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年食ってなお、一人旅。

最後に一人旅に出たのはいつだったろうか。

独り身で海外赴任したり、そこからまた別の国に出張したりを繰り返しているので、ずっと一人旅してるみたいなもんじゃないかと言われればそうなんですけど、でもまあ仕事から離れて飛行機と宿を私費で予約して出かけるのはまた別の話だ。

用務ではなく、
友達や家族と一緒ではなく一人で、
宿泊を伴い、
帰国や帰省でもない旅。

遡ってみると、2018年7月が最後でした。
そして今回が、2024年6月。6年ぶり。

一人で豪奢なリゾートホテルに泊まっても仕方ないので、ビーチに面していて、スキューバダイビングのショップに併設されたロッジみたいな宿を選んで、飛行機で1時間そこそこで行けるスキューバダイビングの聖地と称される場所に足を伸ばしてきました。

海の中は一面に広がる珊瑚の上に派手で不思議な色をした魚たちの影が濃く、また色や形が派手なだけでなく図体も大きい魚がそこかしこにいて、それはそれは美しく、そりゃ「聖地」と呼ばれるのも納得でした。

*   *   *

しかし悪い予感が的中。

僕は前回の一人旅から6才年をとっているし、また最近なにかと体調を崩すことが多くて低調なせいもあったのか、これまでにない激しい乗り物酔いの症状に見舞われ、嘔吐して顔面蒼白、ボートに同乗のみなさんに心配をかけてしまいました。

*   *   *

宿のベッドで安静。

そういえば僕は、人生最初の一人旅だったインドでも、ムンバイの安宿で体調崩したことがあった。あの時の自分と同じだ。水や食べ物を買いに行くのも億劫で、でも飲み食いしないと体調は回復しないし、青い顔をして表に出たんだ。あの時と同じだ。

一人旅。
自由で気ままなんだけど、なんでも自分で始末をつけなきゃならない。

ムンバイの安宿で気怠く回る天井のファンをうらめしく眺めていた僕は、まだ社会に出たばかりで何者でもなかった。しかしあれから年月も経って、今の僕にはそれなりの肩書が付いたりなんかしてます。それでもこうやって、ダイビングショップのロッジで一人寝ていると、あの時の僕が今の僕の中にちゃんといるのに気付いたりします。

幸い今回は、激しい症状だったとはいえただの乗り物酔いなので、夜にはご飯も食べられるようになり、翌日は海に浸からないエクスカーションに出かけるまでに回復したのですが。

優雅な独身貴族の一人旅、とはなかなかいかないのですが、自分が自分であるために、たまには一人旅に出ないといけない気がします。

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