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岡山後楽能にて狂言と能を楽しんでござるの弍

和ろうてござるか〜

文化の日に自分の誕生日祝いで岡山後楽能へ
日帰りでござった
六年前より年二回は後楽園へ参ってござれども庭を観て回ったのは二度ばかり

此度は少し時間もござったによって
少し散策いたいてござる

昨夜は能小鍛冶の話までしてござる

今回のいちばんの目的は
狂言『石神』でござる

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが
もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”となって
狂言へとご案内するべく描いてござる
なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりまりませ
狂言案内草紙「南無三寶」より一部改

まずシテの男が太郎冠者風の出立ちで出てまいります
後ろから長裃姿の仲裁人が笛前に座りまする
仲裁人はまだ登場しておらぬ体でござる

男は奥さんに頼り切って家のことを何もせずにいたらとうとう出て行ってしまったと告白

親里へ帰る前に仲人のところへ行くだろうと(これが仲裁人)考え向かいますが
伺ってみると女はまだ来ておらず
いずれ来るだろうから上手く言ってやろうと云う仲裁人

男が隠れて待つところへ
女がやって来て別れの挨拶をすると
言い分はもっともだが最後に出雲路の夜叉神にお伺いを立ててはどうかと助言し女も同意しまする

さっそく行こうとする女にこのようなことは暗くなってからが好いと言いまする
これは男が夜叉神の石神に化ける時間稼ぎのようでござる
男に白い水衣を着せ武悪の面を掛け送り出してござる

出雲路の夜叉神へ着いた男は
石神を退かすとそこへ座って女を待ちまする
そうとは知らず女は石神に願を掛け

 男の元を去るなら浮き
 残るなら浮かない(動かない)
 とすると男は堪えて全く動かず

 逆に男の元に残るなら浮き
 このまま親里へ向かうなら浮かない
 とするといち早く浮きまする

石神の云う通り男の元へ戻ることを決めた女は引き直したことを詫び
神子(巫女)の子孫であることから神楽を舞い
清めてから戻ることに

赤い扇と鈴を持って三番三の鈴の段に似た舞を舞いまする
この舞には小鼓と笛の伴奏がつき
晴れやかで清清とした楽しい雰囲気でござる

舞に浮かれ立ち上がり一緒に舞う男
だんだん大胆になり
とうとう女に見つかると
「みどもは石神じゃ」と云うと
「まだそのツレなことを云う」「やるまいぞ」「許いてくれい」と
追い込み留で仕舞いまする

大和らいするお話ではござらぬが
ほのぼのとした狂言でござる

男は女が大切であれば少しずつでも改心し
女は情け無い男が成長するのを気長に待ってほしいと願うてござる

狂言神楽という珍しい演出だけでなく
女は石神を引きながら謡いもいたしまする

難度は高くござるが
いずれやってみたい曲となってござる

この狂言noteはけんすけ福のかみが
大蔵流茂山千五郎家 島田洋海社中にて
狂言を学んだことをモトに
実際に狂言を(できれば生で)観て
和らいでもらいたいと願うて描いてござる🖋

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