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統合医療

統合医療という言葉をご存知でしょうか?
日本統合医療学会のホームページに日本における定義が記載されています。

”統合医療は医療の受け手である「人」を中心とした医療システムである。近代西洋医学に基づいた従来の医療の枠を超えて、「人」の生老病死に関わり、種々の相補(補完)・代替医療を加味し、生きていくために不可欠な「衣・食・住」を基盤として、さらには自然環境や経済社会をも包含する医療システムである。”

日本統合医療学会ホームページ

つまり、病院で受ける医療保険が効く医療に加えて、様々な薬、食品、生活習慣などを組み合わせて行う医療のことを指します。

イメージしやすいのは、悪性腫瘍で根治が難しいとなったときだと思います。そのまま医師に勧められる治療を継続しても明確なゴールが見えなくなったとき、患者さん自身が他の可能性に視野を広げ、抗がん剤治療と並行して実施するような状況が統合医療に当たります。厳しい状況を突きつけられた際に様々な可能性を検討することは自然なことではないでしょうか。選択肢は漢方やサプリメントや健康食品、鍼灸、ヨガ、公的医療保険に含まれない自由診療など多岐にわたります。

私は、患者さんがこういったいわゆる西洋医療以外にもなにか良いことはないか、積極的に考えることは良いことだと思っています。主体的な姿勢は病気を治療していく上で、非常にプラスになります。また、アメリカでも同様の統合医療へ割かれている国家予算や注目度は高いものがあります。
ただ、注意しなければならないことは、医療保険の範囲で実施できる医療は質が担保されているのに対して、それ以外のサプリメント、健康食品を始めとした様々な選択肢にはしっかりした裏付けが無いものも多いということです。試したことのないものに期待を寄せることは自然なことだと思いますが、大変なときに試みるのであれば、少しでも根拠のあるものを取り入れるのが良いと思います。
日本でも厚生労働省が、統合医療を行う際に選択肢になる治療が信頼に足るものかの情報を発信してくれています(海外の根拠であるものも多いですが)。

病気の治療について難しい選択を迫られ、なにか自身でもできる検討したいと思った時にはこのサイトで調べてみる価値は十分あると思います。

ただ、注意しないといけないことが2つあると考えています。
一つは製薬会社が主体となって大規模で有効性や副作用を調べる薬剤の試験と異なり、医療保険外の治療は大きな規模で調べられることが少なく、どうしても根拠のレベルが低くなるということです。そのため、良いかもしれないと書かれているからと言って過信はしたり、また逆にこのサイトで否定的に書かれているから、すごく魅力を感じている選択肢だけれど涙を飲んで選択しないなど、絶対の拠り所とする必要もないのではないかと思います。
もう一つは、統合医療の考え方はあくまでそれまで実施している西洋医療に組み合わせる形で行うべきという基本的な姿勢です。一つのものに期待をかけると、それ以外のものを蔑ろにしがちですが、あくまで効果が期待できる治療は継続しながら、プラスアルファでそれ以外の広い選択肢を考慮するのが良いということです。多くの物事がゼロイチで悪い・良いと区別できない事に納得した上で、視野を広げることで、前向きな治療に繋がってほしいなと思います。

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