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推敲(すいこう)

文章や詩などをつくるときに何回も練り直すこと。

昔、詩人の賈島という人物が、都に登用試験のために赴いていて、勉強していたときのことである。彼は詩作が好きで、夢中になって一つの作品に取り組んでいた。その語句は、

「僧推月下門」(ある月夜に僧が人の家を訪ねて行って門の扉を推した)

となっていたが、このなかで、「推」という字がどうもしっくりこないと考えたのである。

「推す」の代わりに「敲く(たたく)」という字を使ったほうが良いのではないかと、僧の姿を思い浮かべながら、乗っていた驢馬の赴くまま進んでいると、都の長官である韓愈の行列にぶつかってしまった。

そこで、思わず、この詩作のことを相談してみたのだった。韓愈は、すぐに、「敲字佳矣」(それは「敲」の字の方がいいですね。)と答えた。二人は意気投合して、そのまま歩きながら詩を論じたという。


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