球の速さと筋肉の話

オフシーズンが始まって1ヶ月が経ち、トレーニングにもなれてより一層の負荷がかかり始める今日この頃。
選手のなぜこんなにもきついトレーニングが必要なのかの問いに対して、ちゃんと答えたいなと、おじさん思ったので、復習してみます。

本日の文献はこちら
『投球速度と筋力および筋量の関係』 The relationship between ball velocity and muscle strength and muscle volume of baseball pitchers: 勝亦陽一*,長谷川伸**,川上泰雄***,福永哲夫:2006
論文を書いていただいてる方には頭が上がりません。
こちらURLになります。

http://www.waseda-sport.jp/paper/601/601.pdf

抄録を読む限り、
投球速度と関係ありそうな項目を大学生を対象に測ってみたら、助脂肪体重・筋量・上肢のトルク・下肢のトルクとの相関があったよという感じです。
それではいってみます。

対象者は投手歴が6年以上である大学生投手25名、投球数は5球で、そのうち速かった3球を抜粋し、その平均値を個人の投球速度としてます。
肘関節屈曲(EF)・伸展(EE) トルク,膝関節伸展(KE)・屈曲(KF)トルク,肩関節外旋(SE)・内旋(SI)トルク,握力
の7項目でして、これらは全て最大随意収縮による等尺性力発揮(力発揮は約3秒)で行ってます。
筋量の測定はMuscle-α、調べたらいいやつでした。
方法はざっとこんなモンですね。

結果です。
まず身体特性系と球速の相関です。
(Dは投球即、SLは踏み出し足、PLは軸足)
”投球速度と統計的に有意な正の相 関関係が認められた項目は,
体重(r=0.509,p<0.05),
除 脂 肪 体 重( r=0.483 , p<0.05 ) ,
筋 量( r=0.513 , p<0.05),
上腕D筋量(r=0.407,p<0.05),
大腿筋量 (PL:r=0.555,SL:r=0.504,p<0.05)
であった.また, Dの上腕/前腕筋量比及びSL,PLの大腿/下腿筋量 比と投球速度の間に統計的に有意な相関関係(上腕/前腕D:r=0.426,大腿/下腿PL:r=0.461,SL: r=0.485,p<0.05)
が認められた.一方,投球速度と身 長,前腕及び下腿の筋量との間に統計的に有意な 相関関係はみられなかった.”
とのことでした。
続いて筋力と球速の関係では
”投球速度と 統計的に有意な正の相関関係がみられた項目は,
SL膝関節伸展トルク(r=0.586,p<0.05),
肘関節屈曲 トルク(D:r=0.431,ND:r=0.456,p<0.05),
肘関節伸 展トルク(D:r=0.540,ND:r=0.436,p<0.05),
肩関節 外旋トルク(D:r=0.629,ND:r=0.581,p<0.05),
肩関 節内旋トルク(D:r=0.428,p<0.05,ND:r=0.579, p<0.05)
であった.一方,膝関節屈曲トルク及び握力 と投球速度との間に統計的に有意な相関関係は示さ れなかった.”
とのことでした。

復習にはちょうど良く、長さ的にもちょうどよくて、おじさんが眠たくなることなく読めたので助かりました。
やはり冬の間にやらないといけないことは、サイズアップ!!特に四肢でいうと近位の筋肉たちを大きくしないとですね。
もちろん、傷害予防と言うところ、で前腕の筋力(特にFDS・FCU)は重要ですし、体幹部の筋量は絶対ということになりますが…
この論文では、等尺性収縮の筋力測定のため、肩関節内旋外旋トルクの両方が球速その相関を持ってますが、引用文献のPawlowski D,Perrin DH (1989)では、等張性収縮で測定していて、特に早い内旋の筋力(トルク)が関係あることがわかってます。

オフシーズンになって時間に余裕が出てきているので、論文を読んで引用してまとめるということを自分のためにやっていけたらと思います。
来年も徳島に残るおっさんでした。





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