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「ノックオフ」スパークスとツイ・ハーク、そしてMr.BOO

主役はヴァンダムですが・・・

ま、ぼくはツイ・ハーク監督についても、スパークスとの関係についても、あまりよく知らないので、今回はみなさんにいろいろ教えていただきたく、筆を取りました。いや、キーを叩きました。後でまた知識が増えたら書き直しますので、よろしくです。

ノックオフ

スパークスの50年のキャリアを追った映画「スパークス・ブラザーズ」に出てこなかった話題、として、スパークスが音楽を担当したという、1998年のツイ・ハーク監督の映画「ノックオフ」を今年、2022年に初めてDVDで見ました。

いかにも90年代的、素人が手作りアプリでやったようなメニュー画面や〜

テレビでも放映されてたようですが、どうだったでしょうか? みなさん見てます?

そもそもヒットしてないよね? この映画の感想書いてる人を検索しても出てこないんだよな〜。話題になることも少ないようだし。ジャン・クロード・ヴァンダム主演のアクション映画の中でも、そんなに有名ではないような。

ツイ・ハーク監督は香港出身の監督で、1990年代初頭に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズを世界的にヒットさせ、一躍アクション映画の巨匠になり、ジェット・リーを大スターにしました。ぼくは〜、中国の歴史ものってあまりピンとこないなあ、と思って今まで見たことないんですけど。

おそらく、この頃スパークスはそれらの作品を見てファンになり、1994年のアルバム「官能の饗宴」の中に「ツイ・ハークは映画監督」(ナイス邦題)という曲を収録したと思うんですが

実はこの曲ができる経緯もよくわかってなく、スパークスがツイ・ハーク作品について語ってるコメントって、どっかに載ってましたけ?(不勉強

ツイ監督がスパークスについて語ってるインタビューもどっかにあるのかな? 見た人は教えて下さい。

で、ツイは香港からハリウッド進出の第一弾映画としてヴァンダムと、NBAのスターだった、デニス・ロッドマンが共演した「ダブルチーム」を、そこそこヒットさせた。これはたぶんテレ東で見た覚えあるな〜。

で、第二弾が「ノックオフ」だったようだけど、これがコケたから、以後ツイ監督は、また香港〜中国が活動の中心になったのかな?

香港映画シーンに詳しい方はよろしくです。

どんな映画かというと

映画としては、ハリウッド作品と言いつつ、全編香港ロケで、ジャッキー映画と比べると、あまり全体のトーンが明るくないです。(日本版予告編はヴァンダムからジャッキーへの挑戦状! と謳っているけど!)

まあヴァンダムだけは明るいキャラを発揮して、香港で暗躍するロシア系のスパイと戦います。

ノックオフって、偽造品という意味があるんですね。舞台としては、ニセのブランド品を作ってる工場の中で、実は兵器としての爆弾も作られてるらしい、ていうのがストーリーの中心。

アクションシーンは、さすがにすごい。CGのない時代の生身の格闘がこれでもか、と展開される。(爆破シーンのみ、当時の稚拙なCGあり)
おなじみ香港の屋台街を破壊したり、坂道や石段でのカーアクションなどもふんだんに入ってる。アクション監督はサモ・ハン・キンポーだから当然ですね。

ツイ監督が、他にない独特のカメラポジションやカット割りのリズムで、画期的な才能を持った人だともわかる。当時の先端をいくオシャレ感覚な映像みもある。アクションだけで見る価値のある作品といえますが。

しかしお話がややわかりづらい! 細かいドンデン返しが次々と起こるのがサービスだと思ってるかもしれないけど
「味方かと思ったら敵」「敵と思ったら味方」が連続するので、登場人物が把握できず、どこで解決に向かうのか、ベクトルがハッキリしなくて、見ててカタルシスがないというか。やり場のないハラハラサスペンス。

ラストも、敵のボスとヴァンダムの対決、というわけでもない、なんか変な結末。スッキリもしない!
頭を空っぽにして勧善懲悪のシンプル爽快なアクションを期待して見る層にはウケなかったろうな、と思います。
まあ90年代って。そういうムダにヒネった映画も多かったよね。

ちょうど1997年の、香港がイギリス領から中国へ返還される直前の時代背景を織り込んでいるので、ぼく個人的には1994年と1996年の2回、香港旅行してたから、見たままの風景が入ってるのが、ちょっとうれしくてトクした気持ちだった。もっと夜の風景も見せてほしかったけど、街ロケは無理だったのかなあ。

スパークスの音楽、なのか?

で、スパークスですが、これが謎なんですけど、クレジットにはスパークスの名前は出てこず、音楽 ロン・メイル&ラッセル・メイル だけとなっております。契約の問題?

映画始まって冒頭のアクションシーンの後、静かにオープニングタイトルが始まり、スパークスによる主題歌「It's a Knockoff」が薄く聴こえてきます。しかし、すぐにセリフにかき消されてしまう。あれ〜?

