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Bitcoin P2P e-cash paper(Oct 31, 2008)

2023年10月31日 宍戸健

"Fri Oct 31 14:10:00 EDT 2008"、2008年10月31日(金)米国東部夏時間(EDT, Eastern Daylight Time)14時10分にSatoshi Nakamoto氏はCryptography MailingリストでBitcoinを初めて公開しました。そのメールでは概要(Abstract)を表記しホワイトペーパー全文は並行して準備されていた、Bitcoin. orgサイトで見てねと伝えています。

尚この時点では、Bitcoin Protocol Softwareはまだ公開されていません。Bitcoin Protocol Softwareが公開されたのは、Satoshi Nakamotoがマイニング開始した2009年1月3日にSorceforge.net(Github.comではない。)に同時公開されたと思われます。

ホワイトペーパー公開から、ソフトウェア公開/マイニング開始まで約2ヶ月の間を置いたのは、英国の法律では「十分な時間」は約2ヶ月以上と解釈されるからだそうです。ようするにホワイトペーパーを見て、マイニングをやってみようと思った人に対して準備に十分な時間を与えることが、フェアーローンチの要素の一つだからだそうです。(by クレイグ博士。凄いww。)

さて、ではBitcoin. orgのドメイン名は誰がいつ、どのようにして取得されたのでしょうか。

クレイグ・ライト博士の2019年4月12日のブログ記事によると、匿名でドメイン取得、ホスティング、メールサーバー使用などのサービスを当時提供していたAnonymousSpeech.com のサービスを利用してBitcoin. orgドメインを取得したと説明されています。(以下、当時のクレイグ博士のアカウントのスクショ。)

Anonymous Speech LLCはスイス人のハッカーMark Weber氏により日本に設立されていた会社で彼らは2008年当時東京に滞在していましたBitcoin. orgドメイン名の登録住所は、中野区にあるSakura Houseという外国人向けのシェアハウス(Sakura Houseは現在も営業中)の住所が使われています。

そして、AnonymousSpeechの各種サービスの当時の支払い方法は、

1. Paypal、クレジットカード
2. Bank Weber (スイスの銀行)口座への現金書留(スイス国内郵便のみ対応。でもさすがスイス。現金書留があるんですね。)
3. Credit Suisse 口座への現金振り込み
4. eGold口座送金。(Goldの証券。Bitcoin開発の参考にしたモデルの一つ。クレイグ博士がよく言及しますね。現在は存在しない。)

2009年1月23日時点のアーカイブ記録

クレイグ博士はこれらの支払いオプションの中から、個人のクレジットカードで支払い(正確にはAnonymous Speechポイントを事前に購入してその残高から支払い。DMMポイントをチャージする感じですね。)をし、それらの記録は2009年の確定申告でオーストラリアの税務署に提出したと説明されています。

当然ながら、2008年当時ではそもそもBitcoinが存在してないので、ビットコインで支払いというオプションは無かったのです。

その後、このAnomymousSpeechがBitcoinの支払いを受け付けるオプションが追加されたのは2014年になってからでした。このときにはBitcoinで支払うと5%の割引ボーナスがありました。"Its time to go BITCOIN!" 当時のAnonymousSpeech社も喜んでいたようです。手数料は安いし、送金完了はインスタントですしね。

2014年10月2日時点のアーカイブ記録

Bitcoin. orgのドメイン名を登録したことと、ビットコインの著作権を保有することとは別のことではありますが、Bitcoin. orgのドメインを登録してサイトでいろいろ説明した人は、ビットコインを創造した人と同一人物なのでしょうか。

尚、クレイグ博士はなぜ10月31日を選んだかというと、お父さん、Federick Page Wright(オーストラリア軍第八部隊所属で1969年にベトナム戦争に従軍。除隊後PTSDによりクレイグ博士が小さい頃に離婚。)の誕生日に合わせたと説明されています。

Virtual War Memorial Australiaサイト 

それでは今日はこの辺で。


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