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狂言本舞台に出る前には

和ろうてござるか~


鏡の間と申しますると、より知られてござるは
パリのヴェルサイユ宮殿の中、ヴェルサイユ条約締結の舞台でござろう

されど能舞台、正確には橋掛かりの手前にも
”鏡の間”はござる

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが
もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”となって
狂言へとご案内するべく描いてござる
なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

楽屋で装束を着けて舞台に出る前の役者は
橋掛かりの向こう五色の幕”揚幕”の向こうに控えまする

まれに本舞台の奥、鏡板(老松の画が描かれた板)の脇
見所から見て右奥の扉から出る場合もござるが
たいていは揚幕の向こうから登場でござる

この揚幕の向こうの部屋が【鏡の間】でござる

文字通り、大きな姿見がござって
橋掛かりに出る前に自身を映し
最後の確認をするのでござる

玄人はここで精神統一でござるとか
自身の役に集中するためのルーティンがござるかもしれませぬが

わたくしは出番前の装束姿を観て、己惚れる至福の時間を・・・
などと云うこともあまりなく、前の狂言の演者が退場されるのを見送り
師匠方に最後のチェックをしてもらい
揚幕から少し離れて立ち、調ったところで

「おまーく」と呟きまする

この「おまーく」は幕を開けるための竹棒を支え持つ二人の方への合図でござる
複数並んで出る折にはシテ(主役)が云いまする

実際に観に行くと狂言が始まる直前、揚幕の向こうから
この「おまーく」が聞こえる場合もござる

わたくしは「おまく」と短く云ったり、一字ずつはっきり静かに云ったりと
いろいろやっておりますが、ともかく幕を出るタイミングが
伝われば好いと存ずる

舞台に向かう直前のこのときが
わたくしにはわくわくが盛り上がるときでござる
再びこの鏡の間へ戻るまで
残るところ無う稽古の成果を出し
楽しみきろうと決意するのでござる

「おまーく」

こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗
この狂言noteはけんすけ福のかみが
大蔵流 茂山千五郎家 島田洋海社中にて
狂言を学んだことをモトに
実際に狂言を(できれば生で)観て
和らいでもらいたいと願うて描いてござる🖋

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