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【新たな市場の開設🌳】脱炭素後押しするカーボン・クレジット市場の存在と排出権取引における問題点💦:日経新聞解説📰2023/10/11

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!


カーボン・クレジット取引市場開設 東証、脱炭素後押し

 東京証券取引所は11日、二酸化炭素(CO2)排出量を取引するカーボン・クレジット市場を開設した。再生可能エネルギーの導入や森林整備による排出削減分の売買の透明性を高め、企業の脱炭素を後押しする。2005年に取引市場を開設した欧州から20年近く遅れての船出で、売買をどう盛り上げるかが課題となる。

 排出量取引は脱炭素に向けて政府が推進するグリーントランスフォーメーション(GX)政策の一環だ。市場取引を通じて二酸化炭素の削減に価格が付くことで、企業の脱炭素投資にインセンティブが働きやすくなる。

 西村康稔経産相は11日、「市場の力を利用して排出量削減と投資の前倒しを行ってほしい」と期待を込めた。
取引参加者は11日時点の188社・団体から、少なくとも200を超える見通しだと明らかにした。

 カーボン・クレジットは企業などが再エネの利用や省エネ製品への切り替え、森林育成といった取り組みで減らしたCO2排出量を「権利」として売買するしくみ。排出量を削減する企業はより多くのクレジットを取得し、市場で売ることで利益を得られる。排出量の多い企業はクレジットを購入して自社の排出量を相殺できる。

 東証が扱うのは、国がCO2削減効果を認める「J―クレジット」と呼ばれる権利だ。今後は政策動向を踏まえ、新興国の排出量削減を支援することで、その一部を日本側の削減分とみなす「2国間クレジット制度(JCM)」などの取り扱いも順次検討する。

 クレジットの種類は排出量の削減方法によって「省エネ」「再エネ(電力)」「再エネ(熱)」「森林」など6つに分かれ、排出量1トン単位で取引する。

 東証の株式市場との違いは主に3つ。
1つが1日の取引回数だ。株は1日の取引時間中いつでも注文を受け付け、売買が成立するのに対し、J―クレジットの取引は午前11時30分と午後3時の1日2回だ。(中略)

 注文の種類も異なる。J―クレジット取引では希望する売買価格を指定する「指し値注文」しか認めていない。半面、株取引には「いくらでもいいから買いたい」や、「いくらでもいいから売りたい」といった値段を指定しない「成り行き注文」がある。

 違いの3つ目が市場参加者の属性だ。株の場合、取引所で直接売買できるのは専門の資格を持つ証券会社のみだ。
J―クレジット取引は原則、申し込めば市場参加者となることができ、電力会社や商社、金融機関のほか、国や地方公共団体などが名を連ねる。

 当初の取引は低調な滑り出しとなる可能性がある。取引回数や注文形式に制限があるうえ、あえて株のように「プロ」に任せる形式をとらないことで、不慣れな事業者が取引に後ろ向きになる懸念があるためだ。

 実際、経産省の委託事業として東証が23年1月まで約4カ月間実施した実証実験では、参加した183事業者のうち売買できたのは55事業者どまりで、123事業者は発注そのものを見送った。

 売買が盛り上がりを欠けば取引価格は上がりにくく、クレジットを獲得するための排出量削減の取り組みにもつながらない。
11日の取引初日は価格や取引量がどの程度伸びるかが注目される。目安となるのが国際エネルギー機関(IEA)が50年のCO2排出実質ゼロに必要と試算する1トンあたり140ドル(約2万1000円)程度だ。

 「値付け業者」制度を試験導入へ
 西村氏は11日、売買の活性化へ取引参加者の売りや買いの受け手となる「マーケットメーカー」(値付け業者)制度を設ける計画を示した。
経産省から東証への委託事業として23年10月から24年3月まで試験導入する。証券会社や銀行などの金融機関を想定し、23年11月に登録を始める。

