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#7 使われない方が望ましいスキル

【 第一部 消火器の使い方知ってる? 】

昨日は使われない事を願って作られるプロダクトという、数奇なる宿命を持って生まれてくる、消火器について話ましたが、本日はそんな消火器の使い方について。

消火器が使われない事を願って作られたプロダクトであるなら、消火器の使い方は、「使われない事を望まれる知識」って事になる。

そんな消火器の使い方。

防災訓練なんかで使った事があるヒトもいるかもしれないですね。

日本における消火器の使い方は、全メーカー共通。動作も同じ。消火器の誤動作を防ぐ為の安全栓の「色や形」はもちろん、「引き抜き方向」まで同じ。という徹底ぶり。これは、消火器の使用方法を同一にすることが目的。

使い方は至ってシンプル。
因みに、消火器には必ず、使用方法が絵表示で記載されてます。

⓪ 火災を発見したら周囲のヒト達に知らせること

① 消火器の安全線を上向に引き抜く
 → 安全栓を抜くとレバーが握れる様に
 →逆に言えば安全栓抜かなければレバー握っても大丈夫

② ホースを火元に向ける(※ホースの無いものはノズルを向ける)

③ レバーを握る
 → レバーは平仮名の「く」の字型。これも共通。
 →くの字型のうち、上のレバーを下に押し下げる事で作動するので、ピンを抜いた後は下側のレバー持って持ち運んでね

これだけ。

少し補足すると、消火器の安全線抜くときは、床に置いた方が安定する。

そして、消火の際には、火の根本を狙って。
何故なら、火の根本に「燃えているモノ」があるから。(※ これ、今聞くと「当たり前やろ」と思うかもだけど、咄嗟に火に消火薬剤かけちゃうひとはいっぱいいるんだよ。)

火は手前の方から奥の方へ押しやる様に消す。

基本的には、消火薬剤は全量使い切る様に。

最後に。

消火器を使っても、消す事が出来なかったら、すぐに逃げる事を考えて。

消火器は火を消す為の道具だけど、その薬剤は有限で、能力以上の火はもちろん消せない。

消火器の話はこの辺りにして、明日からは違う題材で話をしたいと思います。

【 第二部 消火器の事を一週間話てみて思ったこと 】

僕は、かれこれ14年くらい防災とか消火器と関わる生活を送ってるわけだけど、こうして、改めて消火器の事を話すことで、「使われない事を願って作られるプロダクト」っていう、消火器の宿命と改めて向き合うことが出来た様に思っているわけです。

もちろん、以前からそう話していたけれど、改めて自分がみんなに買って、備えて貰いたいと思っているモノが使われない前提って、不思議だなぁって。

ここは結構大切な気づきで、当然作っている僕たちにとっては、消火器って「必要なモノ」で、「備える意味があるモノ」。なのになんで買わないヒトがこんなに多いんだろう?って、思ったりしちゃうわけだよね。

消火器が日本で誕生した瞬間から、消火器売り達はこの課題と日々向き合ってきて、時として、やれ火災の件数だとか、被害者の数だとか、火災の恐ろしさや、それによって引き起こされる悲劇を切り取って、恐怖心をちくちくしてみたり。

それでも備える事が広まらないから、不特定多数の人が使用する場所には「消防法」によって、備える事が義務になったわけだ。

だから、住宅にも消火器を義務付けるべきだ。って、議論は10年以上前からある。

もしも義務付けられれば、メーカーは嬉しい。

そりゃぁ、潜在需要だった5000万世帯が、顕在化するのだから。因みに、この数は国内の年間消火器生産量の10倍に相当する数なのだから。

でも、「義務」がもたらすものが、「意識の高まり」なのか、「意識の低下」なのかが、本質的な問題で、需要があるから良い。っていう結論は些か前時代的な気がする。

ただ、現状の消火器や防災に対する感覚が「無意識」だとすると、義務という「制約から生まれる意識」だってあり得るかもしれない。

なんて。

僕たち防災メーカーや防災ブランドが行う全ては、ひとりでも多くのヒト達が災害と対峙した時に、自分や大切なヒト達を守る事が出来る為の手伝いをする事。

正解は、今はまだわからないけれど、この毎日がたどり着く未来が明るいを信じて。

さて、本日はこの辺で。

最後まで読んでくれてありがとう。

また明日。

防災をライフスタイルに。

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