まあ、エンディング・タイトルになったら、きちんとフルコーラスかかりますけど。
アクション映画の主題歌、ていうイメージではないですよね。渋すぎる。どういうオファーで、こういう曲調にしたんでしょうか。フィルム・ノワール的ムード?

映画公開の2年後にリリースされた、スパークスのアルバム「Balls」に収録されましたが、当時は映画見てないので、映画の曲とも知らず、ちょっと東洋的なアレンジの地味なナンバーだな、と思ってました。公開時にリリースが決まってないからか、曲名のクレジットも映画には出てきません

で、映画の中のいわゆる劇伴、BGMもあまり目立たない使われ方なんですよ。ミックス的に、全体に音楽のボリュームが小さい
曲を聴いてても、これロンの作曲かな〜? て思うような、普通のありがちなインストなんですけど。

クレジットにアディショナル・ミュージックとして「Varouje」という名前が出てくる。この人をググったら、けっこう映画やテレビの音楽を手がけている作曲家らしい。ご存知ですか? 

もしかして、この人がゴースト的にサポートしてて、ロンはそんなにタッチしてないのでは? という疑いもある。
けど、クレジットには「オーケストラ指揮 トニー・ヴィスコンティ」という表記も! ならスパークスだよな。

あれ? そんなオーケストラ使ってるような曲、あったかな? と思うくらい、音楽が印象に残らない。そのへんもアクション、サスペンス映画らしくない。音楽で盛り上げようという気が感じられない映画なんよね〜。

しかし、先に自分の曲を作ってもらった義理で、とにかくスパークスに音楽は頼まなきゃ、とツイが思ったのかな? 真相を誰か教えて下さい(人頼み)

Mr.BOO!と、究極のコラボ?

映画で最初のヴァンダム登場シーン、スパークスの曲と入れ替わるように、車を運転しながらカーラジオから聴こえてくる、いかにも香港の歌謡曲ぽいナンバーに合わせてヴァンダムが口ずさんでいる。

これがサミュエル・ホイの曲なんですよ!(以下サムと略す)

名作コメディ「Mr.Boo!ミスター・ブー」シリーズの、3兄弟の三男で、ソロ歌手としても香港の国民的スターですね。

ツイ監督のフィルモグラフィを見ると、初期の監督作品に、サムの主演作「皇帝密使」(1984年)があった。「皇帝密使」は当時何度も見たよ! VHSレンタルが普及しはじめた時代。傑作だもん。主題歌もいいし。

そしてツイは役者としても、サムの主演作「悪漢探偵」シリーズに出演しているらしい。端役だと思いますが。

ツイもそのへんの義理があって、せっかくハリウッド作品だから、とサムの曲を使ってあげたのかな〜? 「ノックオフ」にもサムが出てれば楽しかったのに!

しかし薄〜く、ではあるけど、スパークスとMr.BOOが同じ作品にからんでる、と思える究極なワクワク感はあるよね〜。スパークスはMr.BOOは見てないと思いますが。

80年代にメイル兄弟とホイ兄弟が同時に大好きだった、ぼくや岸野や常盤のような世代にとってたまらないね!(そんな人、他にいたのか?)

ちなみにスパークスがサントラに参加した1985年のホラー映画「フライトナイト」は当時、地方での併映作品は「新Mr.Boo!・鉄板焼」だった(これは長兄マイケル・ホイのソロ主演作でしたが)ぼくも2本立てで見たくて、わざわざ茨城で見ました(余談の余談)

三兄弟の次男、リッキー・ホイのソロアルバムも味があっていいよ!(余談の余談の余談)

これは前にも書いた話だけど、ぼくの1996年の香港旅行は、日テレの深夜に放送されてたパソコン番組の取材で、電脳地帯めぐりだった。現地のコーディネーターは70年代に沖縄の米軍基地にいたという、英語も日本語もできる香港人のオジサンでした。

カラオケ屋のシステム(通信カラオケに見せかけて人力でレーザーディスクを回していた90年代w)を見学した際に、オジサンに「なんか香港の曲歌ってくださいよ」と頼むと「いや〜最近の香港の流行歌はわからないね!」と言いつつ「ミスターBOOは?」と聞いたら「え? あ、サム・ホイね! サム・ホイなら香港では誰でも歌えるよ!」つって、すごいノリノリで「Mr.BOO」第一作の主題歌「半斤八两」を歌ってくれた!

(もはやツイ・ハークもスパークスも関係ない! すいません)

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な感じで今回は、とりあえずきっかけとして、みなさんから情報収集してアップデートできれば幸いです。ま、ツイにもスパークスにも黒歴史なのかもしれない、ツッコミどころがない話題なのかもしれませんけど!

「スパークス・ブラザーズ」では1976年の映画「ジェット・ローラー・コースター」がコケたのをネタにしてたのに、1998年の「ノックオフ」は、まだ記憶に新しいからネタにしづらかったのかな〜。。。

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