 値付け業者はあらかじめ決まった時間帯に、一定の価格帯で一定量の売り買い注文を同時に出す義務を負う。
制度開始に伴い、政府は保有するJ―クレジットの一部を値付け業者に売却し、市場での取引に活用してもらう。売却方法は今後詰める。(中略)

 排出量取引は政府が50年までの実現を目指す排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)でカギを握るが、排出をめぐる義務や罰則はない。
排出量を売る側、買う側のインセンティブをいかに高められるか、全体の制度設計が欠かせない。

 市場での取引が活発化すれば、排出するCO2に付ける「炭素価格」が明確になる。J―クレジットでの登録には手間やコストがかかるが、炭素価格が分かればコストに見合った削減かどうか企業側が判断しやすくなる。

 市場でJ―クレジットを売却することで利益を得られる見通しであれば、手間をかけてもJ―クレジットを取得しようという動機づけが働きやすくなり、排出量削減が活発化すると期待する。
(中略)
 経産省は26年度の取引市場の本格稼働に向け、段階的に仕組みを整える。24年10月以降、企業が目標を上回って削減した分を市場で取引できるようにする。今後、参加の義務化など法整備も含めて制度の詳細を詰める。

 ネット証券最大手のSBIホールディングスも排出量計測スタートアップのアスエネ(東京・港)と共同で10月末から、排出量取引所を本格稼働する。
取引所同士が参加者獲得や取引量拡大を競い合うことで、全体の売買活性化につながる可能性がある。(和田大蔵)

2023/10/11 15:23 日経速報ニュース

記事に対するコメント📝

脱炭素市場が開設されたことについて、早速取り上げることにしましょう
記事で取り上げた通り、二酸化炭素(CO2)排出量を取引するカーボン・クレジット市場が11日、東京証券取引所で開設されました👏

市場参加者は電力会社や金融機関などの民間企業に加え、地方公共団体など計188者で、午前9時から注文の受付が始まったとのことです

 東証では同日式典が開かれ、出席した西村康稔経済産業相が「カーボン・クレジットの活用は、社会全体の効率的な排出削減を実現しながら民間企業のGX(グリーントランスフォーメーション)投資を引き出していく効果を持つ取り組みだ」と述べられたそうです

 同市場では、再生可能エネルギーの利用によるCO2削減量や、森林管理を通じた吸収量を国が認証する「J-クレジット」を売買することになります

東証によると、注文の受付時間は午前と午後に分かれており、値が付くのは午前11時30分と午後3時の2回となることから株式市場とは異なり、いわゆるザラ場での取引はないと言えます

ただし、J-クレジットはこれまで相対で取引されていたそうで、今後は市場を通じて価格が形成されるため透明性向上につながるメリットがあると考えられるでしょう
 
今後、参加者の増加が見込まれる中、東証は取引市場の整備を進め、企業などの脱炭素の取り組みを後押しする考えを持っていることを考えられば、GX化への取り組みにさらなる期待ができますね

 カーボン・クレジットを活用すれば、売り手側は売却益を得ることができ、買い手側には削減が難しいCO2排出量と相殺(オフセット)できるなどのメリットが生まれることが考えられます

ただ、低コストでオフセットができるようになれば、企業の排出削減に向けた意識がかえって損なわれるのではないかとの指摘もあり、炭素取引には効果と課題が混在することを確認しておきましょう

🌳環境経済学への誘い🌳

私も大学で環境経済学という講義を履修したことがあります

環境問題を経済学の視点から考察することで、私たちの経済活動の在り方を模索したり、自然にも最適な経済施策の在り方などを考えたりする内容であったように思います💖

以下では、肥前洋一氏の見解に基づきながらカーボンクレジットならびに「CO2排出権取引」という制度を経済学的観点から考察してみることにしましょう

地球温暖化防止のためには、温室効果ガスの排出量を「世界全体で一定の水準まで」削減することが求められることは周知の事実であります・・・

しかし、私たちは本当に日々、環境問題について考えていますでしょうか?
もしかしたら、無意識のうちに誰かが解決してくれるという「フリーライダー」のような立場になってしまっているのではないでしょうか??
1997年の京都議定書では、国ごとに温室効果ガスの削減量目標値を定められています

