採用募集の増加は当然の結果だ。中途採用市場の激化は今後ますます激しくなる。
 また先日、こんな話も聞いた。真偽の程はわからないが、ある新卒採用大手企業は採用ナビのために学生を集めるのだが、その学生の個人情報をスカウト会社や中途採用系媒体へ流出していると聞いた。
 新卒採用で企業に広告を買わせ新卒社会人となれば転職しないかと声をかけるとは言語道断。クソ以下の仕業だと思ったがありえない話ではないと思った次第。

「採用」はとっくの昔にマーケティング化していた

 そんなことはさておき私たちのような住宅産業では外国人社員や女性社員の活用、またロボットやDXなどさまざまな対策があると思うがやはり「人材こそが企業を成長させる」産業であることに違いない。むしろ人材の確保ができることが勝ち組の条件であるさえ思う。
今後、特に中小企業の人材採用はどうなっていくだろうか。大変参考になるサイトがあった。トヨタ自動車の期間工募集のサイトである。

「期間従業員大募集 入社お祝い金今なら60万円!給与492万円、寮費無料」というタイトルに目が惹かれた。
「採用はマーケティング(集客)」である、を実感させるHPだ。

 マーケティングであるなら売上の何%を採用コストに使うか。募集人数に何人、来てもらうか。内定率は?その後の継続した年数と離職率は?自社の強みはもちろん他社との比較、アンケート結果、社員の声、やりがいなども明確にしなくてはいけない。

 しかし人材不足に泣く中小企業がまず、すべきことは現社員のやりがいと社員満足の追求だろう。
 リファラル採用をうまく活用するには現社員が仕事と会社にプライドを持たなくてはいけない。弊社は今後、人材採用について抜本的な改革をしていくが既存社員とまずは向き合いベクトルを合わせること。それがスタートである。

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