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Lilium Anthems総集編サンプル

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百合小説短編26作、総ページ数900超え すべて百合はこの世の真理。百合以外入ってません。 いそがしい、でもたくさん百合を摂取したいあなたに 最大1作1時間以内で読み終わるサクッ…
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#百合

二十二作目 閉じた花弁の中で 親子百合SSシリーズ

「あなたの母親であれて良かった。と思うと同時に、後悔しています」 「それはどうして?」 「他人なら、この恋は許されたから」 「許されないよ。親子じゃなくても、私たちは女同士だから」 「それも、そうね。こうして人目をはばかるのにも疲れたわ。いっそおおっぴらに……」 「お母さんは私と離れてもいいの?」 「残酷な子ね。どちらを選んでも、私は苦しいわ」 「だから、私の何倍も感じるんだね」 「そうなのかも。だからもう少しゆっくりしてくれる?」 「いや。可愛いお母さんが見たい」 「こんな

二十一作目 お雛様は窓際に 親子百合SS

「なつかしいなぁって思うよ。毎年毎年」 「うん?」 「お雛様の歌。幼稚園で恥ずかしい思いしたんだからね」 「あ、あはは……お内裏様がいないやつね」 「『おひなさまぁあーとおひなさまー♪』今考えると語呂めちゃくちゃだし」 「う」 「しかも窓際で日に当たりすぎて薄くなってる」 「う」 「私、幼稚園で『おひな』って呼ばれてたんだから」 「知ってるわ。あなた自分のこと『おひな、おかわりした!』って言ってたもの」 「へー。そうなんだ」 「今ではあなたをおひなって呼ぶ子はいないでしょうね

十七作目 初めては貴女と pixiv再録SS

「んー、女の子同士っていいねぇ」 「えっと……」 「冴子は嫌だった?」 「あのね。話を聞いて」 「冴子の指くに、くにって……」 「あのね、私たち。親子なのよ」 「うん。それで?」 「はぁ。もういいわ」 「んひひ。よくないと思うけどねん」 「不可抗力よ。私はあなたにだまされたの」 「次もだまされてくれる?」 「あなたがかわいくおねだりできればね」 「じゃあ大丈夫。冴子が私のどこを好きかは知ってるから」 「あっそ。それにしても随分と慣れてるのね」 「ううん。初めて」 「え?」 「

十六作目 あなたに愛の言葉を 母娘百合アンソロ⑤ 

登場人物紹介 香月絢(35) 「迎えに行った方が……いいわよね」  おっとりとしていて、どこか儚げ。  超絶機械音痴。  人前に出ることが苦手、家でハンドメイドを創るほうが好き。     争いを極端に避け、優しすぎる性格のため。  他のママ友の悪口などに耐えられず、なじめなかった。  その反動もあってか、愛莉に依存的になり。  十歳になった娘の愛莉に、異常なまでの愛情を抱いてしまう。  このままでは娘の教育によくないからと、愛莉を祖母の家に預けるが会いたくて仕方がない。恋い

十五作目 おねぇはおばかだけど、かわいいよね。 実姉妹百合アンソロ② 

登場人物紹介 咲野 澪(20) 「ねぼうしたー! 結ー! ママー! たすけてー!」 お姉ちゃん。 一応本作の中心にいる人。1番振り回されてる人とも言う。 名前も見た目もクールなデキる女風のくせにすぐに心が折れる。 メンタルゆですぎたうどん、豆腐ですらない。 ママに甘やかされて育つ。さらに高卒最年少社員のため現在も絶賛甘やかされ中。 天真爛漫。よく言えば嫌味がない。ただあんまり頭も良くない。 当然(?)ママが好き。本人は恋人のように甘えているつもり。どう見ても赤ちゃん。 本編で

十四作目 聖なる夜はあなたと 母娘百合アンソロ④  

一 自己紹介    こんにちは。茅乃です。  私は『ちのちゃんねる』というチャンネルを運営しています。  一応有名ピンスタグラマーです(といってもピコピコ配信者的スタンスです)  私のジャンルは『アオハル系ママフレ』。  伝わらないと思うので詳しく説明すると。  アオハル系→青春を過ごす若者。  ママフレ→ママと仲がよすぎて友だちみたい。  といった感じです。ママと仲がいい、若い子の配信。ですね。  普段はSNSの投稿を作りながら動画を撮ったり、案件を回したり、スパチョをもら

十三作目 ユータラスのゆりかご 百合子作り世代継承作品集より

※この作品は一部、自我の境界線を失うような表現が含まれています。   また、抽象化された表現が続きます。   気分を悪くされる方はただちに読むのを辞めることをおすすめします。     一 安寧のなかで 温かいその空間の中で私は呼吸すらも剥奪された。  ただただ安らぎのゆりかごに抱かれる。  心臓の音、臍帯を通じてなにかが私の中に流れ込んでくる。  しかし、それを認識するにはあまりに安寧として。  息苦しい社会から切り離されて。  たくさんの私は今日もこのたゆたいのなか。

