39番 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

漢方方剤には「湯(とう)」「散(さん)」「丸(がん)」の3つがあります。「湯」は輸液状のもの、いわゆる煎じ薬。「葛根湯」「桂枝湯」「小柴胡湯」など、最も多い剤形です。「散」は生薬を粉末にしてそのまま飲むもの。「当帰芍薬散」「安中散」などがあります。「丸」は粉末状にした生薬にはちみつなどを加え、丸く固めたもの。「八味地黄丸」「六味丸」などがあります。
私たちが処方する漢方薬はエキス剤。抽出液として加工され、細粒、顆粒、錠剤、カプセル剤になっています。煎じる必要がないので手軽で、持ち運びにも便利で、長期保存にも向きます。ただし、薬を効き目という観点では、「湯」「散」「丸」の本来の形で服用するのいいそうです。
コーヒーだったインスタントと豆から挽くのだと違いますものね。(この例えであってるかな?!)

使用目標(証)
本方は、やせ型ないしは中肉型で、比較的体力が低下した人のめまい感、立ちくらみ、身体動揺感を目標に用いる。腹部は全体に軟弱で、心窩部振水音、腹部大動脈の拍動を認めることが多い。時に軽度の息切れ・心悸亢進・頭痛・のぼせ、尿量減少、軽度の浮腫、四肢冷感などを伴う。

組成
茯苓(ぶくりょう);利水剤 
桂皮(けいひ);気を巡らせる 
白朮(びゃくじゅつ);利水剤 
甘草(かんぞう);脾胃の虚に効果

勝手にポイント
苓桂朮甘湯はめまい、ふらつき、動悸などの「水毒」に関連した症状への薬。裏寒虚証の薬なので、脈は沈。
五苓散と使い分けは、裏寒虚証がなければ五苓散、あれば苓桂朮甘湯。五苓散は基本口渇を目標とするが、苓桂朮甘湯はしない。五苓散の脈は浮、苓桂朮甘湯は沈。
真武湯との使い分けは、冷えが強いと真武湯。