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108番 人参養栄湯(にんじんようえいとう)

以前、「人参養栄湯が欲しい。」との主訴で来られた患者さんがいました。正直、特定の薬が欲しいとして来られる患者さん(例;「PLが欲しい」「ハルシオンが欲しい」など…)にいい印象がないのですが、こと漢方薬の場合は好意的に捉えてしまいます。(←思いっきり偏見ですが…)
しかも、当時は人参養栄湯を知らず、しばらく人参栄養湯だと思ってました。恥ずかしい…

使用目標(証)

本方は、消耗性疾患、あるいは外科的手術後の体力低下、また、いわゆる虚弱体質の種々の愁訴に用いられる。腹力はやや弱く、一般に、全身倦怠感、貧血、盗汗、微熱、咳嗽、下痢、動悸、不安・不眠、皮膚枯燥などを伴う。

組成

地黄(じおう);(cf;四物湯)
当帰(とうき);(cf;四物湯)
白朮(びゃくじゅつ);補気剤(cf;四君子湯)
茯苓(ぶくりょう);補気剤(cf;四君子湯)
人参(にんじん);補気剤(cf;四君子湯)
桂皮(けいひ)
遠志(おんじ);ヒメハギ科の植物の根。精神安定作用。
芍薬(しゃくやく);(cf;四物湯)
陳皮(ちんぴ);理気剤
黄耆(おうぎ)
甘草(かんぞう);補気剤(cf;四君子湯)
五味子(ごみし);鎮静

勝手にポイント

気血両虚につかう薬。十全大補湯に似たポジショニングだが、呼吸器症状を伴う場合は、人参養栄湯を使う。
復習;四君子湯ファミリー
四君子湯+半夏・陳皮=六君子湯
四君子湯−茯苓+黄耆・柴胡・当帰・升麻・陳皮・大棗・乾姜=補中益気湯
四君子湯+四物湯+黄耆・桂皮=十全大補湯
十全大補湯−川芎+遠志・五味子・陳皮=人参養栄湯

参考資料
「つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習」 岩田健太郎 著 / 西本隆 監修
「漢方製剤 活用の手引き 証の把握の処方鑑別のために」 長谷川弥人 大塚恭男 山田光胤 菊谷豊彦
漢方スクエア 絵でわかる漢方処方解説 人参養栄湯
漢方スクエア 方剤解説 人参養栄湯