30番 真武湯(しんぶとう)

ふらつき・めまいって症状は困ります。患者さんも困りますが、診断する医者も困ってます(苦笑)。多くの場合は、内耳性めまいであることが多いのですが、たまに、小脳疾患や徐脈性不整脈が原因のことがあって、びっくり…

かの岩田健太郎は、ふらつき・めまいの診断順序として、1)まず、心臓の病気、脳の病気という「命に関わる病気」でないか確認。 2)薬の副作用を除外。(やめれるものはやめる) 3)それでもはっきりしなければ、漢方薬も検討。

今回の真武湯は、「虚証のめまい、ふらつき」に使う漢方薬。「少陰病」と分類される証に用います。具体的には、

1)歩いていてフラッとする。あるいはクラっと。(フラッと)

2)雲の上を歩いているみたいで、なんとなく足もとが心もとない。あるいは地にしっかりと足がついていないような感じがする。(雲の上)

3)誰かと一緒に歩いていると、何で私に寄りかかるのか、と言われたりすることがある。(寄りかかり)

4)真っすぐに歩いているつもりなのに横にそれそうになる。(斜行感)

5)真っすぐに歩こうとするのに横にそれる。(斜行)

6)座っていたり、腰かけていて、ときにクラっとして地震かと思う。(地震感)

7)眼前のものがサーッと横に走るように感じるめまいがある。(横行感)

だそうです。地震感は主訴としてよくきくかなぁ〜

使用目標(証)

本方は、体質が虚弱な人の、代謝機能の低下によって生ずる諸症に広く用いられる。腹部は腹壁が薄く多くは軟弱で、心窩部振水音、時として腹直筋の軽度な緊張を認める。一般に、全身倦怠感、四肢冷感、下痢(泥状ないし水様で、裏急後重=しぶり柄を伴わない)、腹痛を呈する例に用いる。その他、めまい。身体動揺感、心悸亢進、悪心、尿減少、浮腫、発熱、皮膚掻痒感などを伴うことがある。

組成

茯苓(ぶくりょう) 白朮(びゃくじゅつ)あるいは蒼朮(そうじゅつ) 附子(ぶし) 芍薬(しゃくやく) 生姜(しょうきょう)

勝手にポイント

「虚証のめまい、ふらつき」に使う。

茯苓と朮はともに利水剤。

附子はトリカブトで温める薬の代表。

生姜も温める薬。

芍薬で腹直筋の緊張を解き、腹痛を治す。

のぼせがあるめまいには、苓桂朮甘湯(118)を使う。