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バッタを倒しにアフリカへ

興味本位で読ませていただいた表題の本が非常に面白かったです。
コミカルなタッチで、かつ臨場感たっぷりに、著者が意を決して海外に研究の拠点を移したこととその後が描かれており、細かい部分を理解しきれずとも一気に読めてしまう面白さでした。

私自身、休み休みではあるものの、足掛け20年近く医学・生物学研究をしていた手前、広く研究の世界がわかっていると思いこんでおりました。
しかし、自分のやっていた、実験室での分子生物学的な実験、臨床医療データの解析以外の研究領域をほとんどわかっていなかったと思い知らされました。

実験室で実施する実験は、ある程度使える材料、手法の基礎があり、出てきた結果次第での解釈・次の一手も比較的見通しが立ちやすいものです。

ところが、本書の研究計画は全く異なりました。
ものすごくザックリしています。
サバクトビバッタの大量発生が予想されるモーリタニアに行けば、なにか新しいことが見いだせると。それを期待して自身の金銭的・身体的負担を顧みず著者は、バッタの研究のため西アフリカに旅立ちます。
もちろんそれまでされていた研究に裏付けられた見通しはあったのだと思いますが、それにしても著者の思い切った行動に感服しました。
研究のために、投げやりではない気持ちで、日本の恵まれた生活環境を離れ長期に身を置ける志には、見習う面が沢山ありました。

・同じ環境に惰性で長くいても良いことはない
・変化を恐れてはいけない
・眼の前にあるものを直視し、様々な想像力を働かせる
・様々な人とオープンに接する

これまでの自分の半生で何度も大事だと思ってきた事たちですが、日常生活の中で楽をしていると必ず抜けてしまいます。
そういったことを思い起こさせてくれる刺激をくれた点でも良い本だと感じました。

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