十二作目 マドンナリリーに捧ぐ 百合子作り世代継承作品集より

【庭白百合――ニワシロユリ――】  別名マドンナリリー。西洋の宗教画において聖母マリアの側に咲く白百合。  アヴェ・マリア、その祈りに添えられる純潔の象徴とされる花であり、ヨーロッパ原生。  日本国内における原初の野生種のひとつ。  現在ではテッポウユリに取って代わられているが。  原種はとある場所で保管されている。  そう。彼女たちのように……。  一 百合たちの円環 「瑠衣。つらくないですか?」 「体は重いよ。でも、それは月乃も同じでしょ」 「わたくしは、いいのです。で

十一作目 大きな愛に抱かれて 母娘百合アンソロ③

「準備はいいかしら」 「うん」 「被綿(きせわた)、菊酒、菊合わせ。菊湯に最後は菊枕」 「もー、毎年やってるんだから分かるよー」 「音羽(おとは)。こういう行事は準備が本番よ」 「わかったってばー。ねぇねぇ! 早く! お母さんとの時間が終わっちゃう!」 「ふふ。はいはい」  重陽の節句。延命長寿を願い行われる平安より続く行事で。  菊を中心としたいくつかの工程に分かれ、秋を楽しむものである。  しかし、彼女たちにとって今日は特別な日であった。  優しいほほえみを浮かべる円熟し

十作目 みどりそーだと積乱雲 実姉妹百合アンソロより

「りこ、みどりそーだ」 『えっと、メロンソーダ?』 「む! みどりそーだ!」 「あ、すいません。メロンソーダで大丈夫です」  私の妹、莉子は少しおばかなのです。というよりは独特の表現をする子で。まだ小学生になりたてだからいいのですが。これから大きくなって。高校生になっても今みたいに、自分言葉で話していたら、なかなかにまずいと思うんです。  いまだって、店員さんを困らせていて。  私が説明しないと、ジュースひとつ頼めないのですから。 「はぁ……どこでそんな言葉を覚えたの」 「ね

八作目 十八回目の紫陽花の季節 実姉妹百合アンソロ①

「茉莉ちゃん。少しアンニュイな表情がほしいな」 「アンニュイってなに? わかんない」 「あ、うん。その表情、いい。そのまま、そのまま……」   【11回目の紫陽花の季節】    ささやくような小さな声で、私に指示を出す姉。  彼女は、とてもしとやかな人でした。容姿が整っていて、しかもそれでいて身なりには気を遣う。自分が被写体になればいいのにと思うくらいに美人なので聞いてみたのだけれど、本人曰く。 「モデルさんは、いつも撮られるためにきれいにしてくれるから。それなら私も」らしく

七作目 来る夢、見る夢【実姉妹百合アンソロ①】

「おねえちゃん……あのね……」 「うん、うん!」 「『お姉ちゃん好きです。付き合ってください』」 「きゃー! もいっかい!」 「……はぁ。『お姉ちゃん好きです。付き合ってください』」 「へ……へへへ……良いねぇ……はぁ……はぁ……」  このキモいのは私の姉です。  あっちが美来(みらい)、高2。  私は美夢(みゆ)、中2。  この状況はよく分かんないんだけど。  とりあえず言うたびに千円もらえるんで、言います。 「あぁ……妹……いい……しゅき……」 「キモすぎる」 「そうです

六作目 ラヴィアンローズ ラブホ百合アンソロ

一 鳴かぬなら鳴かせてあげる、せーんぱい 「にゃははー! しぇんぱぁい。おっぱいおっきー! むにむにぃ」 「ちょっと……飲み過ぎよっ!」 「にひひひひー。いいじゃらいれすかー。よってらいとしごとやってらんなひでしゅよ」 「はぁ……おもたっ……」  久々のラブホテル。名前をラヴィアンローズ。  女性専用、と書いてあっただけあって。  ギラギラした感じではなく、清潔感があって全体的にシンプルなデザインだわ。  背中に乗っているのは後輩の凜奈。たまたま近くで職場の飲み会があって、

五作目 お母さんと絵本を作る話 ​母娘百合アンソロ② 再録

 小さい頃に見た夢は、いつもあなたがいました。 「むかしむかし、あるところに……」  そんな優しい声から始まる、夢。  私は、人魚でした。  海のなか。魚、クジラ、海藻、貝、そしてお母さんといっしょに泳いでいました。  お母さんは、とてもきれいでした。ドレスのように長いヒレ。水の流れに寄りそう髪。  私の隣で泳いでいました。私も、一生懸命追いつこうとするのだけど、いつも、いっつもひとりぼっちになってしまいます。だから、私は探します。  時には、漁師に捕まることもありました。