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青森県立美術館の多様的単調性

お盆休みに青森県立美術館にいったのでレポート

ファサードは単調な白の低層美術館といった印象

周囲は運動公園のようになっていて唯一ある白い美術館は低層なこともあり馴染むようで、違和感をつくりだしてる。

この美術館は設計は青木淳氏。

詳しい建物のことに関しては引用します。
ホームページにもある青森県立美術館のコンセプトのテキストです。

青森県立美術館は、隣の「三内丸山縄文遺跡」の発掘現場から着想を得て、設計されました。発掘現場のトレンチ(壕)のように、地面が幾何学的に切り込まれています。その上から白く塗装された煉瓦の量塊が覆いかぶさっています。上の量塊の下の面も、凹凸を見せています。土の上向きの凹凸と量塊の下向きの凹凸が、まるで並びの悪い歯列かのように、気ままに、隙間を持ちながら噛み合わされています。これがこの建築の基本構成です。
こうしてこの美術館は、古今東西まったく存在したことがなかった展示空間を獲得することになりました。それは、量塊のなかに設けられた真っ白な「ホワイトキューブ」の展示室隙間と土の床や壁が露出する隙間の「土」の展示室が、対立しながらも共存する強度の高い空間です。そこで展覧会が催され、土の床や壁はその度ごとに部分的に壊され補修されていきます。私は、年を経て、やがてパッチワークのような味が滲み出していくことを期待しています

実際、土のような仕上げの床、白い壁という表面の仕上げのみによる空間でした。

この時点で感じたことは、意外と名建築と呼ばれる割には小さいし、マテリアル操作もつまらなさそうだな、、、大丈夫かな?といったことでした。

しかしなぜ、noteを書くに至ったかは2点あります

①第一印象の単調さからは想像もつかない空間の奥行きと、空間把握させない複雑性による心理的な空間広さ
②空間構成のみでつくりだす異常さが生み出す緊張感

エントランスを入るとまずエレベーターへ。椅子があって腰掛けられました。

行き先を押そうとするとなんと、、

行き先ボタンがない笑

どこへいくかも分からず動くエレベーター、、

そして開けると展示室になってました。

この時点ではまだ空間の深さに気づかず、迷路のような順路を進んでいくと、マテリアルは二調だけで、空間がキャンチしたり隙間をつくったり、徐々にシークエンス的な複雑さを帯びていき、途中から自分が建物のどこにいるか把握できなくなりました。

マップも所持していたけど、空間が単調且つ複雑すぎてマップが見にくい、、、(マップのデザインはよかったです)

順路的に階段をあがるところに至りようやく自分が地下2階にいたことに気がつきました。

心理的には単調な表面の、低層の小さな美術館というイメージから、進むにしたがって複雑な迷路のような奥行きの深い大きな美術館というイメージに変わりました。

そして、②についてですが、あらゆる空間が異常にキャンチしていて柱がない。

構造的に理解させない意図が見られ、コンセプトの遺跡に白い建物が乗っているを体現し、且つそれが異常を帯びることで単調な空間に暖かい違和感のような感じがしました。

そして、実際に行ってみないと分かりにくいのですが、ボイドのスケール感が一般的な建築とあまりにもずれている。

これは2階からの撮影なのですが、3階とも2階とも言えない高さにあるように思え、ガラスも不安定に見える緊張感もあります。

①による心理的なシークエンス
低層且つ単調なマテリアル→三層で複雑な空間構成。
②による緊張感
スケールをずらす。異常さを帯びるまでのキャンチ

を操作することによる行かなければわからない楽しさを感じました。

SNS時代においてここほど実際に行かなければ分からない建築体験でした。

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