すなわち、フリーライダーと公平性の問題を解決するためであると言えるでしょう

しかし、冷静になって考えれば国ごとに目標値を定めたことは、世界全体で排出量を削減するための手段であり、目的ではありません💦

削減費用を低く抑えられれば、余剰金でさらに削減できますし、同じ費用をかけるならより多く削減できるほうが良いでしょう
要するに、CO2を削減するための取り組みの中で莫大なコストを掛けて温室効果ガスを放出してしまっていたら、本末転倒になってしまうということですね💦

「世界中で最も安く削減可能なところから順に実施していくことが、費用最小化もしくは削減量最大化の観点から望ましいはずである」と肥前氏は主張しています📝

排出量取引は直接的に抑えようとすることに特徴があり、環境税との違いがあります

すなわち、排出許可証の発行枚数を決めてしまえば、それ以上排出することはできないのです

排出許可証の発行枚数(供給量)によって、排出許可証および温室効果ガス排出の源になる生産財やサービスの価格が決まることになると言えます

ただしどの市場参加者(企業)に何枚ずついかなる方法で「カーボンクレジット(排出量)」を配分するかを決めるのは簡単ではありません

肥前氏によれば、①入札で排出許可証を売るオークション方式、②各排出主体について基準年の排出量の何パーセントという形で配分するグランドファザリング方式、③全員一律の基準排出量を定めるベンチマーク方式などが排出許可証の(初期)配分方法として上げています

グランドファザリング(grandfathering) による方式の説明は以下の通りです

これは、交付対象主体の特定期間における排出実績に応じて初期排出枠を割り当てる方式となります
(例えば、現行排出量の5割に相当する排出許可証を割り当てるなど)

これは、基本的に無償で配布されるため汚染企業に受け入れられやすいとされています

ただし、これまでの排出削減の努力が反映されない点で不公平と言えるでしょう💦

近々この方式で排出枠の割り当てが実施されることが分かっている場合には、汚染者に排出量を増大させる誘因を与えるという一種のモラルハザードが発生していることが情報の非対称性による問題と言えるでしょう

その一方で、オークション(auctions)方式はどうでしょうか?
これは、政府が入札によって排出枠を販売する方式になります

排出税同様に政府歳入をもたらすため、それを他の市場の歪み を是正するのに使うことができると言えます

しかし、汚染企業には大きな負担になるため受け入れられにくいのです💦

排出量取引の利点

直接交渉の強みは公共政策とは異なり、利害関係者自身が効率的な解決を見出そうとするところにあります

すなわち、①問題解決に対する強い誘因をもっていること
②排出削減の便益と費用に関する情報をよく知っていること
③相手の不正を監視する誘因が生じること
などが挙げられるでしょう

排出量取引(emission trading)制度は、上記で述べたこれらの利点を活かしつつ、直接規制がもつ目標達成の確実性と税・補助金がもつ費用効果性を備えていると言えます

許可証により排出総量を決めて実施することで、それ以上の排出を 抑えることができます
また自由な取引によって限界排出削減費用が均等化されることになるので、市場の効率性が高まることが期待できると言われています

排出量取引の方法については、以下の2つが代表例となるでしょう

①キャップ・アンド・トレード(Cap-and-Trade)方式
これは、特定の排出削減目標に対応する排出許可証を発行し、それらを 何らかの方法で汚染者に割り当て、市場で自由に取引させる制度であり、汚染者は取引後、許可証の枠内で排出が認められることになるというものです

②ベースライン アンド クレジット (baseline-and-credit)方式
この取引方法は、排出源ごとに目標とするベースライン排出量を設定して、その 排出量以下まで削減した場合にはその分をクレジットとして排出許可証を与える制度になります

したがって、得られたクレジットは、次期のベースライン達成のためにバン キングすることや、その目標が達せできなかった排出源に販売することが認められるというのです📝

前回ご紹介した記事💖

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