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【期間限定99円】超能力日常百合アンソロジー「あなたといられるその日まで」発売!サンプル

一作目 サイキックな花園 おしゃれなもなか 
どこまでも続いていきそうな、サイキック能力のアラカルト群像百合。
彼女たちが今日もどこかで……

二〇十九年。超能力社会である現代の日本では誰もが自分の超能力を活かしながら生きること、家庭や学校、職場など自分が属するコミュニティで自分の超能力や他の超能力者と共存することが当たり前となっていた。それでは、その当たり前からこぼれ落ちた人間はどうすればいいのか。
 都会の喧騒に埋もれゆくシティガール。人混みもトレンチコートも苦手な私にとってオフィス街は息苦しい。石井田紗希は心の中でそう思った。実家を出て、一人で上京したものの、日に日に田舎暮らしと飼い猫との日々が恋しくなりつつある今日この頃。未だに通勤ラッシュが存在するこの街で詩集片手にこの身一つで歩いていく。
 超能力者就労支援センター『サイキックマニア』。某オフィスビルの一角にあるそこは、障害や何らかの事情がある超能力者に支援と訓練を提供し、就職活動をサポートする機関である。訓練生もスタッフも全員超能力者だ。石井田はここで生活支援員として働いている。歳はスタッフの中では一番若く二十三歳、使える超能力はパイロキネシス。パイロキネシスがどんな超能力かはのちほど話そう。
 サイキックマニアのスタッフルームは花園だ。スタッフは女性オンリー、個性豊かなメンバーが揃っている。 顔採用なのかというくらい美人が多い中で石井田は存在感が薄く地味だ。内向的そうな雰囲気を醸し出し、いつもその眼鏡の奥のつぶらな目で人間観察をしている。
 出入り口から遠い一番端のデスクが石井田のポジションだ。
 ふと顔をあげると、部屋の隅では石井田と同じ生活支援員で二十三歳の結城唯武希が巨大ビーズクッションに埋もれていた。長身+茶髪ロングボブの中性的な女性で、男装が似合いそうというのが石井田から見た結城の印象だった。結城はサイコキネシス、つまり念動力を使える。言っちゃ悪いが超ポンコツでその上、打たれ弱く涙もろい豆腐メンタルの持ち主。しかし、人懐っこく素直で可愛い気とやる気のある、いわゆる出来が悪くてもみんなから可愛がられるタイプだ。同い年かつ同じ立場だが、自分と結城の違いはここにあると石井田は思っていた。要領が悪く不器用なだけの自分より、結城は周りに頼りながらなんとか上手くやっていける人で存在感もある。表には出さないが、石井田はそんな結城のことが少し妬ましかった。ずるいと思ってしまうのだ。
 石井田が結城を観察していると、ちょうど若菜和佳奈がカフェオレ片手にやってきた。若菜和佳奈。三十二歳。嘘みたいな名前だが本名だ。茶髪のセミロングヘアを毎日違う髪型にアレンジしているフェミニンで可愛らしい女性である。今日はゆるくウェーブがかったこなれ感のあるローポニーテールだ。職業指導員。使える超能力はサイコセラピー。触れただけで人の心を満たし、傷ついた人の精神を癒やす能力を持つ。
 若菜のマスカラで縁取られた潤みがちな目が部屋の隅の結城をロックオンした。
 次の瞬間、イメージとは裏腹に若菜の口から出た言葉はフェミニンやセラピーとはかけ離れたものだった……

続きは本編で!





一作目 サイキックな花園 おしゃれなもなか 
どこまでも続いていきそうな、サイキック能力のアラカルト群像百合。
彼女たちが今日もどこかで……

サイキックなんて当たり前?
超能力百合アンソロジー完成です
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表紙 まちろ

一作目 サイキックな花園 おしゃれなもなか 
どこまでも続いていきそうな、サイキック能力のアラカルト群像百合。
彼女たちが今日もどこかで……

二作目 母が神になりまして Lilium Anthems
亡くなった母が突然神になったと言い張る、神仏化母娘百合。
目に見えるものなんて、みんなそれぞれで。違って当たり前。
超能力なんて、ない……ほんとうにそうかな?

スキマ時間にサクッと読めちゃう短編2本組み。
Kindle Unlimitedの方はもちろん無料です。
お楽しみくださいませ。

わたしたちの百合ライフを無限に彩ります――Lilium Anthems

各作品著作権等はご本人様に帰属致します。
表 紙 まちろ@ma_chiron
一作目 おしゃれなもなか@JbRNMFQYMHvKju

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