#2 生産性の向上について

建設業における残業45時間制限の期日が迫ってますね。
みなさんの会社では対策は進んでますでしょうか?

そもそもが請負という建設業、よほどの事情が無い限り、
元請と施工会社の間では、残業や休日出勤をしようがしまいが、工事代金は変わらないという世界かと思います。

様々な状況に柔軟に対応してこられた会社(要は残業ありき)にとっては、制限後の状況でこれまでと同様の施工数量をこなそうとすると、より多くの人員を動員しなければならなくなります。(この人がいない時代に)

つまりこの事態に対し、対策が講じられなければ、会社の利益が下がるか、これまでの賃金が得られなくなり職人の離職に繋がるという問題に発展しかねません。

これは由々しき事態。

そこで建設業以外でも昨今よく言われるのは、
「生産性の向上」というキーワード。

建設業で言えば歩掛りというワードになります。
DXとかとも絡めて最近ではよく論じられてますね。

一人親方等で工事を行っている会社であれば、支払い自体が施工数量がベースなので、そもそも関係のない話かもしれません。

しかしながら、従業員との雇用契約の間で、就業時間が謳われている会社にとっては、当然無視出来ない内容になります。

現場作業員にとっても、残業代(超過勤務手当)が月収のベースとなっている方々にとっては、残業時間の規制というのは死活問題に繋がります。

そこで生産性(=歩掛り)を上げて、その分で賃金を賄おうという事です。会社として収益さえ上がっていれば、労賃としての契約を行っている場合でも、手当や一時金等の形で還元し、収入の維持や離職の防止に繋げれられるかもしれません。

では本題です。
1日の施工数量100㎡の人が、150㎡出来るようにするには、どうしたらいいのでしょう?

何か案や具体策がある会社はいらっしゃるでしょうか?
無い?ですよね~

大手や上場企業といった立場であれば、ロボットやDXといった事に大胆に投資をする事は可能かと思います。もしくは技術部とか○○開発部等の部署新設というのもありますね。

しかし、日本の殆どが中小企業、しかもそのうちの何割かは納税すら出来ない(赤字決算)といった現状。そのような状況では中々大胆な投資は出来ないというのが実情ではないでしょうか。

人が育つのには時間が掛かるし、かといって新工法や画期的な技術などすぐには出てこない・・・

この問題も意外と八方ふさがりな訳です。

さて、どうしたものか・・・

ここで今回の
☆ポジティブポイント☆

思い切って、現場の稼ぎ頭を現場から出してしまいましょう!

「あの人に付けておけば大丈夫、あの人はうちのエースだからな」
こんな話出ていませんか?

残念ながらその人が余程育成に係わる実績が無い限り、現場でのOJTという物が上手く機能するという事に、淡い期待を持たない方が良いかもしれません。
その理由の一つとして、古くから日本には、
「技術は教わるではなく盗むもの」
という習慣があります。

実はこの言葉、現代においては違う意味で捉えられていたりします。
皆さんがパッと思いつくところでこの言葉を発しそうな職業はどんなイメージですか?明言はしませんが、いくつか思い浮かんだかと思います。

それらの職種の方々は、残念ながら自身が見習いの時代、同様の言葉を投げ掛けられ、適切な教育を受ける事が叶わず、いざ自分が頭になってみると、教え方が分からない(=適切な教育が出来ない)為、同じ言葉を発してしまうといった話です。

なるほどなと。現実的な話として、後継者がいない(育てられなかった)為廃業に追い込まれるというのは、こういう事が原因という説もあります。

決してその人個人が悪いといった話では無く、いわゆる慣習や時代の風潮といった話であり、それほど昔の人は自身の仕事に対しての責任を重んじ、人を育てるという事にはそこまで重きをおいていなかったと言えるのかもしれません。

その上で決して悪い意味では無いですが、その世代の方々に現役として仕事をやりながら何かを教えさせるというのは、そもそも無理がある(やり方が分からない)といった事が言えるかと思います。

それならば、いっそ現場を出て仕事から手を離したもらった上で、指導員として後進の育成に励んでもらおうという話です。通常こういう話は現役引退後の60代、遅ければ70代を過ぎた方を対象としている会社も多くあると思いますが、前述の通りそこまで待つ余裕はこのご時世ありません。すぐにでも歩掛りを向上に目を向けなければなりません。

教わる方もレジェンド扱いを受けた仙人から教わるよりも、同じ世代で活躍したエースから教わる方が、生の教育としての効果も高まるのではないでしょうか。

ここは攻めの姿勢で現役のエースにこれをやらせてみませんか?

良い物は良いんです。同様の能力を社内で何人が発揮できるかが勝負所であり、会社の質であり価値に繋がります。表現が粗いかもしれませんが、貴重な存在を現場に埋もれさせていては勿体ない。

確かに一時的には現場の収益は下がるかもしれせん。
内勤者扱いでの人件費も掛かるかもしれません。

短期的な部分については是非目をつぶり、長期的な視点で後進の育成に力を注ぎ、これから訪れる困難な時代を乗り越えてみてはいかがでしょうか。


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