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建設DX研究所 第11回定例部会を開催しました!

みなさん、こんにちは。
「建設DX研究所」では、毎月1度、オフラインの定例部会を実施しています。
11月30日に、第11回となる定例部会を開催しましたので、その様子をダイジェストでお届けします。

第11回「空間全体3次元化とスタートアップの連携」

今回は、建設DX研究所より、株式会社Liberawareの 林さんが登壇し、ゲストに株式会社マップフォーの 田中さんを迎え、「空間全体3次元化とスタートアップの連携」と題して、両社は同じ点群処理の領域でも、小型ドローンによる狭小空間が得意なLiberawareさんと、大空間の高速処理が得意なマップフォーさんの連携に関するお話について発表いただきました。

Liberaware社は「誰もが安全な社会を作る」をミッションに掲げ、それを達成するために「見えないリスクを可視化する」ことをビジョンとするスタートアップです。例えば今、建物の天井裏や地下に見えない損傷があった時に、地震があったら倒壊してしまう。そんな状況の発生しない社会を作るために、狭⼩空間専⽤の点検ドローン「IBIS」と三次元化技術により、見えないリスクを可視化します。

Liberaware社独自の狭⼩空間専⽤の点検ドローン「IBIS」は業界最⼩クラスであり、これまで⼈が⽴ち⼊ることができなかった狭い場所や過酷な環境でも、現場の状況を詳細に把握することができます。写真は「ドローン目線の天井裏」のイメージです。例えば「吊り金具の根本」であったり、「壁面にある躯体の損傷」であったり、「水漏れの状況がないか」等の状況について、ドローンの飛行に必要な幅10cmがあれば、IBISが通り抜けて確認することができます。

また、実際に取得した点群データの3次元化にも取り組まれています。「3D-BIM化」という概念であり、例えばレーザースキャナではデータが欠落してしまう場所でも、IBISを併用することで欠落したデータの箇所を撮影し、状況を把握することができるようになる、とのこと。築年数の長い建築物においては、正しい図面が存在しないケースなどもあり、こうした3次元化の技術にニーズがあります。
スキャンしたデータから、精緻なBIMを作成するには、材質や部材の情報を人の手で入れる必要がありますが、今後認識や識別能力があがるとよりスピーディに自動でBIM化できるようになることも期待できます。

最近ではLiberaware社は、大型構造設備にて実証運用も開始しています。これらのLiberaware社の技術は特に、鉄道・鉄鋼・建設・プラント・電力といった大規模で多岐にわたる設備を抱える現場での活用に期待が寄せられています。

対談のゲストにお迎えしたマップフォー社は、自動運転システムにおける3次元地図作成技術・位置推定技術を社会実装するために設立された名古屋大学発のスタートアップです。「社会の変革と創造へ、技術で導く」ことをビジョンに掲げ、「空間知能」を追求するテクノロジー企業として技術躍進を続けています。

この両社が構想する「Liberaware社 × マップフォー社 のコラボレーション事業」では、お互いの強みである「空間制約の解消(Liberaware社の強み)」と「時間制約の解消(マップフォー社の強み)」を活かして、「建物全体のBIM化」を叶えています。

既設建物をBIM化する際の課題として、図面が無いもしくは図面が正しくないケースがあります。また、従来は人による計測が必要であり、計測作業には非常に多くの工数が必要となり、加えてその計測結果を図面に落とし込む工数も必要となります。

特に、天井裏等の狭小・高所の環境においては、BIM化の課題が多いなかで、Liberaware社 × マップフォー社の技術のコラボレーションによって、社会インフラやプラント設備のデジタルツインの構築と、そのデータ利用を同時に実施できます。

会場ではマップフォー社の点群取得の実機を用いて、実際に点群データ取得も試みました。
非常に高価な機器とお伺いしましたが、背負ってみると意外と負荷は感じられず、現場内の持ち運びも軽々行えるようでした。箱型の会議室の点群を綺麗に取得することができ、実用のイメージも浮かびました。

建設DX研究所事務局より

今回、普段あまりなじみのない「空間全体3次元化とスタートアップの連携」というテーマに触れ、新しく知ることも多く、非常によい学びの場となったと思います。

様々なデバイスやソフトウェアを用いたデジタルツインの構築や、データ利用の技術革新が進んできていることは多くの方がご存じだと思いますが、
ビル全体のBIM化も同様で、精度・時間・環境といった現場の課題となる要因を解決するために、スタートアップ同士の強みを活かし、技術を連携することによって解決していく素晴らしさを、改めて認識することができました。

今後もこうした勉強会・定例部会を定期的に開催していくほか、情報発信・政策提言等の活動も実施していきます。 建設DX推進のためには、現状の建設DX研究所メンバーのみではなく、最先端の技術に精通する建設テックベンチャーをはじめ、数多くの事業者の力・横の連携が不可欠だと考えています。 建設DX研究所の活動・定例部会などにご興味をお持ちいただける方は、ぜひプレスリリースを御覧いただき、お気軽にお問合せいただけると嬉しいです。